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書籍詳細

頭頸部がん化学療法ハンドブック

頭頸部がん化学療法ハンドブック

藤井正人 監修

B6変型判 190頁

定価3,080円(本体2,800円 + 税)

ISBN978-4-498-06268-9

2014年05月発行

在庫なし

序 文

 頭頸部がんに対する集学的治療の中で,がん化学療法の重要性は年々増加している.1970年代にシスプラチンが登場してから頭頸部がんの化学療法は飛躍的に進歩したといえる.シスプラチンは様々な薬剤と併用して併用効果があることが基礎的に示されてきたが,その中でもシスプラチンと5-FUとの併用が標準レジメンとして汎用されるようになった.そののち,タキサン系薬剤であるドセタキセルが導入され近年ではパクリタキセルも承認されている.わが国では経口抗がん薬のUFTやTS-1も頭頸部がんに対して使用されており,2012年には頭頸部がんに対するわが国で初めての分子標的薬であるセツキシマブが承認された.

 このように,少しずつではあるが頭頸部がん化学療法において選択できる薬剤が増加している.一方,手術や放射線治療の進歩も目覚ましく,頭頸部がんに対する集学的治療は非常に複雑化している.このような状況の中で,がん化学療法を施行する場合,その目的を十分に考えて目標をきちんと設定しなければならない.切除可能例なのか切除不能例か,根治を目的とした治療か,QOLを優先する治療かなど,多くの事項について正確に判断することが要求される.

 わが国では,現在のところ腫瘍内科医が頭頸部がん化学療法を行う施設は多くなく,ほとんどの施設では頭頸部外科医が施行している.本書は,腫瘍内科医以外の医師にも十分活用していただけるよう編集されている.がん化学療法を施行する前にまず,総論に目を通していただきたい.そして,実際の症例に即して各論や副作用対策,支持療法の項を参考にしていただきたい.本書の各論は重要なレジメンをすべて網羅しているが,そのほとんどのエビデンスは海外の臨床試験によるものである.これらは大規模の前向き試験でその有用性が証明されたものが多く,我々はそれらを参考にエビデンスに基づいたがん化学療法を施行する必要がある.一方,標準的投与量設定が妥当であるかは患者の状態や臨床データなどを個別に評価して施行するべきであり,手術治療と同等に主治医の経験,知識が要求される.

 進行頭頸部がんに対して集学的治療として化学療法を施行するときは,他科や多職種との連携が必須となる.そのようなときに本書の副作用対策や支持療法を十分参考にしていただきたい.本書は,頭頸部腫瘍内科医として活躍する田原?信先生,清田尚臣先生の呼びかけによって頭頸部がん化学療法の経験豊富な多くの腫瘍内科医,そして頭頸部がん集学的治療を得意とする頭頸部外科医,放射線治療医の執筆を得ることができた.本書はわが国で初めての,頭頸部がん化学療法に特化したマニュアル本である.現在,世界中で頭頸部がんに対する新規治療開発をめざした臨床試験が多く行われている.そしてわが国でも日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)にJCOG頭頸部がんグループが設立され,わが国から発信するエビデンスをめざしている.このような状況の中で,本書は適時改訂されて最新の情報を掲載することを使命と考えている.そして,頭頸部がん化学療法を施行する際の座右の書として,多くの頭頸部がん患者のより良い治療に役立つことを願っている.

2014年4月

国立病院機構東京医療センター
臨床研究センター 耳鼻咽喉科
藤井正人

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目 次

第I部 総 論

 1.化学療法を始める前に 〈藤井正人,田原 信,清田尚臣〉
  1.がん化学療法を始める前に
  2.化学療法を行うときの診察とアセスメント
  3.インフォームド・コンセント
   Column標準治療と臨床試験 〈田原 信〉 

 2.化学療法の種類 〈田原 信〉
  1.化学放射線療法
  2.術後補助化学放射線療法
  3.導入化学療法
  4.分子標的薬+放射線療法
  5.緩和的化学療法
   Column NCCNガイドラインについて
        〜わが国の実臨床に生かされているか?〜 〈横田知哉〉 

 3.外来化学療法 〈藤井博文〉
  1.化学療法とその実施
  2.外来化学療法の目的
  3.外来化学療法のメリットとデメリット
  4.外来化学療法の適応
  5.頭頸部がん化学療法で外来投与可能な薬剤
  6.外来化学療法における注意点

 4.他職種との連携のしかた 〈藤井正人,田原 信,清田尚臣〉
  1.薬剤師との連携
   Column 薬剤師から 〈小川千晶〉 
  2.栄養士との連携
   Column 栄養士から 〈神谷しげみ〉 
  3.リハビリテーションとの連携
  4.ソーシャルワーカー
   Column 頭頸部がんとIMRT 〈西村英輝〉 

第II部 化学療法各論
  1.局所進行頭頸部がんに対する治療法
   1.CDDP併用化学放射線療法 〈清田尚臣〉
   2.weekly CDDP併用化学放射線療法 〈本間明宏〉
   3.セツキシマブ併用化学放射線療法 〈小野澤祐輔〉
   4.TPF療法およびCBDCA併用化学放射線療法 〈榎田智弘〉
    Column 導入化学療法の考え方,今後の動向 〈榎田智弘〉

  2.転移・再発頭頸部がんに対する治療法
   1.5-FU+CDDP+セツキシマブ療法 〈岡野 晋〉
   2.5-FU+CDDP療法(FP療法) 〈清田尚臣〉
   3.5-FU+CBDCA療法 〈天津久郎,田原 信〉
   4.DTX+CDDP療法(DC療法) 〈島田貴信〉
   5.CAP療法 〈今村善宣,清田尚臣〉
   6.DTX療法 〈原 浩樹〉
   7.weekly PTX療法 〈喜多川浩一〉
   8.TS-1療法 〈横田知哉〉
   9.ネダプラチン療法 〈門脇重憲〉
  10.DTIC療法 〈西村明子,清田尚臣〉
    Column 頭頸部がんとHPV 〈家根旦有〉 

 3.骨転移に対する治療法
  1.ゾレドロン酸による骨転移の治療 〈高橋俊二〉
  2.デノスマブによる骨転移の治療 〈高橋俊二〉
   Column 頭頸部がんとTranslational Research 〈畠山博充〉 

第III部 頭頸部がん化学療法の副反応対策と支持療法
 1.副反応の対策
  1.発熱性好中球減少 〈尾上琢磨,松本光史〉
  2.抗がん薬による嘔気・嘔吐 〈清田尚臣〉
  3.腎障害(シスプラチンの減量規準を含む) 〈門脇重憲〉
  4.電解質異常 〈山田遥子,田原 信〉
   a)低Na血症
   b)低Mg血症
  5.末梢神経障害,聴力障害 〈石木寛人〉
   a)抗がん薬による末梢神経障害
   b)抗がん薬による聴力障害
  6.EGFR阻害薬による皮膚反応・マネージメント 〈山崎知子,田原 信〉
  7.抗体薬によるインフュージョンリアクション〈岡野 晋〉

 2.B型肝炎ウイルスの再活性化予防 〈山田遥子,田原 信〉
 3.支持療法 〈全田貞幹〉
  1.放射線治療による粘膜炎 〈全田貞幹〉
  2.口腔ケア 〈上野尚雄〉
   Column 頭頸部がんのQOL評価 〈片岡智子〉 
  3.放射線性皮膚炎 〈石井しのぶ,全田貞幹〉
  4.栄養管理 〈松浦一登〉
   Column 頭頸部がんの支持療法を学ぶ研究会:J-SCARPH 〈田原 信〉 

第IV部 付 録
 1.TNM分類 〈今村善宣,清田尚臣〉
 2.CTCAE 4.0 〈今村善宣,清田尚臣〉

索 引

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執筆者一覧

藤井正人 国立病院機構東京医療センター臨床研究センター耳鼻咽喉科 監修
田原 信 国立がん研究センター東病院頭頸部内科 
清田尚臣 神戸大学医学部附属病院腫瘍・血液内科 
横田知哉 静岡がんセンター消化器内科 
藤井博文 自治医科大学附属病院臨床腫瘍科 
西村英輝 神戸低侵襲がん医療センター放射線治療科 
本間明宏 北海道大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科 
小野澤祐輔 静岡がんセンター原発不明科 
榎田智弘 国立がん研究センター東病院頭頸部内科 
岡野 晋 東京慈恵会医科大学耳鼻咽喉科 
天津久郎 国立がん研究センター東病院頭頸部内科 
島田貴信 国立病院機構東京医療センター耳鼻咽喉科 
今村善宣 神戸大学医学部附属病院腫瘍・血液内科 
原 浩樹 埼玉県立がんセンター消化器内科 
喜多川浩一 神戸低侵襲がん医療センター腫瘍内科 
門脇重憲 愛知県がんセンター中央病院薬物療法部 
西村明子 神戸大学医学部附属病院腫瘍・血液内科 
家根旦有 近畿大学医学部奈良病院耳鼻咽喉科 
高橋俊二 がん研有明病院総合腫瘍科 
畠山博充 北海道大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科 
尾上琢磨 兵庫県立がんセンター腫瘍内科 
松本光史 兵庫県立がんセンター腫瘍内科 
山田遥子 国立がん研究センター東病院乳腺腫瘍内科 
石木寛人 東京大学医科学研究所附属病院緩和医療科 
山崎知子 国立がん研究センター東病院頭頸部内科 
全田貞幹 国立がん研究センター東病院粒子線医学開発分野 
上野尚雄 国立がん研究センター中央病院歯科 
片岡智子 神戸低侵襲がん医療センター歯科口腔外科 
石井しのぶ 国立がん研究センター東病院看護部 
松浦一登 宮城県立がんセンター頭頸科 
小川千晶 国立病院機構東京医療センターがん薬物療法支援マネージャー 執筆協力
神谷しげみ 国立病院機構東京医療センター栄養士 執筆協力

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