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書籍詳細

これだけは知っておきたい 糖質制限食のエビデンス

これだけは知っておきたい 糖質制限食のエビデンス

辻本哲郎 著

A5判 102頁

定価2,420円(本体2,200円 + 税)

ISBN978-4-498-22304-2

2023年04月発行

在庫あり

その糖質制限食、ちょっと待った!

糖質制限食に関する情報が氾濫しています.一見多大な効果をもたらすようにも見えますが、それらの情報は全て正しいといえるでしょうか? 医学論文をキャッチアップし続けている臨床医・研究者を除けば,たとえ医療従事者であってもそれらの情報の真偽を見極めるのは実は至難の業です.本書は糖質制限食に関する多数の研究結果(エビデンス)を平易に解説し,健康を維持しながら食生活を改善する方法を再考します.

著者プロフィール

辻本哲郎(つじもと てつろう)
糖尿病・代謝領域のさらなる発展・向上のため日々臨床や研究に邁進中.自身も食べることが好きであり,患者さんには無理のない食事指導を心掛けている.

略歴:
2005    金沢大学医学部卒
2005-2007 国立国際医療センター(現 国立国際医療研究センター) 初期研修医
2007-2008 国立国際医療研究センター 総合診療科 レジデント
2008-2010 国立国際医療研究センター 糖尿病・代謝・内分泌科 レジデント
2010-2012 国立国際医療研究センター 糖尿病・代謝・内分泌科 フェロー
2012-2019 国立国際医療研究センター 糖尿病内分泌代謝科 医師
2020-2023 虎の門病院分院 糖尿病内分泌科 医長
2023-    虎の門病院分院 糖尿病内分泌科 部長

専門医・資格:
・日本内科認定医,日本内科学会総合内科専門医・指導医
・日本糖尿病学会専門医・指導医
・日本内分泌学会専門医・指導医
・日本高血圧学会専門医・指導医
・日本糖尿病・生活習慣病ヒューマンデータ学会評議員
・医学博士(甲)
・臨床研修指導医

代表的な著書:
『できる!糖尿病診療』(南江堂)
『みんなの臨床研究・論文作成』(医学書院)

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はじめに

 現在,糖質制限に関する情報が非常に氾濫しています.その情報は全て正しいものでしょうか? 論文に触れることが多い臨床医や研究者は,間違っていたり根拠がなかったりするような情報はすぐにわかります.しかし,そうでなければ,たとえ医療従事者であっても多くの情報の中で正しいものだけを選択することが極めて難しい状況になっています.それこそ「医師や医学博士が言っているから間違いない」となんとなく思ってしまう方もいるかもしれません.さらに,患者さんや生来健康であった方が,間違った情報を信じた結果,状態が悪化して医療機関を受診するということも決して稀なことではありません.
 私が専門にしている領域は食事や運動などの生活習慣が大きく関与する,いわゆる生活習慣病です.その改善や予防は専門医だけでできるものではなく,多くの方の理解や協力が不可欠です.本書は臨床研究の結果を中心に糖質制限食など糖質・炭水化物に関する正確な情報を提供することを目的にしています.そして,より多くの人々が糖質に対する理解を深めることで,日本の医療の質が更に向上することを期待しています.
 「糖質を控えれば痩せる」,「糖質こそが悪」といった糖質制限に関する過激な情報をインターネット,テレビ,書籍などでしばしば見かけます.数週間で絶対痩せるといったインパクトのある情報は大変魅力的に見えるかもしれません.そして,僅かでも効果を感じ,過剰な糖質制限食にはまり,それ以外の食事療法を極端に嫌う人も実際にいます.ただし,最近の研究結果を知っている医療従事者からすると既に厳格な糖質制限食は積極的には推奨できない食事療法となっています.なぜでしょうか? それは,厳格な糖質制限食が短期的には減量や血糖値の改善といった効果はあるものの,長期的には死亡やがんなどのリスクを高める可能性があることがわかってきたからです.糖質制限をすればするほど良いと考える時代は終わりに近づいています.しかし,残念ながら一般的には(少なくとも日本においては)まだまだ広く糖質制限食を推奨している情報のほうが圧倒的に多いです.さらに困ったことに糖質制限食の良い点だけに焦点を当てて,その危険性については一切触れられないことがほとんどです.
 現在の医療はevidence—based medicineといって,エビデンス(根拠や証拠)に基づいて提供されています.研究の結果はエビデンスとして次から次へと蓄積されていきますが,我々医療者は生活習慣や治療についての研究をエビデンスレベルなども考慮したうえで評価し,その良し悪しを患者さんや一般の方に伝える必要があります.本書は糖質制限食のベネフィットだけでなく,最近明らかになってきたリスクについてもわかりやすく記載しました.また,糖質・炭水化物を中心に,減量や健康を考えるうえで重要な知見や推奨すべき食事内容についてもまとめました.本書は食事指導に関わる医療従事者やインストラクターを主な対象としておりますが,わかりやすい記載を心がけましたので,糖質制限食や健康的な食生活に興味がある人も是非参考にしていただけたらと思います.本書が皆様にとって有用なものになれば幸いです.

2023年3月
辻本哲郎

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Contents

第I章 糖質・炭水化物の押さえておきたいエビデンス
1 糖質・炭水化物の基本
   ・糖質の基礎知識
   ・日本人の炭水化物摂取割合は多いほう? 少ないほう?
   ・日本人の炭水化物割合は低下傾向
2 食物繊維はとっても大事
   ・食物繊維の有効性について
   ・日本人での食物繊維の研究は?
   ・なんで食物繊維は身体に良いの?
   ・食物繊維は何から摂る?
3 糖質の過剰摂取に御用心
   ・ソフトドリンクなどの糖類の過剰摂取に注意!
   ・果糖はくだものと同じではない!
   ・果糖に関する研究が進んでいる
  [コラム]くだものをおいしく食べるには温度が大事?
4 炭水化物の「質」に注目!
   ・全粒穀物のベネフィット
   ・白米に潜む糖尿病リスク
   ・炭水化物の「質」の改善のススメ

第II章 糖質制限食の効果について
1 糖質制限食は昔からあった?
   ・糖質制限食の歴史
   ・糖質を制限することの影響
2 糖質制限食の減量効果のエビデンス
   ・糖質制限食の臨床研究
3 糖質制限食の代謝改善効果のエビデンス
   ・糖質制限食の代謝改善効果について
   ・日本での糖尿病患者における糖質制限食の臨床試験
4 糖質制限食はまさにメディア向け?
   ・糖質制限食をテレビや雑誌で特集すると
   ・一度経験したらハマっちゃう

第III章 糖質制限食の長期的な影響について
1 糖質を控えすぎると死亡リスクが上がる⁉
   ・糖質制限食の長期的な影響について
   ・エネルギーに占める炭水化物の割合と死亡リスクについて
   ・糖質制限食と死亡リスクについて
2 糖質を控えすぎるとがんや心血管疾患のリスクが上がる⁉
   ・糖質制限食のがんや心血管疾患のリスクについて
   ・日本人における糖質制限食とがんリスクについて
3 糖質制限食の何が問題?
   ・糖質制限食で何が変化するのか?
   ・糖質制限食で減るもの/増えるものはなんでしょう?
4 観察研究の注意点と結果の解釈
   ・観察研究での注意点について
   ・観察研究の結果が怪しい?

第IV章 糖質制限食を再考する
1 なぜ糖質制限食は流行るのか?
   ・糖質制限食が流行しているのはなぜ?
   ・科学的根拠に基づいた判断をする
   ・批判的吟味の必要性
2 日本人の理想的な糖質摂取割合は?
   ・日本人での糖質摂取割合と死亡リスクは?
3 健康的に痩せるために必要なことは?
   ・理想的なBMIは?
   ・痩せるための理想的な食事は?
4 お勧めの減量方法
   ・生活習慣は?
   ・具体的にはどうすればよい?
   ・おすすめの食生活のまとめ
   ・過剰な糖質制限にならないか?
   ・肥満のない場合にお勧めの食生活
   ・運動はどうする?
   ・運動しなくても痩せればよいの?

おわりに
索引

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執筆者一覧

辻本哲郎 虎の門病院分院糖尿病内分泌科部長 著

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これだけは知っておきたい 糖質制限食のエビデンス
   定価2,420円(本体2,200円 + 税)
   2023年04月発行
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