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書籍詳細

増補版 遺伝性出血性末梢血管拡張症(オスラー病;HHT)の診療マニュアル

増補版 遺伝性出血性末梢血管拡張症(オスラー病;HHT)の診療マニュアル

塩谷隆信 編集

A4判 177頁

定価3,300円(本体3,000円 + 税)

ISBN978-4-498-03525-6

2015年04月発行

在庫なし

増補版の序

 遺伝性出血性末梢血管拡張症(オスラー病;hereditary hemorrhagic telangiectasia:HHT)は,反復
する鼻出血,皮膚粘膜の末梢血管拡張,内臓病変(動静脈奇形),常染色体優性遺伝を 4 徴候とする
全身性血管疾患である.オスラー病は,末梢血管拡張あるいはその部位からの出血が種々の臓器に出
現する多臓器疾患(multi−organ system disease)であるために臨床症状が極めて多岐にわたり,患者
は内科のみならず,脳外科,耳鼻咽喉科,小児科,皮膚科,歯科など極めて多くの診療科を初診する.
さらに,合併する脳動静脈奇形あるいは,肺動静脈奇形の破綻により時に致死的となることもある.
本症は,従来,欧米に多い疾患であると考えられていたが,近年,日本においても稀ならず存在する
ことが報告されてきている.
 本書の発刊当時,日本におけるオスラー病に関しては,原因遺伝子に関する基礎的研究は非常に少
なく,さらに本症の診断と治療は,実地医療機関の臨床的な判断のもとに個別に行われている状況に
あった.本書は,日本におけるオスラー病診療に関するこうした状況に鑑み,これまでのオスラー病
患者の診断・治療経験を集積および集約して,本症の診断と治療のための「診療マニュアル」を作成
しその普及を計ることを目的として発行された.発刊後幸いにして多くの読者を得て,このたび増補
版を出版する機会を得た.今回,増刷にあたり,一部修正を加えるとともに,いくつかの章では新し
く加筆も行った.近年,オスラー病の原因遺伝子と表現型の関連が明らかになってきており,また分
子標的治療のあらたな臨床治験も開始され,本書にはこうした情報も盛り込まれている.
 遺伝性出血性末梢血管拡張症(オスラー病)は,厚生労働省の「指定難病」の候補になっており,
現在,その書類審査が行われている.こうした現状の中,本書が,臨床の場で大いに活用され,日本
各地において多くの症状で悩むオスラー患者の診療向上に役立つところがあれば著者らの望外の喜び
とするところである.
 なお,本書の作成は,平成 21−23 年度厚生労働科学研究費補助金難治性疾患克服研究事業「遺伝性
出血性末梢血管拡張症(オスラー病)に関する遺伝疫学と診療ガイドラインの作成」に基づいて行わ
れた.本研究班は,その後,平成 24−25 年度同研究事業「難治性稀少肺疾患(肺胞蛋白症,先天性間
質性肺疾患,オスラー病)に関する調査研究」および平成 26−27 年度同研究事業「呼吸不全に関する
調査研究」に引き継がれていることを付記する.
2015 年 3 月

厚生労働省 難治性疾患克服研究事業
遺伝性出血性末梢血管拡張症・診療ガイドライン作成委員会
委員長 秋田大学教授
塩谷隆信

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目次

第 1 章 定義と診断

 1.歴史的背景〈渕崎宇一郎〉 
  1.歴史と背景 
  2.William Osler 
 
 2.診断と予後〈塩谷隆信〉 
  1.臨床診断規準 
  2.症 状 
  3.合併症 
  4.予 後 


第 2 章 疫 学

遺伝疫学〈和田安彦 小泉昭夫〉
 1.責任遺伝子同定の歴史的経緯
 2.遺伝子検査
 3.検査で得られた突然変異の,家系調査などによる意味づけ
 4.わが国における遺伝疫学の調査
 5.有病率


第 3 章 病 因

 1.責任遺伝子〈森崎裕子 森崎隆幸〉
  1.HHT の遺伝
  2.エンドグリンおよび ENG 遺伝子
  3.ALK1 および ACVRL1 遺伝子
  4.HHT の遺伝子解析
  5.HHT は TGF−βシグナル伝達異常により発症する
  6.遺伝子診断について

 2.分子病態生理〈竹中勝信〉
  1.血管拡張症の発生
  2.脳 AVM の発生
  3.HHT と分子遺伝学
  4.関連分子とモデル
  5.将来展望

 3.遺伝子型と臨床病型の関連〈吉村邦彦〉
  1.遺伝子型と臨床病型の関連
  2.遺伝性出血性末梢血管拡張症の各遺伝子型の実際の症例


第 4 章 臨床所見と画像診断

 1.臨床所見の発現経過〈塩谷隆信 佐竹將宏〉
  1.臨床病型と臨床所見発現の関連
  2.血管異常の発現経過
  3.臨床病型の発現と予後の関連

 2.鼻出血〈市村恵一〉
  1.鼻出血はなぜ起きるか 
  2.鼻出血の起こる部位
  3.血管病変の分類
  4.鼻出血の発現状況
  5.鼻出血の重症度
  6.画像診断

 3.皮膚の末梢血管拡張症〈津田昌明 梅林芳弘 眞鍋求〉
  1.症 例
  2.皮疹の特徴
  3.鑑別診断

 4.内臓動静脈奇形
  A.肺
   1)血管造影〈佐藤一洋〉
     1.肺動静脈奇形とは
     2.PAVM と HHT の合併
     3.PAVM の病態
     4.PAVM の特徴
     5.PAVM の画像所見
   2)肺内シャント〈藤本圭作〉
     1.症 例
     2.シャント率の求め方
   3)心エコー〈寺田舞 渡邊博之 伊藤宏〉
     1.肺動静脈奇形のスクリーニングにおける有用性
     2.心臓合併症の診断における有用性
   4)日本における遺伝性出血性末梢血管拡張症に合併する肺動静脈奇形
    (2010 年全国アンケート調査結果)〈佐藤一洋 佐野正明 塩谷隆信〉
     1.全国アンケート調査
     2.第一次調査結果
     3.第二次調査結果
  B.肝 臓
   1)血管造影・CT〈橋本学〉
     1.病理学的所見
     2.画像所見
     3.主な臨床症状
     4.治 療
   2)腹部エコー〈石田秀明 長沼裕子 大山葉子〉
     1.肝
     2.胆道系,膵,脾
  C.脊 髄〈小宮山雅樹〉
     1.脊髄血管奇形の診断
     2.脊髄血管奇形の分類
     3.動静脈瘻
     4.動静脈奇形
     5.HHT 関連の脊髄血管奇形の特徴
  D.消化管病変〈藤塚宜功 五十嵐良典〉
     1.症 例
     2.考 案


第 5 章 治療と管理

 1.鼻出血〈市村恵一〉
  1.鼻出血の治療法概観
  2.保存療法
  3.焼灼療法
  4.血管塞栓・結紮
  5.鼻粘膜皮膚置換術
  6.外鼻孔閉鎖術

 2.貧 血〈奈良美保 澤田賢一〉
  1.病 態
  2.診 断
  3.治療指針

 3.肺動静脈奇形
  A.血管内塞栓術と合併症の管理
   1)コイル塞栓術〈橋本学〉
    1.術前評価
    2.基本的手技
    3.塞栓術
    4.成績と経過観察
    5.特殊な PAVM の塞栓
    6.体循環系の関与
    7.妊娠と PAVM
    8.肺動脈圧
   2)塞栓術の適応と効果〈佐藤一洋〉
    1.HHT に伴う PAVM の臨床的問題点
    2.PAVM の治療適応
    3.治療法の選択
    4.カテーテル塞栓術
    5.治療成績
    6.カテーテル塞栓術の問題点
    7.予 後
   3)肺高血圧症と治療〈中西宣文 佐久間聖仁〉
    1.遺伝性出血性末梢血管拡張症(HHT)における肺高血圧症
    2.肺血流量増加/左心不全型の肺高血圧症
    3.PAH 型の肺高血圧症(HHT−PAH)
    4.HHT−PAH の臨床像と治療
   4)小児の肺動静脈奇形〈山田修 杉山央〉
    1.発生頻度
    2.形 態
    3.臨床症状
    4.出現時期
    5.診 断
    6.治 療
    7.合併症
    8.予 後
    9.遺伝子解析
  B.外科的切除〈川村光夫〉
    1.外科治療の歴史と今日の位置づけ
    2.本邦での外科治療報告例
    3.外科治療後の再発と経過観察
    4.びまん性肺動静脈瘻の外科治療

 4.脳動静脈奇形
  A.外科的治療〈竹中勝信〉
   1.脳血管奇形と AVM
   2.脳 AVM の形態
   3.HHT に合併する脳 AVM の発症様式
   4.HHT に合併する脳 AVM の特徴
   5.脳 AVM の治療(手術治療に関して)
   6.直達手術による AVM 全摘の可能性
   7.非直達手術について
   8.手術合併症
  B.血管内治療〈小宮山雅樹〉
   1.動静脈奇形の治療
   2.HHT 関連の脳血管奇形の特徴と治療
   3.HHT 関連の脳血管奇形のスクリーニング
  C.放射線治療: 定位放射線療法を中心に〈鈴木明 清水宏明〉
   1.治療の適応と現状
   2.治療方針
   3.SRS の作用機序 
   4.当院における SRS
   5.線量計画
   6.治療の評価
   7.症例
   8.遠隔成績と晩期放射線障害

 5.肝動静脈奇形〈塩谷隆信 井上博雅〉
  1.肝動静脈奇形の背景
  2.肝動静脈奇形の治療

 6.脊髄動静脈奇形〈小宮山雅樹〉
  1.脊髄動静脈奇形の治療(HHT に限らない一般論)
  2.HHT 関連の脊髄血管奇形の特徴と治療
  3.HHT 関連の脊髄血管奇形のスクリーニング
  4.症例: 出血発症の脊髄円錐にある脊髄動静脈瘻


第 6 章 臨床マネージメントとフォローアップ

 1.遺伝カウンセリング〈浦野真理 斎藤加代子〉
  1.遺伝カウンセリングとは
  2.HHT の遺伝カウンセリング

 2.告知後の家族支援〈大橋博文〉
  1.疾患の告知が家族にもたらす心理的反応と障害受容
  2.実際の家族支援

 3.妊娠の影響〈佐野正明〉
  1.HHT 合併妊娠の問題点
  2.治 療
  3.HHT 合併妊娠への対応

 4.フォローアップの留意事項〈塩谷隆信 村田勝敬〉
  1.フォローアップ
  2.深部静脈血栓症の予防
  3.脳卒中のある HHT 患者
  4.歯科治療
  5.航空機による旅行,スキューバダイビング
  6.展 望

HHT 研究会および患者会

附 HHT の EBM International Guideline〈塩谷隆信〉
 1.HHT の診断
 2.鼻出血
 3.脳動静脈奇形
 4.肺動静脈奇形
 5.消化管出血 
 6.肝血管奇形 


索 引 

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執筆者一覧

塩谷隆信 遺伝性出血性末梢血管拡張症・診療ガイドライン作成委員会委員長/秋田大学教授 編集
渕崎宇一郎 恵寿総合病院消化器内科科長 
塩谷隆信 秋田大学大学院医学系研究科保健学専攻理学療法学講座教授 
和田安彦 高知県立大学健康栄養学部健康生態学教授 
小泉昭夫 京都大学大学院医学研究科環境衛生学分野教授 
森崎裕子 国立循環器病研究センター研究所分子生物学部室長 
森崎隆幸 国立循環器病研究センター研究所分子生物学部部長 
竹中勝信 高山赤十字病院脳神経外科部長 
吉村邦彦 三井記念病院呼吸器内科部長 
佐竹將宏 秋田大学大学院医学系研究科保健学専攻理学療法学講座准教授 
市村恵一 自治医科大学名誉教授,石橋総合病院統活理事 
津田昌明 とまこまい北星皮膚科クリニック院長 
梅林芳弘 秋田大学大学院医学系研究科皮膚科学・形成外科学准教授 
眞鍋求 秋田大学大学院医学系研究科皮膚科学・形成外科学教授 
佐藤一洋 秋田大学大学院医学系研究科循環器内科・呼吸器内科講師 
藤本圭作 信州大学医学部保健学科検査技術科学専攻生体情報検査学教授 
寺田舞 秋田大学大学院医学系研究科循環器内科 
渡邊博之 秋田大学大学院医学系研究科循環器内科准教授 
伊藤宏 秋田大学大学院医学系研究科循環器内科教授 
佐野正明 秋田大学大学院医学系研究科循環器内科・呼吸器内科講師 
橋本学 秋田大学大学院医学系研究科放射線科教授 
石田秀明 秋田赤十字病院超音波センター,第3内科部長 
長沼裕子 市立横手病院内科 
大山葉子 秋田厚生医療センター臨床検査科 
小宮山雅樹 大阪市立総合医療センター脳神経センター部長 
藤塚宜功 東邦大学医療センター大森病院消化器内科 
五十嵐良典 東邦大学医療センター大森病院消化器内科教授 
奈良美保 秋田大学大学院医学系研究科内科学講座血液・腎臓内科学(第3内科) 
澤田賢一 秋田大学大学院医学系研究科内科学講座血液・腎臓内科学(第3内科)教授 
中西宣文 国立循環器病研究センター心臓血管内科(肺循環部門)部長 
佐久間聖仁 元国立循環器病研究センター心臓血管内科(肺循環部門)医長 
山田修 国立循環器病研究センター小児循環器部医長 
杉山央 国立循環器病研究センター小児循環器部医長 
川村光夫 東京勤医会東葛病院呼吸器外科,副院長 
鈴木明 秋田大学大学院医学系研究科脳神経外科 
清水宏明 秋田大学大学院医学系研究科脳神経外科教授 
井上博雅 鹿児島大学大学院医歯学総合研究科呼吸器内科学教授 
浦野真理 東京女子医科大学附属遺伝子医療センター 
斎藤加代子 東京女子医科大学附属遺伝子医療センター教授 
大橋博文 埼玉県立小児医療センター遺伝科部長 
村田勝敬 秋田大学大学院医学系研究科環境保健学講座教授 

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