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書籍詳細

音楽に癒され,音楽で癒す

音楽に癒され,音楽で癒す

−音楽療法と精神医学/音楽創造

馬場 存 著

A5判 172頁

定価(本体2,400円 + 税)

ISBN978-4-498-22906-8

2018年06月発行

在庫あり

精神科医・音楽療法士にしてピアニスト・作曲家.そして音大で音楽療法教育に携わる著者が,精神医学と音楽療法そして音楽創造について書き下ろす.音楽には人間の心に寄り添い,高みへと引き上げる効果が確かに存在する.従前の音楽療法理論・技法を踏まえて,多彩な領域で活動を続ける著者ならではの思想と実践が結実した.類い稀なる1冊.

馬場 存(ばば あきら)

医学博士
日本精神神経学会認定精神科専門医・指導医
精神保健指定医
日本音楽療法学会認定音楽療法士
東京大学工学部を経て慶應義塾大学医学部卒業.大学時代よりジャズピアノと作曲を開始,医学部在学中より放送業務用BGMの作曲・演奏にたずさわる.
医学部卒業後,精神科医として研修の後,慶應義塾大学大学院で音楽の幻覚を研究.その間もCM曲やCDリリース,コンサート等の作曲・演奏活動を続ける.大学院修了後,国立音楽大学教授 村井靖児氏(当時)のもとで音楽療法を学ぶ.
国立音楽大学,聖徳大学,東京音楽大学講師を経て,現在,東邦音楽大学准教授.
精神科病院とクリニックにて精神医療と音楽療法を行う.

[ディスコグラフィ]
『re*me〜リ・ミー〜』(Sony Music Japan International,2003)
『recollections of life』(ブックリッジ・レコーズ,2009)
『pray』(東日本大震災チャリティCD,2011)
『Silence』(2012)
『Mental Pictures』(2014)

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著者の馬場存東邦音楽大学音楽学部准教授は,東京大学工学部を経て1993年に慶應義塾大学医学部を卒業し,精神医学をめざして研鑽を積み1999年に「統合失調症の音楽幻聴に関する精神病理学的研究」で医学博士を授与され,さらに音楽療法を学んで独自に発展させた俊英である.同君は精神科の臨床医であるとともに,精神病理学者,ピアニスト,作曲家,音楽療法士,教育者であり,そのどれもがすでに一流の域に達している.
音楽には人間の心に寄り添い,高みへと引き上げる効果が確かに存在する.本書に紹介されているように,音楽療法にはさまざまな理論と技法があるが,馬場君の真骨頂は第4章に登場する精神病患者さんに対する個人音楽療法にある.それはピアノ伴奏で患者さんに寄り添うことで不安と緊張をほぐしながら,精神病の構造を根本的に解体し,自閉から調和へと向かわせる独創的な治療である.キリスト教では,信仰により心の向きを転換させることを回心metanoiaというが,彼の目指すところは音楽を用いた治療的回心にほかならず,ほかの誰にもできない未踏の領域に踏み込んでいると思う.
私の手もとには馬場君が自作をピアノで自演したCDがいくつかある.その中で2011年にリリースされた「pray−祈り−」は,東日本大震災のチャリティーCDで,販売利益全額が被災地に寄付された.福島県の出身の彼は,あの時いたたまれない思いに駆られて,自分のできることに全精力を傾けたに違いない.私は群馬県の病院長をしていた時に,毎日この曲を待合室に流していた.取り返しのつかない悲しみ,癒しようのない痛みの中に深い静寂があり,やがて遠くから希望の響きが聞こえてくる.
本書は,異なるいくつもの領域で永く活動を続けてきた馬場存君の現在を伝えるとともに,それらが高いレベルで統合された結晶である.多くの読者と病気に苦しむ患者さんたちの心に勇気の灯をともすことを確信している.

2018年 初夏
日本精神医学史学会理事長
濱田秀伯

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目次

第1章 はじめに
 1 音楽との関わり
 2 精神分析との出会い
 3 精神医学の世界へ
 4 そして音楽療法へ
 5 音楽に癒され,音楽で癒す

第2章 精神医学と音楽療法 〜それぞれの歴史の概観〜
 1 精神疾患のみかた
 (1)精神医学の普遍性
 (2)精神疾患の古典的な分類
 (3)精神疾患の分類と音楽療法
 2 近代精神医学の歴史と音楽療法
 (1)精神病概念の成立
 (2)神経症概念の成立
 (3)精神科の音楽療法の流れ

第3章 音楽の作用と神経症圏の音楽療法
 1 音楽の作用
 2 音楽の心身への効果
 3 心への作用とその理論
 (1)気分の転導
 (2)感情の誘発
 (3)発散
 (4)感情の高揚,鎮静,正常化,浄化
 (5)励まし,慰め
 4 精神療法との対比
 (1)表現的精神療法
 (2)支持的精神療法
 (3)洞察的精神療法
 (4)訓練療法
 5 心因と音楽療法
 (1)簡易精神療法
 (2)音楽と無意識
 6 事例
 7 即興のもたらす洞察
 (1)事例の考察
 (2)キース・ジャレットのことばから
 8 Negative capabilityと即興音楽療法
 9 即興の程度と無意識の深さ

第4章 精神病圏(内因性疾患)の音楽療法
 1 はじめに
 2 内因性疾患の音楽療法のエヴィデンス
 3 音楽療法が統合失調症の陰性症状に効果を発揮した例をめぐって
 (1)個人音楽療法の枠組み
 (2)症例
 (3)症例の要約
 (4)音楽療法との関連
 4 音楽体験が統合失調症の病態に与える影響
 (1)音楽体験と精神病理
 (2)音楽体験が統合失調症に影響を及ぼす機序(仮説)
 (3)集団音楽療法における「集団」の意義
 5 精神病圏の音楽療法.その方法論と効果の関係
 6 ある精神科病院における音楽療法の軌跡

第5章 音楽創造体験
 1 はじめに
 2 音楽はいかにして創造されるのか
 (1)音楽の表象とは
 (2)音楽表象と音楽の創造
 (3)音楽創造の力動的側面
 (4)自我の統制の観点から
 (5)再創造
 3 音楽による自己治癒
 (1)音楽療法症例より
 (2)日常の音楽体験
 4 霊的体験
 (1)至高体験
 (2)霊的精神力動論
 (3)器質力動説的観点からみた音楽体験

第6章 まとめにかえて

参考文献

あとがき

索引

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執筆者一覧

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