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書籍詳細

ここが知りたい 重症心不全の患者さんが来ました

ここが知りたい 重症心不全の患者さんが来ました

北風政史  編著

A5判 564頁

定価(本体8,200円 + 税)

ISBN978-4-498-13644-1

2016年09月発行

在庫あり

日常診療において重症心不全症例に遭遇,診療する機会は,今後ますます増えてくることが予想されるが,病態の理解や,診療における具体的なスキルやノウハウを学ぶ機会は決して多いとはいえない.そこで本書は,臨床の第一線で活躍する各領域のエキスパートたちが,これまでの豊富な症例や経験を元に重症心不全に対するファーストタッチから診断,根本治療から退院までをどのように行うべきかを解説.現場で役立つ実践的なマニュアル

緒言


 物事を習得するには2つの異なった方法論があります.一つは,オーソドックスに,基礎から順番に「知識・理解と実践」を積み上げていき100点満点に到達するというやり方です.ほとんどの学問の学習ステップはこの方式を採用しています.しかも,1から10まで進んだら,また,5に戻って5から15まで進めていくという“しゃくとり虫”のような方法論が小学校から高校までの学習のパターンです.実際,日本史や世界史は,社会科として小学校でも中学でも高校でも習いますが,少しずつその内容が詳しくなっていきます.このような確実・堅実な方法論で,私を含め多くの方がいろいろなスキルを習得してきたはずです.数学の証明法にたとえると「帰納法」のようなものです.これは学問の習得だけでなく,野球でもテニスでもゴルフでも同じです.何でも“基礎が肝心”だ,ということで素振り,ボレーキック,ドライバーの練習を飽きるほどやるわけです.飽きるほど基礎練習をした後に,やっと練習試合に出してもらえますが,本番の試合出場まではかなりの時間がかかります.
 ところが,この方法とは真逆で,基礎がある程度身についたら,すぐにトップレベルの応用問題を解かせる方法も存在します.つまり10点ぐらいとれる力がついたら100点レベルの超難問を解きにかかり,その正解を得るステップでその分野で必要なものを逐次習得していくというパターンです.こんな方法論が成り立つはずがないと思っていたのですが,実は私どもの最も身近にある臨床医学では,医学生が医師免許を持ったとたんに,あたかも「中学生に対して,大学入試レベルの数学の問題を解くことを要求する」ような教育・研修パターンがよく見受けられます.私も,医師になりたてのころ,90歳超えた重症肺炎の症例を受け持ち,毎日抗生物質の勉強をしていると,その非常に狭い分野では,オーベンの先生より豊富な知識を自然と有することになっていました.次いで受け持ったのがウイルス性心筋炎の症例でしたが,毎日泊まり込んでその症例に当たっていると,重症心不全の診断と治療が自然と身についてくるわけです.そして,重症心不全がうまく診られるようになると,その基礎編だった軽症・中等症心不全は何に気をつければ重症化しないかということがおのずからわかってきます.数学の証明にたとえれば,さしづめ「演繹法」でしょうか?
 この後者の方法論こそがまさしく本書が目指すところです.本書は,通常よく遭遇する軽度・中等度の心不全の診断・治療の習得をめざす医療関係者が,(1) 日ごろはあまり出会わない重症心不全症例のERでのファーストタッチ,(2) その病態をどう考えるかという課題に対して医局の先輩や図書館の論文からの知識習得,(3) それを病棟で待ち受ける患者さんの診断にいかし,(4) そこから始める根本的な治療の開始,(5) 治療の変更と継続,(6) そして退院へ向けての方策と,その一連の重症心不全の症例の診断と治療の流れをあたかもご自分が主治医になったかのように疑似体験できる仕組みになっています.ですから,一度本書を通読すれば,重症心不全のみならず,すべての心不全に精通することができるようになります.「大は小を兼ねる」よろしく,さしずめ「重は軽を兼ねる」というところしょうか? もちろん,心不全の基礎はすでに十分習得された若手─中堅の先生がたは,ご自分の知識の確認と,ご自分の知識と技量で不足している点については,本書をつまみ食いすることにより補充していただければと思います.また,心不全の治療は医師だけではできません.ハートチームとして,医療関係者みんなで当たっていかなくてはいけません.このため,医師だけでなく,看護師,薬剤師,検査技師の皆様方も,皆様方が出会われる心不全への理解を深めるために,共通の心不全に対するプラットホームを確立するために,ぜひ,本書を通読することをおすすめいたします.
 本書は,循環器領域に従事する一流の医師・研究者により執筆されております.つまり,現時点での最高の重症心不全の教科書といえるかと思います.本書は,これから重症心不全の方々と向かい合おうとする医師・医療関係者はもちろん,軽症な心不全の症例は診ることはあっても重症心不全は今おられる医療機関では診ることの少ない医師・医療関係者に対しても,ご一読願いたいと考えています.本書が少しでも皆様方の日常診療のお役に立てれば編者として大いなる喜びとするところです.

平成28年 盛夏
北風政史

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目 次


第1章 重症心不全症例のファーストタッチ
 1.臨床症状から〈大原貴裕〉
 2.胸部X線写真,心電図〈長谷川拓也〉
 3.血液検査から〈瀬口 理〉
 4.心エコーから〈神崎秀明〉
 5.スワンガンツを入れる判断〈高濱博幸〉
 6.初期治療のトリアージ〈本田泰之 永井利幸〉
 7.重症心不全症例−DCM症例からの検討〈玉置俊介 山田貴久 福並正剛〉
 8.重症心不全症例−AMI症例からの検討〈斎田 天 石原正治〉
 9.重症心不全症例−急性(劇症型)心筋炎からの検討〈中島誠子〉
第2章 重症心不全症例のセカンドステージ
 1.血液・生化学的検査〈佐々木英之〉
 2.カテーテル検査〈佐々木英之〉
 3.心筋生検〈中嶋絢子 植田初江〉
 4.運動負荷試験〈岡田健一郎〉
 5.心臓核医学〈木曽啓祐〉
第3章 重症心不全の病態とその評価
 1.生理学的観点から〈堀田幸造 佐藤幸人〉
 2.神経体液因子と心不全の病態との関わり〈藤木伸也 小幡裕明 南野 徹〉
 3.形態学から〈山内洋平 石坂信和〉
 4.Nohria-Stevenson分類から〈橋村一彦〉
 5.Forrester分類から〈橋村一彦〉
第4章 重症心不全の病態の理解
 1.ショック〈安村良男〉
 2.急性心不全−虚血性・非虚血性〈佐藤直樹〉
 3.慢性心不全の増悪〈絹川真太郎〉
 4.左心不全〈谷口逹典 坂田泰史〉
 5.HFrEF〈猪又孝元〉
 6.HFpEF〈橋村一彦〉
 7.右心不全〈杉原志伸 山本一博〉
第5章 重症期を脱する重症心不全治療
 1.利尿薬〈森澤大祐 廣谷信一 増山 理〉
 2.PDE3型阻害薬〈大原貴裕〉
 3.ドパミン,ドブタミン,カテコラミン〈高濱博幸〉
 4.hANP:カルペリチド〈朝倉正紀〉
 5.血管拡張薬〈濱谷康弘 天木 誠〉
 6.呼吸補助療法〈菅野康夫〉
 7.IABP〈木岡秀隆〉
 8.PCPS〈花谷彰久 葭山 稔〉
 9.VAD〈黒田健輔 瀬口 理〉
 10.外科的治療〈藤田知之 小林順二郎〉
 11.心臓移植〈瀬口 理〉
第6章 重症心不全を合併症から考える
 1.腎不全が併発しているとき〈安村良男〉
 2.肺高血圧症を併発しているとき〈佐藤直樹〉
 3.電撃性肺水腫を併発しているとき〈川上将司〉
 4.心房細動を合併する重症心不全〈丸山将広 野田 崇 草野研吾〉
 5.心室頻拍を合併する心不全〈丸山将広 野田 崇 草野研吾〉
 6.虚血性心疾患を併発しているとき〈田巻庸道 中川義久〉
 7.高血圧を合併しているとき〈安村良男〉
第7章 原因疾患を治療する
 1.拡張型心筋症〈高濱博幸〉
 2.肥大型心筋症〈筒井裕之〉
 3.大動脈弁疾患〈高潮征爾〉
 4.僧帽弁逆流症〈濱谷康弘 天木 誠〉
 5.三尖弁疾患〈福井重文〉
 6.頻脈性および徐脈性心不全〈藤野剛雄 井手友美〉
第8章 退院まで持って行く重症心不全治療
 1.VADのweaning〈瀬口 理〉
 2.IABP,PCPSのweaning〈瀬口 理〉
 3.強心薬のweaning〈安村良男〉
 4.β遮断薬〈安村良男〉
 5.RAS阻害薬〈川田啓之 斎藤能彦〉
 6.アルドステロン拮抗薬〈松本賢亮 平田健一〉
 7.CRT/CRTD〈神崎秀明〉
 8.植込型LVADの在宅療法〈岡田憲広 瀬口 理〉
 9.心不全のリハビリテーション〈伊東春樹〉
第9章 再発予防のために
 1.薬物療法〈浅沼博司 北風政史〉
 2.生活習慣に対応する〈浅沼博司 北風政史〉
 3.心房細動に対応する〈堀江 稔〉
 4.呼吸不全・夜間無呼吸に対応する〈佐田 誠〉
 5.貧血に対応する〈渡邉雅貴〉
 6.腎不全に対応する〈猪阪善隆〉
 7.糖尿病に対応する〈安斉俊久〉
 8.冠動脈疾患に対応する〈川上将司 野口暉夫〉
第10章 重症心不全克服の将来像
 1.薬物療法〈鈴木 誠 矢川真弓子 友池仁暢〉
 2.外科的療法〈秦 広樹 小林順二郎〉
 3.非薬物療法〈武輪能明〉
 4.ビッグデータ〈興梠貴英〉
 5.数理化〈中野 敦〉
 6.遺伝子〈朝野仁裕〉

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索 引

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執筆者一覧

北風政史  国立循環器病研究センター臨床研究部部長 編著
大原貴裕  東北医科薬科大学地域医療学 / 総合診療科准教授 
長谷川拓也 国立循環器病研究センター心臓血管内科 
瀬口 理  国立循環器病研究センター移植医療部 
神崎秀明  国立循環器病研究センター心臓血管内科心不全部医長 
高濱博幸  国立循環器病研究センター心臓血管内科 
本田泰之  国立循環器病研究センター心臓血管内科 
永井利幸  国立循環器病研究センター心臓血管内科 
玉置俊介  大阪府立急性期・総合医療センター心臓内科医長 
山田貴久  大阪府立急性期・総合医療センター心臓内科主任部長 
福並正剛  大阪府立急性期・総合医療センター病院長 
斎田 天  兵庫医科大学冠疾患内科 
石原正治  兵庫医科大学冠疾患内科主任教授 
中島誠子  国立循環器病研究センター移植医療部 
佐々木英之 阪和記念病院心臓血管センター副部長 
中嶋絢子  国立循環器病研究センター病理部 
植田初江  国立循環器病研究センター病理部長 
岡田健一郎 済生会千里病院循環器内科副部長 / 心大血管疾患リハビリテーション科部長 
木曽啓祐  国立循環器病研究センター放射線部医長 
堀田幸造  兵庫県立尼崎病院総合医療センター循環器内科 
佐藤幸人  兵庫県立尼崎病院総合医療センター循環器内科部長 
藤木伸也  新潟大学大学院医歯学総合研究科循環器内科学 
小幡裕明  新潟大学大学院医歯学総合研究科循環器内科学 
南野 徹  新潟大学大学院医歯学総合研究科循環器内科学教授 
山内洋平  大阪医科大学循環器内科 
石坂信和  大阪医科大学循環器内科主任教授 
橋村一彦  阪和記念病院心臓血管センター センター長 
安村良男  大阪警察病院心臓センター長 
佐藤直樹  日本医科大学武蔵小杉病院循環器内科教授 / 集中治療室室長 
絹川真太郎 北海道大学大学院医学研究科・循環器病態内科学講師 
谷口逹典  大阪大学大学院医学研究科循環器内科学 
坂田泰史  大阪大学大学院医学研究科循環器内科学教授 
猪又孝元  北里大学北里研究所病院循環器内科教授 
杉原志伸  鳥取大学医学部循環器内科 
山本一博  鳥取大学医学部循環器内科教授 
森澤大祐  兵庫医科大学内科学循環器内科 
廣谷信一  兵庫医科大学内科学循環器内科講師 
増山 理  兵庫医科大学内科学循環器内科主任教授 
朝倉正紀  国立循環器病研究センター臨床研究部室長 
濱谷康弘  国立循環器病研究センター心臓血管内科 
天木 誠  国立循環器病研究センター心臓血管内科 
菅野康夫  国立循環器病研究センター心臓血管内科医長 
木岡秀隆  大阪大学大学院医学系研究科循環器内科学 
花谷彰久  大阪市立大学大学院医学研究科循環器内科学講師 
葭山 稔  大阪市立大学大学院医学研究科循環器内科学教授 
黒田健輔  国立循環器病研究センター移植医療部 
藤田知之  国立循環器病研究センター心臓外科部長 
小林順二郎 国立循環器病研究センター副院長 / 心臓血管外科部門長 
川上将司  国立循環器病研究センター心臓血管内科 
丸山将広  近畿大学医学部附属病院循環器内科 
野田 崇  国立循環器病研究センター心臓血管内科 
草野研吾  国立循環器病研究センター心臓血管内科部長 
田巻庸道  天理よろづ相談所病院循環器内科 
中川義久  天理よろづ相談所病院循環器内科部長 
筒井裕之  九州大学大学院医学研究院循環器内科学教授 
高潮征爾  熊本大学大学院生命科学研究部循環器内科学 
福井重文  国立循環器病研究センター心臓血管内科 
藤野剛雄  九州大学大学院医学研究院循環器内科学 
井手友美  九州大学大学院医学研究院循環器内科学講師 
川田啓之  奈良県立医科大学循環器内科講師 
斎藤能彦  奈良県立医科大学循環器内科教授 
松本賢亮  神戸大学大学院医学研究科循環器内科 
平田健一  神戸大学大学院医学研究科循環器内科教授 
岡田憲広  国立循環器病研究センター移植医療部 
伊東春樹  榊原記念病院循環器内科 
浅沼博司  明治国際医療大学内科教授 
堀江 稔  滋賀医科大学呼吸循環器内科教授 
佐田 誠  国立循環器病研究センター呼吸器・感染症診療部医長 
渡邉雅貴  東京医科大学循環器内科学分野講師 
猪阪善隆  大阪大学大学院医学系研究科腎臓内科教授 
安斉俊久  国立循環器病研究センター心臓血管内科部長 
野口暉夫  国立循環器病研究センター心臓血管内科部長 
鈴木 誠  榊原記念病院循環器内科 
矢川真弓子 榊原記念病院循環器内科 
友池仁暢  榊原記念病院院長 
秦 広樹  国立循環器病研究センター心臓外科医長 
武輪能明  国立循環器病研究センター人工臓器部室長 
興梠貴英  自治医科大学医療情報部准教授 
中野 敦  国立循環器病研究センター臨床研究部 
朝野仁裕  大阪大学大学院医学系研究科循環器内科学 

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