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書籍詳細

今日の老年医学 2001

臨床と基礎

今日の老年医学 2001

日本老年医学会雑誌編集委員会 編

B5判 266頁

定価9,680円(本体8,800円 + 税)

ISBN978-4-498-05902-3

2001年08月発行

在庫なし

臨床医として今日理解しておくべき老年医学の基礎と臨床を最新の知見により解説したものである.高齢者のメンタルヘルス,リハビリテーションをはじめ高血圧,脳血管障害など様々な病態における臨床上の問題点を解説するとともに,老年医学を支える基礎的医学を各第一人者が解説にあたった.好評の2000年版に続く最新の2001年版.



 21世紀の最初の年にあたり,「今日の老年医学2001」を刊行できますことを,日本老年医学会雑誌編集委員長として大変うれしく存じております.
 本書は日本老年医学会雑誌第36巻(1999年)に連載された「総説」および「老年医学の展望」それぞれ12編を単行本にまとめたもので,昨年上梓されて好評を頂いた「今日の老年医学2000」の続編にあたるものです.「総説」は老年医学がまさに直面しているテーマについて,また「老年医学の展望」は,老年医学の将来的な発展を期するために重要と思われる基礎を中心とした関連領域のトピックスについて,わが国の第一人者の方々にご執筆頂きました.これらの論文は1998年にご執筆を依頼し,1999年中に日本老年医学会雑誌に掲載されたものですが,今回,単行本としてまとめるにあたり内容をup-dateなものにして頂いております.したがって,本書に掲載されている内容は現在のわが国の老年医学の到達点を提示するものと考えられます.本年秋には,長年の懸案であった,日本老年医学会英文機関誌「Geriatrics and Gerontology International (GGI)」が発刊されます.原著論文は次第に英文誌に投稿されていくようになると思いますが,和文誌である日本老年医学会雑誌は決してその役割を終えたわけではなく,今後,老年医学の卒後教育にますます重要な役割を果たすようになると考えられます.この意味で,「総説」および「老年医学の展望」の企画を今後さらに充実させていきたいと考えております.
 本書がわが国における老年医学の更なる発展に寄与できることを期待するとともに,第一級の論文を寄稿して頂いた方々,日本老年医学会雑誌編集委員および編集幹事の方々,そして出版にご尽力頂いた中外医学社 青木三千雄社長,荻野邦義氏に深謝いたします.

2001年5月
日本老年医学会雑誌編集委員長
東京大学大学院医学系研究科加齢医学講座教授
大内尉義

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目 次

I.今日の老年医学
1.高齢社会とメンタルヘルス 〈三好功峰〉
 1.老年期にみられる精神障害
  1)病的ではないが注意すべき「症候群」
  2)老年期にみられる精神病像

2.高齢者糖尿病の病態と治療 〈伊藤正毅〉
 1.頻 度
 2.高齢者糖尿病の病因
 3.高齢者糖尿病の症状
 4.治療:なぜ高齢者糖尿病患者を治療する必要があるのか
  1)なにを目指して治療するのか
  2)糖尿病患者の死因からみた治療方針

3.高齢者リハビリテーションの最近の進歩 〈江藤文夫〉
 1.リハビリテーションの対象と評価
 2.入院リハビリテーションと地域ケアおよび施設ケア
 3.脳卒中リハビリテーション
 4.骨折と転倒

4.百寿者研究の現状と展望 〈広瀬信義 鈴木 信 新井康通〉
 1.百寿者研究の目的
  1)Successful agingの条件を探す
  2)加齢現象の観察
  3)寿命に対する遺伝素因と環境因子の相互作用
  4)百寿者は長寿のエリートか
  5)老化学説の検定
 2.百寿者のdemography
 3.百寿者の医学社会学的特徴
  1)病歴
  2)ADL
  3)認知機能
  4)一般生化学データと栄養状態
  5)炎症反応とサイトカイン
  6)免疫能
  7)凝固
  8)脂質代謝
  9)動脈硬化
  10)心拍変動
  11)体組成の変化,基礎代謝
  12)性格,人格
 4.遺伝素因
  1)百寿者の家族歴
  2)百寿者遺伝素因の多型性
  3)環境による防御因子の誘導
 5.長寿,successful agingのモデル
  1)医学モデル−加齢と炎症−
  2)包括モデル
 6.将来の展望
  1)百寿者の研究のまとめ
  2)海外での研究

5.老人医療と経済評価 〈池上直己 池田俊也〉
 1.医療技術の経済評価
  1)費用の評価
  2)効果(有効性)の評価
  3)費用−効用分析
  4)効用値の測定
  5)経済評価のための効果指標
  6)感度分析と割引
 2.経済評価を行う際の問題点とその対応
  1)医療技術評価の構造的問題
  2)経済評価におけるバイアスの問題
  3)技術的障壁
 3.日本における今後の経済評価の展望

6.老年者の尿失禁と寝たきり廃用症候群−腹臥位および,その変形諸姿勢を利用した治療法−〈並河正晃〉
 1.老年者尿失禁の特徴
 2.寝たきり(臥位排泄)老年者の尿便失禁の問題点と解決法
  1)男性寝たきり老年者の臥位排尿の問題点
  2)寝たきり老年者の臥位排泄(排尿・排便)の問題点
  3)男女の寝たきり老年者が,尿・便共におしめ・バルンカテーテル無しで排泄
    できる(無失禁状態となれる)姿勢と方法の検討
 3.腹臥位,寝たきり廃用症候群,および日中にヒトの身体に掛かる重力

7.高齢者の正常値・基準値の考え方,生化学検査27項目における検討〈富田明夫 木沢仙次 新井哲輝〉
 1.高齢者の臨床検査値の特徴
 2.高齢者の正常値,基準値の考え方
 3.基準値,基準範囲の求め方
 4.性,年齢による検査値の変動と高齢者の基準範囲(自験例)
  1)血清総蛋白(TP)
  2)血清尿素窒素(UN)とその他の生化学検査値について

8.エマージングインフェクションとしての高齢者感染症 〈稲松孝思〉
 1.新興・再興感染症とは
 2.新興・再興感染症の出現理由
  1)環境,生活様式の変貌
  2)微生物の進化
  3)宿主条件の変貌
  4)検査法の進歩
 3.高齢化時代の新興感染症
  1)高齢者の宿主条件
  2)高齢者感染症対策の課題

9.高齢者の高血圧の病態と治療 〈羽根田 俊 菊池健次郎〉
 1.高齢者高血圧の病態の特徴
  1)血行動態・血圧日内変動
  2)神経性血圧調節機構
  3)体液性血圧調節因子
  4)腎機能
  5)インスリン感受性,耐糖能
  6)酸化ストレス
  7)高齢者高血圧における臓器障害
 2.高齢者高血圧の治療の必要性
 3.高齢者高血圧の治療対象と降圧目標値
 4.降圧薬の選択
  1)合併症のない場合
  2)合併症を有する場合

10.高齢者脳血管障害の病態と治療 〈藤島正敏〉
 1.高齢者脳卒中の疫学(久山町研究)
  1)脳卒中発症率の年齢階級別の推移
  2)高齢者脳梗塞発症率のタイプ別推移
  3)脳卒中危険因子の推移
  4)脳梗塞危険因子の相対危険の推移
  5)脳卒中の高齢化と予防
 2.高齢者脳卒中の病態
  1)脳卒中の病型別の特徴
  2)急性期の病態
  3)高齢者脳卒中の実態
  4)高齢者脳卒中の予後
  5)無症候性脳血管障害と痴呆
 3.高齢者脳卒中の治療
  1)急性期治療
  2)慢性期脳卒中の治療の実際
  3)病型別再発予防

11.高齢者の疼痛管理
  ペインクリニック領域における 〈平石禎子 花岡一雄〉
 1.高齢者の疼痛に関する生理学的変化
 2.高齢者疼痛管理の特殊性
 3.疼痛管理における新しい考え方
 4.高齢者疼痛疾患
  1)腰痛
  2)下肢痛
  3)帯状疱疹と帯状疱疹後神経痛(PHN)
 5.高齢者疼痛疾患における治療法
  1)薬物療法
  2)神経ブロック治療
  3)理学療法

12.老人性肺炎の病態と治療〈山谷睦雄 矢内 勝 大類 孝 荒井啓行 佐々木英忠〉
 1.防御反射の低下
 2.老人性肺炎の薬物療法による予防
 3.睡眠時の防御反射
 4.老年者の感染抵抗性
 5.口腔ケア
 6.落ち込みと感染抵抗性

II.老年医学の展望
1.生体ゆらぎと神経系のダイナミクス 〈日高一郎 山本義春〉
 1.ホメオスタシスと生体ゆらぎ
  1)ネガティブ・フィードバック系に見られる複雑な変動
  2)複雑な変動を生み出す数理モデル
  3)生体に遍在する1/fβゆらぎ
  4)ゆらぎはホメオスタシスに不可欠?
  5)SRは加齢に伴う感覚機能の低下を改善できるか?
 2.確率共振とは
 3.神経系における確率共振
  1)1個の受容器における確率共振
  2)ニューラルネットワークにおける確率共振
  3)刺激−知覚間の確率共振
 4.ヒトの血圧調節系における確率共振現象

2.ケモカインと炎症 〈稲寺秀邦 松島綱治〉
 1.ケモカインスーパーファミリー
 2.ケモカインと炎症
 3.ケモカインとリンパ球
 4.ケモカインレセプター
 5.ケモカイン及びそのレセプターの新たな役割
 6.動脈硬化,循環器疾患とケモカイン

3.TGF-βファミリーの受容体とSmadによるシグナル伝達 〈宮園浩平〉
 1.TGF-βレセプターとシグナル伝達
 2.Smadの構造とはたらき
 3.Smadの活性化
 4.Smadの核内での作用
 5.Anti-Smad
 6.TGF-βシグナルの異常と癌化

4.動脈硬化と遺伝子多型 〈中島敏晶 江見 充〉
 1.リポ蛋白リパーゼ(LPL)遺伝子の異常
 2.肝性トリグリセリドリパーゼ(HTGL)遺伝子の異常
 3.レシチンコレステロールアシル転換酵素 (LCAT)遺伝子の異常
 4.LDL受容体遺伝子の異常
 5.アポ蛋白遺伝子異常
 6.アポ蛋白AI,CIII,AIVgene clusterの異常
 7.アポ蛋白E,CI,CI′,CII gene clusterの異常
 8.アポ蛋白AII遺伝子の異常
 9.アポ蛋白B遺伝子の異常

5.血管新生研究の新しい展開 〈佐藤靖史〉
 1.胎生期の血管形成
 2.血管新生の調節因子
  1)VEGFとその受容体
  2)アンジオポイエチンとその受容体
 3.成熟個体の血管新生
 4.血管新生における内皮細胞の特性
  1)プロテアーゼ
  2)インテグリン
  3)VE-カドヘリン
  4)転写因子
 5.病的な血管新生は生理的な血管新生と同じか?

6.インスリン抵抗性 〈門脇 孝〉
 1.インスリンの作用メカニズム
  1)糖代謝におけるIRS蛋白質の役割
  2)PI3キナーゼ活性化と糖取り込み,グリコーゲン合成
 2.インスリン抵抗性の成因
  1)遺伝素因
  2)肥満
  3)ブドウ糖毒性
 3.糖尿病やシンドロームXの原因としてのインスリン抵抗性
  1)インスリン抵抗性と糖尿病
  2)インスリン抵抗性とシンドロームX

7.PDGFとPDGF受容体 〈森 聖二郎〉
 1.PDGFならびに受容体の分子構造
  1)PDGF
  2)PDGF受容体
 2.受容体の活性化ならびに細胞内シグナル伝達機構
  1)受容体の活性化
  2)受容体の標的蛋白
  3)核へのシグナル伝達
  4)細胞骨格へのシグナル伝達
  5)受容体のリガンド依存性ポリユビキチン化
 3.PDGFの細胞増殖・遊走刺激以外の作用
 4.発生工学的手法により得られた知見
 5.疾病とのかかわり

8.酸化ストレス 〈近藤宇史 趙 成三 井原義人〉
 1.生体内のフリーラジカル
 2.フリーラジカルの消去
 3.酸化ストレスと老化
 4.ミトコンドリアDNA損傷と寿命
 5.酸化ストレスと血管病変
 6.高血糖と血管内皮細胞障害−レドックス制御の低下
 7.粥状動脈硬化の進展に及ぼすMφの役割と酸化ストレス

9.線虫の寿命とその規定遺伝子 〈石井直明〉
 1.C. elegans・の特徴
 2.寿命が変化する突然変異体
  1)長寿命変異体の単離
  2)短寿命変異体(mev-1・)の単離
 3.寿命決定のメカニズム

10.遺伝子治療の現状と展望 〈小澤敬也〉
 1.遺伝子治療の方法と対象疾患
 2.欧米における遺伝子治療臨床研究実施状況
 3.日本における遺伝子治療臨床研究の動向
 4.遺伝子治療基盤研究の最近の動向

11.細胞内信号伝達のメカニズム 〈山内恵史 橋爪潔志〉
 1.7回膜貫通型受容体
 2.4回膜貫通型受容体
 3.1回膜貫通型受容体

12.インスリン受容体と老化 〈金木正夫〉
 1.カロリー制限と寿命の延長
 2.C. elegansのインスリンシグナルと寿命の延長
 3.飢餓状態に対するC. elegansの適応反応:Dauer形成
 4.C. elegansの老化(長寿)遺伝子とストレス抵抗性
 5.線虫の老化と,核内受容体を介するシグナルおよび生殖系からのシグナル
 6.線虫の老化(長寿)遺伝子daf-16の哺乳類ホモログ
 7.ヒトの老化研究のために,線虫の老化研究から何を学べるか?
 8.老化学説におけるC. elegansのデータの持つ意義
 9.新たなインスリン抵抗性の予防,治療戦略の可能性

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