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書籍詳細

事例から考える認知症のBPSDへの対応

事例から考える認知症のBPSDへの対応

ー非薬物療法・薬物療法の実際

川畑信也 著

A5判 248頁

定価4,180円(本体3,800円 + 税)

ISBN978-4-498-22910-5

2018年09月発行

在庫あり

かかりつけ医・非専門医の医師が認知症診療のなかで対応に苦慮する行動障害・精神症状BPSDの治療について、著者が経験してきた事例を通じて具体的に解説した書。薬物療法・非薬物療法の実際をわかりやすくまとめた。実臨床で遭遇する可能性のあるBPSD事例をすべて網羅し、対応に悩んだときのヒントが詰まっている一冊だ。

川畑信也(かわばた のぶや)

八千代病院 神経内科部長
愛知県認知症疾患医療センター長

昭和大学大学院(生理系生化学専攻)修了後,国立循環器病センター内科脳血管部門,秋田県立脳血管研究センター神経内科を経て,2008年八千代病院神経内科部長,2013年愛知県認知症疾患医療センター長兼任.

1996年から認知症の早期診断と介護を目的に「もの忘れ外来」を開設し,現在までに8,000名近い患者さんの診療を行ってきている.2015年から愛知県公安委員会認定医(運転免許臨時適性検査),2016年4月から愛知県安城市認知症初期集中支援チーム責任者,2018年2月から愛知県の西尾市ならびに知立市の認知症初期集中支援チームのアドバイザー兼務.

所属学会:
日本神経学会,日本脳血管・認知症学会,日本老年精神医学会,日本脳卒中学会,日本認知症学会,日本認知症ケア学会,日本神経治療学会,日本神経心理学会など.

著書:
・改訂2版 かかりつけ医・非専門医のための認知症診療メソッド(南山堂;2018)
・知っておきたい改正道路交通法と認知症診療(中外医学社;2018)
・プライマリ・ケア医のための認知症診療入門(日経BP社;2016)
・かかりつけ医・非専門医のためのレビー小体型認知症診療(南山堂;2015)
・認知症診療に役立つ77のQ&A(南山堂;2015)
・事例で解決! もう迷わない抗認知症薬・向精神薬のつかいかた(南山堂;2014)
・事例で解決! もう迷わない認知症診断(南山堂;2013)
・臨床医へ贈る 抗認知症薬・向精神薬の使い方 こうすれば上手に使いこなすことができる(中外医学社;2012)
・これですっきり!看護&介護スタッフのための認知症ハンドブック(中外医学社;2011)
・日常臨床からみた認知症診療と脳画像検査─その意義と限界(南山堂;2011)
・かかりつけ医・非専門医のための認知症診療メソッド(南山堂;2010)
・かかりつけ医の患者ケアガイド 認知症編(真興交易医書出版部;2009)
・どうする? どう伝える? かかりつけ医のための認知症介護指導Q&A(日本医事新報社;2008)
・早期発見から介護まで よくわかる認知症(日本実業出版社;2008)
・患者・家族からの質問に答えるための認知症診療Q&A(日本医事新報社;2007)
・知っておきたい認知症の基本(集英社新書;2007)
・日常臨床に役立つ神経・精神疾患のみかた(中外医学社;2007)
・事例から学ぶアルツハイマー病診療(中外医学社;2006)
・物忘れ外来ハンドブック アルツハイマー病の診断・治療・介護(中外医学社;2006)
・「物忘れ外来」レポート 認知症疾患の診断と治療の実際─すべての臨床医のための実践的アドバイス(ワールドプランニング;2005)
・物忘れ外来21のケースからみる臨床医のための痴呆性疾患の診断と治療(メディカルチャー;2005)

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はじめに

認知症診療に関わるときにかかりつけ医・非専門医の先生がたが対応に苦慮する領域として患者が示す行動障害・精神症状BPSDがあるかと思います.とくに家族や周囲の人びとを悩ませる物盗られ妄想や暴言・暴力行為,徘徊,睡眠障害とそれに伴う夜間の行動障害,性的逸脱行為などの相談を受けたとき,どのような介護指導を行ったらよいのか,介護アドバイスが功を奏さないとき次の一手をどうするか,薬物療法を援用するときにどの薬剤を選択したらよいのか,ある薬剤で効果がないとき次善の薬剤は何かなど多くの課題が目の前に山積することになります.そのような面倒な事態に直面したくないことから認知症診療に踏み込めない,あるいは踏み込みたくない先生がたも多いのではないでしょうか.認知症診療に関わるときにこの家族や周囲が困る行動障害・精神症状BPSDへの対応,対策は避けて通ることができない領域といえます.
本書は,行動障害・精神症状BPSDへの対応,対策で苦慮している,あるいは悩んでいるかかりつけ医・非専門医の先生がたを対象に私が経験してきた事例を通じて非薬物療法と薬物療法についてのコツを具体的にかつわかりやすく記述したものです.長年認知症診療に従事してきた私の経験では,家族や介護施設などから相談を受ける行動障害・精神症状BPSDの多くは,睡眠障害(不眠と夜間の行動障害)と感情障害(易怒性),暴言・暴力行為に関連するものです.本書もこの3つの記述が必然的に多くなっており繰り返した内容もあるかと思います.しかし,同じ睡眠障害でも患者さんの背景や家族の想い,生活環境,認知症の病態など多くの要因によって異なる対応,対策が求められることになります.本書で紹介した全事例は実臨床で先生がたが遭遇する可能性のある行動障害・精神症状BPSDをおそらくすべて網羅しているものと考えています.従いまして,読者の先生がたが困った事例,対応をどうすればよいか悩む事例を日々の診療で診たとき,本書のなかに必ず同様の事例をみつけることができると思います.先生がたが困っている事例と類似した項目を読むことで解決へのヒントが必ずあるものと私は自負しております.
本書がかかりつけ医・非専門医の先生がたの認知症診療のなかで一助になることができればそれは私の望外の喜びとするところであります.認知症診療における行動障害・精神症状BPSDの治療に際してひとりでも多くの先生がたに参加して頂けることを切に希望しております.

2018年8月 酷暑のなかで
川畑信也

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目 次

第1章 知っておくべき行動障害・精神症状BPSDの実態
 在宅認知症患者の行動障害・精神症状BPSD
 もの忘れ外来における行動障害・精神症状BPSD
 入院認知症患者における行動障害・精神症状BPSD
 運転免許に関連する診療でみられる行動障害・精神症状BPSD

第2章 行動障害・精神症状BPSDへの対策の原則
 認知症でみられる行動障害・精神症状BPSDに対する考えかた 
 「かかりつけ医のためのBPSDに対応する向精神薬使用ガイドライン(第2版)」の概略
 「認知症疾患 診療ガイドライン2017」における行動障害・精神症状BPSD治療の概略
 アメリカ精神医学会「BPSDに対する抗精神病薬治療ガイドライン 認知症の焦燥と精神病症状に対して」の概略

第3章 向精神薬使用の原則と手順
 抗精神病薬
  どの抗精神病薬を選択するか
  抗精神病薬が効果を期待できる標的症状は何か
  保険病名をどう記載するか
  非定型抗精神病薬のどれを選択するか
  抗精神病薬処方の原則
  注意すべき有害事象
 抗てんかん薬
  カルバマゼピン
  バルプロ酸
 睡眠薬
  認知症患者にみられる睡眠障害の病態
  睡眠衛生指導は認知症診療で有効か
  実臨床で睡眠薬をどう選択し使用するか
 抗うつ薬
 漢方薬(抑肝散)
 臨床メモ 抗精神病薬を処方する際の家族への説明のコツ

第4章 妄想(物盗られ妄想など)の治療
 事例 物盗られ妄想が活発な75歳,女性,アルツハイマー型認知症
 事例 夫と娘が性的関係をもっていると訴える64歳,女性,アルツハイマー型認知症
 事例 浮気妄想で家族が困っている82歳,女性,アルツハイマー型認知症
 事例 浮気妄想により妻や娘に暴力を振るう66歳,男性,アルツハイマー型認知症
 事例 注察妄想,物盗られ妄想が活発な80歳,女性,認知症を伴わない妄想・幻覚

第5章 幻覚の治療
 事例 アリセプト®を服用しているが幻聴が軽減しない86歳,女性,レビー小体型認知症

第6章 暴言,暴力行為の治療
 事例 夫に噛みつくなどの暴力行為がみられる78歳,女性,アルツハイマー型認知症
 事例 誘因なく暴力行為に及ぶ75歳,男性,アルツハイマー型認知症
 事例 家族の不適切な対応に反応して暴力行為がみられる81歳,女性,アルツハイマー型認知症
 臨床メモ 抗認知症薬少量投与に関する厚生労働省の事務連絡について
 事例 介護施設で暴力行為を示す81歳,男性,アルツハイマー型認知症
 事例 介護施設で暴力行為や介護拒否,拒薬が目立つ86歳,女性,アルツハイマー型認知症
 事例 毎日のように興奮や暴言,暴力行為がみられる83歳,女性,アルツハイマー型認知症
 臨床メモ 認知症患者を介護する家族もさまざまである!
 事例 介護施設で暴力行為が頻繁な84歳,女性,アルツハイマー型認知症
 臨床メモ 介護保険の認定度は医師が決めているわけではない!
 事例 抗認知症薬がいずれも副作用で服薬できず突発的な暴力行為を示す82歳,男性,アルツハイマー型認知症
 臨床メモ 悪徳商法・訪問販売への対策 (1) (家族が同居している場合)

第7章 感情障害(含易怒性)の治療
 事例 感情障害,攻撃性が目立つ,87歳,女性アルツハイマー型認知症
 事例 易怒性が目立つ92歳,男性,アルツハイマー型認知症
 事例 易怒性や多動,睡眠障害が目立つ87歳,女性,アルツハイマー型認知症
 事例 易怒性にバルプロ酸が著効した73歳,男性,アルツハイマー型認知症
 臨床メモ 悪徳商法・訪問販売への対策(2)(独居の場合)

第8章 睡眠障害の治療
 事例 夜間寝ずに騒いでいる90歳,女性,アルツハイマー型認知症
 事例 幻覚と不眠,夜間の行動障害で介護施設が困っている87歳,女性,アルツハイマー型認知症
 事例 独居生活で不安症状と夜間の不眠が著明な90歳,女性,アルツハイマー型認知症
 事例 夜間せん妄を示す89歳 女性,アルツハイマー型認知症

第9章 性的逸脱行為の治療
 事例 介護施設で性的逸脱行為が頻繁な68歳,男性,アルツハイマー型認知症
 事例 自宅で嫁に性的関係を迫る84歳,男性,血管性認知症
 臨床メモ 非薬物療法がうまくいかない要因を考える

第10章 アパシーの治療
 事例 無為,無関心が著明な85歳,女性,アルツハイマー型認知症
 臨床メモ 臨床医にとって認知症治療で大切なことは何か

第11章 介護困難事例の治療
 事例 食事をしない79歳,女性,アルツハイマー型認知症
 事例 主たる介護者が認知症を理解できず患者と口論が絶えない76歳,男性,アルツハイマー型認知症
 事例 娘に対する暴言がみられるが外面はよい88歳,女性,アルツハイマー型認知症
 事例 患者の世話と実母の介護,夫の看護で実妹が途方に暮れている83歳,女性,病型判断困難

第12章 独居患者の治療
 事例 独居の73歳,女性,アルツハイマー型認知症
 臨床メモ 認知症診療に関わるあるいは関わりたいと考える医師にとって本当に必要なことは

第13章 自動車運転,無賃乗車の治療
 事例 自動車の運転をやめない73歳,男性,アルツハイマー型認知症
 事例 無断外出,無賃乗車を繰り返す71歳,女性,アルツハイマー型認知症
 臨床メモ 認知症では患者の生き方が反映する

第14章 その他の行動障害の治療
 事例 自分の思いが通じず包丁を振り回した86歳,男性,アルツハイマー型認知症
 事例 飲酒行動が度を超している70歳,女性,アルツハイマー型認知症
 事例 夫と不仲で隠れ飲酒や万引き行為を繰り返す74歳,女性,アルツハイマー型認知症
 事例 多彩な行動障害と興奮を示す89歳,女性,アルツハイマー型認知症
 事例 迷子が受診の契機になった75歳,女性,アルツハイマー型認知症
 事例 介護施設からしばしば脱走する75歳,男性,病型判断困難
 事例 夫を他人と認識し暴言や無断外出を繰り返す68歳,女性,アルツハイマー型認知症

索引

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執筆者一覧

川畑信也 八千代病院神経内科部長 著

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