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書籍詳細

厄介で関わりたくない精神科患者とどうかかわるか

厄介で関わりたくない精神科患者とどうかかわるか

成瀬暢也 著

A5判 180頁

定価3,080円(本体2,800円 + 税)

ISBN978-4-498-22930-3

2021年04月発行

在庫あり

患者の快復を願って必要な治療を提供しようとする.ただそれだけのことなのに,時として生まれる対立,そして陰性感情.そこに絶対的に不足しているのは患者と治療者の信頼関係です.厄介で関わりたくない精神科患者は必ず,深く傷ついています.必要なのは信頼関係に裏付けられた癒しです.人が人を癒すということは精神科医療の原点.しかし,これが容易ではありません.ではどうすればいいのでしょうか.

著者略歴

成瀬  暢也(なるせ  のぶや)

昭和61年  3月 順天堂大学医学部卒業
      4月 同大精神神経科入局
平成  2年  4月 埼玉県立精神保健総合センター開設と同時に勤務
平成  7年  4月 同センター依存症病棟に配属
平成20年10月より 埼玉県立精神医療センター副病院長
(兼  埼玉県立精神保健福祉センター副センター長)

●主な著書
「アルコール依存症治療革命」中外医学社
「ハームリダクションアプローチ やめさせようとしない依存症治療の実践」中外医学社
「薬物依存症の回復支援ハンドブック」金剛出版
「誰にでもできる薬物依存症の診かた」中外医学社
「依存と嗜癖」医学書院(分担)
「アディクション・サイエンス 依存・嗜癖の科学」朝倉書店(分担)
「危険ドラッグ対応ハンドブック」日本精神科救急学会(編集・分担)

●専門分野
薬物依存症・アルコール依存症,中毒性精神病の臨床

日本精神神経学会専門医・指導医
精神保健指定医
日本アルコール関連問題学会理事(第36回大会長)
日本アルコール・アディクション医学会監事
日本精神科救急学会代議員
関東甲信越アルコール関連問題学会理事(第1回大会長)
埼玉ダルク理事
国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所客員研究員

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序文

 筆者は日々,精神科臨床に携わる一精神科医である.長年にわたって依存症患者を中心に診療に関わってきた.当時の患者は,さまざまな問題行動やトラブルを引き起こした.暴力的なことが多く,治療者に攻撃を向けてきた.患者同士のトラブルも日常的に起きていた.治療者は患者に陰性感情・忌避感情を募らせ,患者を管理しようと厳しい対応をとった.対立はさらに深まった.患者にも治療者にも安らぎと笑顔はなかった.治療者はまじめで熱心であり,使命感を持って勤務していた.しかし多くはうまくいかなかった.何人もの治療者は傷つき燃え尽きて現場を離れて行った.患者も入院せざるを得ない状態を繰り返し回復は滞った.
 患者は治療を必要とし,治療者は治療を提供する.ただそれだけなのに,どうして対立が生まれ,互いに傷つけ合うのであろうか.当時,治療者は患者を正そうとしていた.アルコールや薬物をやめさせようと強要し,できなければ叱責していた.そして絶対的に欠けていたのはお互いの信頼関係であった.信頼関係のないところに回復は生まれない.依存症に限らず,精神科患者の多くは人間不信を抱えている.だから人から癒されず苦しい.苦しいから症状や問題行動が繰り返される.それを無理やり抑えようとしてもうまくいかない.
 厄介で関わりたくない患者に共通してみられるのは,人間不信が強く傷ついていることである.患者に必要なのは,信頼関係に裏付けられた人からの癒しである.人が人を癒すということは,精神科医療の原点である.しかし,これが容易ではない.ではどうすればいいのか.
 本書は,このテーマに悩んだ筆者が臨床現場で経験してきたことを記したものである.この方法を皆さんに押し付けるつもりはない.ただ,筆者は以前とは異なり,日々の診療が楽しくて仕方がない.厄介で関わりたくなかった患者たちに,今では筆者が癒されている.信頼関係を築けることの素晴らしさを実感している.人は人との関わりによって変わる.人を癒すのは人である.筆者の拙い経験が苦しくて悩んでいる方々の一助になれば幸いである.

2021年2月
成瀬暢也

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目 次

はじめに

1 厄介で関わりたくない患者とは
  1 厄介で関わりたくない患者は誰もが敬遠する
  2 厄介で関わりたくない患者は病状が改善しない
  3 厄介で関わりたくない患者は治療が続かない
  4 厄介で関わりたくない患者は人を傷つけ,傷つけられる
  5 厄介で関わりたくない患者は誰とも信頼関係を持てない
  6 厄介で関わりたくない患者は偏見・スティグマを持たれる
  7 厄介で関わりたくない患者は熱心な治療者を燃え尽きさせる
  8 厄介で関わりたくない患者は治療過程で悪化することが多い
  9 厄介で関わりたくない患者は孤独である
  10 厄介で関わりたくない患者は生きていることが苦しい
  11 厄介で関わりたくない患者は自殺のリスクが高い
  12 厄介で関わりたくない患者は他者への助けを求められない

2 厄介で関りたくない患者とその具体的な対応
 A.問題行動・暴力行為・自殺企図を繰り返す患者
  1 暴力的な患者
  2 問題行動を繰り返す患者
  3 犯罪を繰り返す患者
  4 酔って絡んでくる患者
  5 違法薬物を全くやめられない患者
  6 自傷行為を繰り返す患者
  7 過量服薬を繰り返す患者
  8 過食嘔吐が止まらない患者
  9 拒食が続き低体重で身体的に深刻な患者
  10 性的逸脱行為・性犯罪を繰り返す患者
  11 付き合う男性から繰り返し暴力を受ける患者
  12 人を殺したいと繰り返し訴える患者
  13 死にたいと頻回に訴える患者
  14 深刻な自殺企図を繰り返す患者
  15 不眠やイライラを訴えて強い薬を要求する患者
  16 治療担当者の交代を要求する患者
  17 無理なことを要求してくる患者
  18 反社会的勢力と関係がある患者

 B.治療関係が築きにくい患者
  1 治療者を信用できない患者
  2 治療者が陰性感情を持ってしまう患者
  3 知ったかぶりをしてくる患者
  4 自閉的で孤独な患者
  5 嘘が多く人にいいところしか見せられない患者
  6 自分は病気ではないと言い張る患者
  7 受診に拒否的な患者
  8 「特別を」要求する患者
  9 治療者に対して恋愛感情を表明する患者
  10 治療者に被害妄想を持っている患者
  11 LGBT・薬物依存症・HIV陽性の患者
  12 治療者に対するクレームが激しい患者
  13 言葉が通じない外国人の患者

 C.症状がよくならない患者
  1 薬物療法が効かない患者
  2 一向によくならない患者
  3 幻聴や妄想がとれずに苦しんでいる患者
  4 強迫的で確認や保証を繰り返し求める患者
  5 頑張りすぎて燃え尽きる患者
  6 人格交代や解離症状を繰り返す患者
  7 身体症状の訴えが執拗な心気的患者
  8 治療者に依存的で繰り返し入院を求める患者
  9 いくつも精神科合併症を持っている患者
  10 保護室での隔離が長期になっている患者
  11 身体拘束が解除できない患者
  12 身体合併症が問題となる患者
  13 副作用が深刻で薬が使えない患者
  14 容易に怠薬して入院を繰り返す患者

 D.患者を取り巻く環境がよくない患者
  1 家族内で虐待を受けてきた患者
  2 問題のある家族で調整役を果たしてきた患者
  3 性被害・いじめ・暴力を受けてきた患者
  4 家族が治療に協力的ではない患者
  5 家族から厳しく責めたてられる患者
  6 家族が治療者や治療に不信感を持っている患者

3 厄介で関わりたくない患者と上手に関わるコツ
  1 患者中心の対応を徹底する
  2 患者に尊厳ある人として敬意をもって接する
  3 患者が治療を求めてきたことを評価する
  4 患者のつらさに共感する
  5 患者の良いところを見つけて患者に伝える
  6 患者の生きてきた人生を想像する
  7 患者を批判せず丸ごと受け入れる
  8 患者を無理やり変えようとしない
  9 患者の変わらない自由も尊重する
  10 患者は孤独で人に癒されていないと理解する
  11 患者は病者であり弱者であることに留意する
  12 関わりを拒む患者ほど支援を要すると知る
  13 招かれざる患者ほど歓迎する
  14 問題行動を起こす心理的背景について理解する
  15 問題行動を無理にやめさせようとしない
  16 患者と信頼関係を築くことを最優先する
  17 救世主になろうとしてはいけない
  18 一対一からチームへ連携へとつないでいく
  19 患者と関わる際の限界を知っておく
  20 同僚・関係者・回復者と信頼関係が築けている

4 人は人に癒されて生きていけるようになる

5 信頼関係の構築から遠ざかる現代の精神科医療
  1 現代の精神科治療と信頼関係の構築
  2 脳科学優先の精神医学の時代に心すること
  3 薬物療法は症状を改善し信頼関係は人を癒す
  4 信頼関係のない精神科医療は患者を傷つける
  5 信頼関係がないとスティグマが蔓延る
  6 精神療法と診療報酬 〜精神療法の形骸化〜
  7 精神科救急と信頼関係
  8 行動制限最小化と信頼関係
  9 長期入院患者と信頼関係
  10 わが国の精神科医療改革に向けて
  11 人間関係が希薄な現代社会の精神科医療
  12 信頼関係の構築が精神科医療の最優先課題である

6 人と信頼関係を構築するためにどうすればいいか
  1 信頼関係を持てるとはどういうことか
  2 厄介で関わりたくない患者と信頼関係を築くために必要なこと

7 厄介で関わりたくない患者にこそ支援は必要である

おわりに

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執筆者一覧

成瀬暢也 埼玉県立精神医療センター副病院長 著

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厄介で関わりたくない精神科患者とどうかかわるか
   定価3,080円(本体2,800円 + 税)
   2021年04月発行
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