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書籍詳細

よくわかるIgG4関連疾患

よくわかるIgG4関連疾患

川野充弘  編著 / 全 陽   編著 / 佐藤康晴  編著 / 井上 大  編著

A5判 218頁

定価5,720円(本体5,200円 + 税)

ISBN978-4-498-02610-0

2017年04月発行

在庫あり

瞬く間に世界中に広まった「IgG4関連疾患」.その疾患領域はどんどん広がり,あらゆる臓器でIgG4関連疾患の炎症が証明されている.一方,鑑別の紛らわしい多数の類縁症例が診断を困難にしている.本書では,本疾患のエキスパートである,内科臨床医・病理診断医・放射線科医が共同し,豊富な症例を元に,その鑑別に力点を置いて実践的な解説を加えた.



2007年の冬,加賀温泉郷にある1300年の歴史を誇る風光明媚な山中温泉で,一つの不思議な全身疾患に魅了された医師達が会合を開いた.それぞれの専門分野は,消化器内科,リウマチ・膠原病内科,腎臓内科,呼吸器内科,眼科,病理と全くばらばらで,IgG4という共通のキーワードのみで結びついていた.旅館の主人が間違えたのであろう.入り口には「IgG4愛好会御一行様」の垂れ幕が下がっていた.メンバーの主体は,シェーグレン学会の中の分科会であったミクリッツ病研究グループの面々である.どのような免疫学的機序でIgG4が多量に産生され,この病気を引き起こすのか.白熱した議論は夜中の3時過ぎまで続いた.まだIgG4関連疾患という統一された病名もなかった頃のことである.
会合から10年が経過し,IgG4関連疾患という病名は,あっという間に世界中に広まった.これまで特発性後腹膜線維症と診断されていた症例の半分が,いつの間にかIgG4関連疾患になった.肥厚性硬膜炎の一部もIgG4関連疾患になった.炎症性腹部大動脈瘤の手術標本にも多数のIgG4陽性形質細胞浸潤が見つかって,血管外科医も参入した.下垂体炎,心膜炎,前立腺炎など,身体中のあらゆる臓器でIgG4関連疾患の炎症が証明され,今日ではIgG4関連疾患に侵されない臓器を見つけることの方が困難になった.山中温泉で始まった勉強会は,IgG4研究会と名前を変え,2017年には,第10回を数える全国規模の研究会に成長した.
ところが,である.IgG4関連疾患という病名の普及とともに困った問題が持ち上がってきた.原因不明や分類不能の炎症性病変や,よく知られたANCA関連血管炎,多中心性キャッスルマン病などの組織をIgG4染色すると,IgG4関連疾患でなくても多数のIgG4陽性形質細胞浸潤が認められるということがわかってきたのである.その結果,確実にIgG4関連疾患と診断された症例とIgG4陽性形質細胞浸潤が認められるだけのあやしげな炎症反応の症例がどちらもIgG4関連疾患として報告されるようになった.
本書は,このような現状を踏まえて,IgG4関連疾患に10年以上かかわってきた放射線科医,病理医,内科医が共同して,典型的なIgG4関連疾患の診断的アプローチと臨床経過,間違えやすい類縁疾患の特徴について理解し,きちんと鑑別できるようにと企画されたものである.決して血中のIgG4濃度や組織のIgG4染色に頼りすぎることなく,臨床,画像,病理のそれぞれの所見を総合して診断することの重要性を豊富な症例を通じて伝えることができれば,本書の目的は十分に達成されたものと確信する.

2017年3月
川野充弘

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目次

I総論

  1内科臨床の立場から〈川野充弘〉
   疫学
   IgG4関連疾患の検査所見
   IgG4分子の生化学的特徴
   全身症状と臓器病変
   IgG4関連疾患の診断
   治療
   悪性腫瘍
   IgG4関連疾患は自己免疫疾患か?

  2病理診断科の立場から〈全 陽〉
   IgG4関連疾患の病理診断アプローチ
   IgG4関連疾患の組織所見
   IgG4関連疾患で見られない所見
   臓器別の組織変化
   IgG4免疫染色
   生検診断
   
  3放射線科の立場から〈井上 大〉
   膵病変
   涙腺/唾液腺病変
   腎尿路系病変
   動脈病変
   肺病変
   神経周囲病変
   肝胆道系病変

II症例編

  1.IgG4関連疾患
   CASE 1 胃潰瘍の精査中に画像検査で偶然発見された1例
       〈川野充弘,全 陽,井上 大,吉田耕太郎〉
   CASE 2 原因不明の視力障害で発症した1例〈川野充弘,全 陽,井上 大,吉田耕太郎〉
   CASE 3 長期の寛解経過中にステロイドの自己中断で腎病変が再燃した1例
       〈川野充弘,全 陽,井上 大,吉田耕太郎〉
   CASE 4 1型自己免疫性膵炎に対してステロイド維持療法中に大動脈病変が増悪し外科的治療を要した1例
       〈川野充弘,全 陽,井上 大,吉田耕太郎〉
   CASE 5 IgG4関連涙腺・唾液腺炎の経過中に膵臓の悪性リンパ腫を発症した1例
       〈川野充弘,全 陽,井上 大,吉田耕太郎〉
   CASE 6 高齢発症の糖尿病の精査中に発見された1例
       〈川野充弘,全 陽,井上 大,吉田耕太郎〉
   CASE 7 血清IgG4値が正常値を示したIgG4関連唾液腺炎の1例
       〈川野充弘,全 陽,井上 大,吉田耕太郎〉
   CASE 8 膵腫大の1例〈全 陽〉
   CASE 9 悪性リンパ腫との鑑別を要したIgG4関連リンパ節症の1例〈佐藤康晴〉

  2.類縁疾患
   CASE 10 原因不明の高IgG血症,高IgG4血症で経過観察中にリンパ節病変と腎機能低下が出現した多中心性キャッスルマン病の1例
        〈川野充弘,全 陽,井上 大,吉田耕太郎〉
   CASE 11 腎盂病変や腎周囲の後腹膜病変,腎実質病変を伴った多中心性キャッスルマン病の1例
        〈川野充弘,全 陽,井上 大,吉田耕太郎〉
   CASE 12 多クローン性高ガンマグロブリン血症を伴う特発性形質細胞性リンパ節症(IPL)の1例
        〈川野充弘,全 陽,井上 大,吉田耕太郎〉
   CASE 13 間歇熱と体重減少,全身倦怠感にて発症し後腹膜線維症による水腎症を併発した多中心性キャッスルマン病の1例
        〈川野充弘,全 陽,井上 大,吉田耕太郎〉
   CASE 14 嗄声で発症した頸部腫瘤の1例〈全 陽〉
   CASE 15 腸間膜腫瘤の1例〈全 陽〉
   CASE 16 IgG4高値を示した形質細胞型キャッスルマン病の1例〈佐藤康晴〉
   CASE 17 IgG4高値を示した肺キャッスルマン病の1例〈佐藤康晴〉
   CASE 18 IgG4関連疾患との鑑別を要した涙腺MALTリンパ腫の1例〈佐藤康晴〉

索引

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執筆者一覧

川野充弘  金沢大学附属病院リウマチ・膠原病内科病院臨床教授 編著
全 陽   神戸大学大学院医学研究科病理学講座病理診断学分野病理ネットワーク学部門特命教授 編著
佐藤康晴  岡山大学大学院保健学研究科病態情報科学教授 編著
井上 大  金沢大学附属病院放射線科助教 編著
吉田耕太郎 金沢大学附属病院放射線科助教 

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