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書籍詳細

24時間医学で考える脳神経内科

24時間医学で考える脳神経内科

〜患者の1日を通して診る〜

河合 真 著 / 原田陽平 著

A5判 110頁

定価2,640円(本体2,400円 + 税)

ISBN978-4-498-32888-4

2022年06月発行

在庫あり

すべての患者は眠る.しかしながら,そして当然ではあるが,診療の重きは覚醒時の症状に置かれる.その覚醒時の症状,実は睡眠時に原因がないだろうか? 睡眠と覚醒は互いに影響を及ぼす表裏一体の関係である.脳血管障害,てんかん症候群,認知症,パーキンソン病,不随意運動などを睡眠医学の視点で捉え直すことで,現場での新たな引き出しを臨床医に提供する.“あの患者の夜”を知ることで,昼の診療が大きく変わるはずである.

略歴

河合 真(かわい まこと)

1997年 京都大学医学部卒業(医学博士),京都大学医学部付属病院  神経内科および内科研修医
1998年 住友病院神経内科研修医
2000年 米国ニューヨーク州ニューヨーク市セントルークス-ルーズベルト病院内科レジデント
2002年 米国テキサス州ヒューストン市ベイラー医科大学神経内科レジデント
2005年 米国テキサス州ヒューストン市ベイラー医科大学神経生理学科クリニカルフェロー
2006年 トヨタ記念病院統合診療科医長
2009年 米国テキサス州ヒューストン市メソジスト病院神経内科神経生理部門指導医・コーネル大学アシスタントプロフェッサー
2013年 スタンフォード大学 睡眠医学クリニカルフェロー,リサーチフェロー,クリニカルインストラクター,インストラクター,アシスタントプロフェッサーを経て
2020年 スタンフォード大学 精神医学科 睡眠医学部門アソシエイトプロフェッサー
(専門医・所属学会など)
米国神経内科専門医,米国認定睡眠検査技師,日本内科学会認定医,米国睡眠専門医,米国神経生理専門医,米国神経生理学会中枢神経生理専門医(てんかんモニタリング),米国てんかん専門医
日本神経学会,日本老年学会,日本内科学会,米国神経内科学会,米国てんかん学会,米国臨床神経生理学会,日本睡眠学会,日本臨床睡眠医学会,米国睡眠学会
(日本語著作など)
河合 真.極論で語る神経内科第二版.丸善出版;2020
河合 真.極論で語る睡眠医学.丸善出版;2016
河合 真,立花直子.睡眠がみえる.金芳堂;2019
(研究テーマ)
世代を跨いだ睡眠の認知機能への影響

原田陽平(はらだ ようへい)

2011年 名古屋大学医学部卒業(医学博士)
2011年 愛知県安城更生病院 初期研修
2012年 米国ミネソタ州ロチェスター市メイヨークリニック クリニカルリサーチトレーニング
2014年 愛知県安城更生病院 神経内科後期研修
2015年 米国ニューヨーク州ロチェスター市ロチェスター大学 末梢神経疾患クリニカルフェローシップ
2016年 米国アーカンソー州リトルロック市アーカンソー大学 神経内科レジデンシー
2020年 米国ノースカロライナ州ダーラム市デューク大学 神経筋疾患クリニカルフェローシップ
2021年 米国ノースカロライナ州モリスビル市Duke/UCB/UNC Drug Developmentフェローシップ
2022年 米国ノースカロライナ州ダーラム市デューク大学 神経内科アテンディング
(専門医・所属学会など)
米国神経内科専門医
日本神経学会,日本内科学会,米国神経内科学会,米国神経筋疾患電気生理学会
(研究テーマ)
神経筋疾患の治療法とOutcome evaluationの構築

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序文
〜睡眠と覚醒を評価しないですむ診療科はない〜

この本を評して「脳神経内科の皮を被った睡眠医学の本」と言った方がいる.まさに正鵠を射ている.しかし,これがなぜ当たっているのかは少し説明が必要だろう.なぜなら,この言葉を理解するには睡眠医学の持つ医学の一部門としての特殊な立ち位置を理解しなければならないからだ.
ちなみに私は米国の睡眠医学専門医資格を持って睡眠医学診療に従事している.元々は脳神経内科の専門医として働いていたのだが,睡眠医学に惚れ込んでトレーニングを受け直した.そんな睡眠医学に惚れ込んでいる私だが,睡眠医学を専門にしている上で少し困ったことがある.私が知り合いに「睡眠医学を専門にしています」と言うと医療関係者でも時々微妙な表情になられることがあるのだ.彼らにしてみたら「ほー,忙しそうですね」とも言えないし,「ほー,エリートじゃないですか?」とも言えなくて困るのだろう.ど直球に「なんですか,それは?」「そんな科があるのですか?」ともよく聞かれる.そして,「まあ,睡眠時無呼吸症候群とか不眠症の患者さんを診ています」と言うと「ああ,なるほどね」と,ようやく腑に落ちた表情をしてもらえる.睡眠の医学なのだからきっと「睡眠の病気や問題を扱う科」なのだろうというわけだ.しかしながら,この紹介は睡眠医学を手っ取り早く知らない人たちに説明するためだけが目的であって,睡眠医学の本質ではない.
睡眠医学の本質とは「睡眠と覚醒はお互いに影響しあっている」ということだ.睡眠医学は「睡眠と覚醒の両方を診る(唯一の)科」なのである.と,ここまで書いてきて「睡眠と覚醒の両方を診る(唯一の)科が睡眠医学科」だなんて言ってしまっていいのかと思わないだろうか?
何しろすべての診療科の患者は眠り,そして覚醒して活動するのだから睡眠医学科以外が睡眠を診ないでいいはずがない.そして,ちょっと考えてもわかるが,睡眠医学科がすべての診療科の睡眠時と覚醒時における現象を一手に引き受けるのはいろんな意味で不可能だ.
今までの議論を整理してみよう.
 1)睡眠医学は睡眠と覚醒を考える医学である.(これは新しい知識?)
 2)すべての診療科の患者は眠り,覚醒する.(当たり前)
 3)睡眠医学科だけではすべての患者の睡眠と覚醒を引き受けられない.(これも当たり前)
ここから導かれる結論は,「すべての医療従事者は人間を相手にするかぎり睡眠医学から逃れることはできない→どの診療科であっても睡眠医学を勉強するしかない」ということだ.
そんな中で,この24時間の評価の必要性を説いた最初の本が脳神経内科であったことには理由がある.まず,「私が脳神経内科も専門にしているから」である.そして,「睡眠の中枢である脳を扱うので睡眠と覚醒の変化による影響を受けやすい疾患が多い」からだ.こんな睡眠と覚醒に関係の深い脳神経内科の教科書で睡眠医学の要素がなかったら不完全だと思うのだが,案外無視されて書かれていることも多い.そこは私にとって大きなフラストレーションであった.だからこそ,この本ではあえて睡眠医学をメインのテーマに据えて脳神経疾患を解説した.よって,この本は「脳神経内科の皮を被った睡眠医学の本」と言えるのだ.
さらに,偶然共著者である新進気鋭の脳神経内科医である原田陽平先生と知り合う機会があり,彼の若く柔軟な頭脳でこの難解な切り口の企画に乗ってもらえたことで格段に良いものになった.
そして,当然の論理の帰結ながら24時間の評価の必要性は他の診療科であっても全く変わらず重要である.賢明な読者諸氏はお気づきかもしれない.そう,私は是非ともこの24時間医学をシリーズ化したいのである.すべての科を網羅したとき,私の「どの科の患者も眠り覚醒するのだからどの医療従事者も睡眠医学を学ばねばならない」という野望が少し達成されることになる.そのためには,この本を手に取り,購入するだけでなく,知り合いやご友人に勧めていただきたい.そして我こそは共著者に!  と名乗り出ていただければ幸いである.
この24時間医学を通じて睡眠医学を知っていただき,睡眠医学と聞いて今後皆さんの反応が「ん?  なんだ?  そのどマイナー科は?  食っていけるのか?」ではなく,「ああ,そうね.私の患者も眠って覚醒するから(睡眠医学を専門にする気はないけど)勉強しないとね」という反応になってくれる未来がくるように日々活動していくつもりだ.もしよければ私のTwitterのアカウント@earlyquarryをフォローして情報交換していただければ幸いである.

執筆の際に日本の事情とあまりに乖離してはならないと思い,関西電力病院睡眠関連疾患センター長の立花直子先生には原稿のチェックをしていただいた.ご多忙にもかかわらず快く引き受けていただいた.実は前述の「脳神経内科の皮を被った睡眠医学の本」と評していたのも彼女である.いつもながらの慧眼に恐れ入る.貴重なフィードバックをいただいた.ここに謝意を表したい.それでも,私の理想論がそこかしこに残っており,日本の現状とそぐわないことが多いと思う.これはあくまでも私が責任を負うものである.

最後になったが,この少々無謀とも言える企画に興味を持ち,支えていただいた中外医学社企画部の桂  彰吾様と,実際に世に出す気の遠くなる編集作業をしていただいた編集部の桑山亜也様に謝意を表したい.

2022年4月
河合 真

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目 次

CHAPTER 0 24時間医学の概念を取り入れるべし (河合 真)
CHAPTER 1 24時間医学で考える脳血管障害 (河合 真)
CHAPTER 2 24時間医学で考える筋強直性ジストロフィー (原田陽平)
CHAPTER 3 24時間医学で考える重症筋無力症 (原田陽平)
CHAPTER 4 24時間医学で考える筋萎縮性側索硬化症 (原田陽平)
CHAPTER 5 24時間医学で考える多発性硬化症 (河合 真)
CHAPTER 6 24時間医学で考えるてんかん症候群 (河合 真)
CHAPTER 7 24時間医学で考える認知症 (河合 真)
CHAPTER 8 24時間医学で考える脊髄損傷 (河合 真)
CHAPTER 9 24時間医学で考える頭痛 (原田陽平)
CHAPTER 10 24時間医学で考えるパーキンソン病 (原田陽平)
CHAPTER 11 24時間医学で考える不随意運動 (原田陽平)
CHAPTER 12 24時間医学で考える末梢神経障害 (河合 真)

Column
患者だけの24時間医学ではない.医療従事者の側も24時間医学で考えろ.(河合 真)
対症療法を一段下げて考えていないか? (河合 真)

索引

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執筆者一覧

河合 真 スタンフォード大学精神医学科睡眠医学部門 著
原田陽平 デューク大学神経内科 著

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24時間医学で考える脳神経内科
   定価2,640円(本体2,400円 + 税)
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