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書籍詳細

抗凝固薬の考え方、使い方

抗凝固薬の考え方、使い方

奥山裕司 著

A5判 180頁

定価3,520円(本体3,200円 + 税)

ISBN978-4-498-11708-2

2016年04月発行

在庫あり




 心房細動は不整脈ではないとつくづく感じる.単なる不整脈であれば電気現象としての心房細動を抑え込めばそれで解決である.そう単純ではないということである.心房細動の成因は複雑で“症候群”的なところもありそうだが,基本的には加齢・動脈硬化的な変化を基礎に生じるものだ.その加齢・動脈硬化的な変化は心房細動発症前から進行しているし,発症後も進行は止まらない.我々はそれを止める方法をいまだ持ち合わせていない.しばしば心房細動は進行性の不整脈であると表現されるが,この根本となる変化と細動によって修飾される変化(この部分だけがAF begets AF)が一体となって進行するというのが本質ではないだろうか? 心房細動という不整脈が進行性というのは表層的な見方だと筆者は考えている.

 “根治”という言葉は誰にとっても心地良い言葉である.心房細動が根治する,と聞けば患者は治療を希望するし,うっとうしい抗凝固療法も止めることができるのではないか,と期待するのが人情であろう.しかしそうはいかない.少なくとも本来抗凝固療法が必要な患者でカテーテルアブレーションを行うことで抗凝固療法を中止できるという根拠はない.多くの臨床現場で使用されている診断法の範囲ではどのような結果であっても抗凝固療法を中止する根拠にはならないことを詳細に解説した.中止できるだろうとお考えの諸兄にはぜひ本書を読んでいただきたい.

 新規抗凝固薬が登場して,抗凝固療法は大いに変わった.しかし全てが良い方向に進歩・発展したわけではない.つまりたくさんあったワルファリンの問題点の一部は一定の解決がなされたが,新規抗凝固薬に特有とも言える新たな問題点も生じているということである.抗凝固療法はいまだ諸刃の剣である.新規抗凝固薬は従来通りあるいは従来以上にきめ細かい配慮をしながら使用すれば,より良い結果(頭蓋内出血の頻度低減など)が得られる薬剤と認識するべきである.手間が掛からなくなるからと安易に使用していると痛い目にあう.また新規抗凝固薬は決して横並びではない.冷静な目で,詳細に大規模試験の結果を眺めれば,性能の差は明らかである.そもそもそれを認めないと使い分け論議はできない.使い分けというのは相対評価をしているわけだから.

 “病気だけを診ず,患者を診ろ”とよく言われる.“心房細動だけを診ず,その背景・患者全体を診ろ”ということであろう.時代が変わって,新たな治療法が手に入っても,医療の本質はなんら変わらない.



2016 年3 月
大阪大学大学院医学系研究科循環器内科学/先進心血管治療学寄附講座 准教授
奥山裕司

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推薦の辞


 心房細動症例では脳梗塞発症率が高く,抗凝固療法がその脳梗塞予防に有効であることは明らかになっている.しかし,実際には,使用できる内服抗凝固薬管理の煩雑さや大出血への懸念から,本来適応のある患者に十分使用されてこなかった.また,アスピリン製剤が漫然と使用されたり,抜歯や消化器内視鏡検査に際し不用意に抗凝固薬が中止され,重篤な脳梗塞に見舞われる状況も少なからず経験された.

 このような問題があった中,2011 年からいわゆる新規経口抗凝固薬が次々と発売され,日本の心房細動症例における心原性塞栓予防は格段に進歩した.もちろん新しい薬剤が旧来薬の種々の欠点を超えるものであることもこの進歩に大きく寄与しているが,最も大きな変化は,新規薬剤発売に伴い,より多くの臨床医が塞栓症予防の必要性に目覚めたことにある.そのために心房細動カテーテルアブレーション後経過の良い患者の抗凝固療法や,冠動脈ステント治療後の心房細動患者の抗血栓療法など,様々な問題点が浮かび上がってきた.このような状況で登場したのが,本書「抗凝固薬の考え方,使い方」である.

 本書は類書にはないいくつもの特徴を有している.まず,本書には心房細動の捉え方と抗凝固療法を考えるうえで何が最も重要であるかということが明確に論ぜられている.知識というものは古くなるものであるし,全ての既知の情報を知るということは不可能に近い.また臨床現場で生じる疑問に的確に答える研究がなされていない場合も多い.ここでより的確な判断をしていくために必要なことは,心房細動という疾患の本質を見極め,抗凝固療法全体についての考え方を知ることであろう.さらに,広い範囲を一人の執筆者がカバーし,一定の文体と論理構成で書かれていることも,理解の助けとなっている.

 本書が,質の良い抗凝固療法の普及により心原性塞栓の犠牲者が減ることに役立てば,この上ない喜びである.



2016 年3 月
大阪大学大学院医学系研究科循環器内科学 教授
坂田泰史

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目次

第I章 心房細動の機序と疫学を知る
 (1) 心房細動の俯瞰的捉え方
 (2) 心房細動の発症基盤: 基本は心房の老化現象
    1.虚血性心疾患は初期にステントを入れると完治する?
    2.心房細動が発作性→持続性→永続性と進行するというのは表層的理解
    3.アブレーションが有効に見えるのは?
    4.いわゆる“upstream 治療”と“真のupstream 治療”
    5.CAST 試験から学ぶべきこと
    6.AF でCAST 試験と同じ過ちを繰り返してはならない
    7.AF burden と脳梗塞・脳卒中
    8.持続性と発作性心房細動の生命予後
 (3) 安全性って?
    1.安全性についての考え方
    2.最も守るべきは“頭”
 (4) 無症候性の問題
    1.心房細動は問診とスナップショット心電図で捉えられるのか?!
 (5) 心房細動患者におけるカテーテルアブレーションの意義


第II章 心原性塞栓症と抗凝固療法の基礎知識
 1.心房細動に伴う心原性塞栓の機序
 2.心原性塞栓の予防の考え方
 3.心原性塞栓のリスク評価
 4.出血のリスク評価
 5.抗凝固薬の作用機序
 6.抗凝固強度の評価
 7.ワルファリンからNOAC(DOAC)へ〜良いことばかりではない〜


第III章 ワルファリン治療
 1.抗凝固療法の質の評価
 2.TTR でみたワルファリン治療の質と臨床効果
 3.ワルファリン治療の質を上げるために
 4.抗凝固療法の適応についての考え方
 5.抗凝固療法導入期と維持期の問題
 6.出血合併症の頻度と予防法
 7.抗凝固療法中の大出血と対処の基本
 8.抗凝固療法中の頭蓋内出血に対する対処
 9.手術時などの対処法,内視鏡検査などに関連して
 10.Sick day rule について
 11.現段階でNOAC よりもワルファリンが選択される状況


第IV章 新規経口抗凝固薬概説
 新規抗凝固薬の特徴と大規模試験の評価ポイント
  (1) 直接トロンビン阻害薬: ダビガトラン
  (2) 第Xa 因子阻害薬:アピキサバン
  (3) 第Xa 因子阻害薬:リバーロキサバン
  (4) 第Xa 因子阻害薬:エドキサバン


第V章 抗凝固薬の使い分け


第VI章 抜歯,内視鏡検査,外科手術時の抗凝固療法
 1.抜歯を含めた歯科治療時の抗凝固療法
 2.消化管内視鏡検査
 3.開腹・開胸などの外科的処置
 4.ヘパリン置換の問題


第VII章 持続性心房細動のcardioversion 時の対応


第VIII章 透析中または腎機能障害時の抗凝固療法
 1.CKD 患者での抗凝固療法
 2.透析患者における抗凝固療法


第IX章 高齢者における抗凝固療法
 1.ワルファリン治療におけるnet clinical benefit と年齢
 2.新規抗凝固薬の特徴とnet clinical benefit
 3.高齢者での抗凝固療法の使い分け


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奥山裕司  著

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