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書籍詳細

医師が知っておきたい法律の知識

医師が知っておきたい法律の知識

〜医療現場からみた医事法解説〜

川畑信也 著

A5判 204頁

定価3,520円(本体3,200円 + 税)

ISBN978-4-498-04894-2

2021年05月発行

在庫あり

日常の診療行為のなかで,医療訴訟の不安を抱いた経験がある医師は少なくないのではないだろうか.本書では,これだけは知っておきたい医事法の知識を,医師の視点から具体的かつ実践的に解説した.医師も法律と無関係ではいられなくなった今,医事法について学び始めるのに最適な一冊.

はじめに

医学と法律.一見すると学問としては独立したものと考えがちですが,実は医学と法律は密接な関係を持っています.特に法律のほうが医学あるいは医療に介入してきている,あるいは関係を強要してきているともいえるのです.その一例を挙げますと,診療ガイドラインは医療界が自主的に行う内的規制であるにもかかわらず,医療訴訟が発生しますと,法律家は事後的にこの診療ガイドラインを証拠として医師の過失を追及する手立てに利用してくるのです.われわれ医師が患者さんの診療を行うとき,その診療が契約に基づいて実施されているという実感を持つことはまずないでしょう,しかし,法律からみますと医療行為は患者さんと医師あるいは医療機関との間の準委任契約と解釈されるのです.ですから,医療事故あるいは医療過誤が発生しますと,法律家はすぐに診療契約違反という立場から医師の過失を責め立ててくるのです.われわれ医師も法治国家のもとで医療行為を行っている以上,法律に規制されることに対して異議を申し立てることはできないでしょう.法律家は,法律という神輿を盾にして医療従事者の行った医療行為の過失を追及してきます.法律家は,医療の揚げ足を取っているのではなく医療を今以上によいものにするため医療訴訟などが存在しているのだと抗弁をしています.確かにその通りだろうと思いますが,現場で毎日医療を行っているわれわれ医師はすべての診療行為を法律に則って実施しているわけではありません.事後的に法律家が糾弾する注意義務をすべからく実施していたら毎日の診療は成り立たないのではないでしょうか.たとえば,診療録の記載内容がしばしば裁判における争点になります.われわれ医師はごく限られた診療時間内で多数の患者さんを診療し診療録を作成しているのですが,その診療録に診療のすべてを記載できるわけではありません.しかし,いざ医療訴訟になると法律家はその診療録の不備を指摘し医師の過失を証明しようとするのです.
 現在,われわれ医師も法律と無関係に医療を行うことができない状況であることは否定できない事実であろうといえます.法律家は医療の現場を知らないのに勝手な論理を振りかざしていると考えず,医療に関連する法律,いわゆる医事法について医師として最小限のことを理解したうえで現場の医療に携わるのが賢明な対処法ではないかと著者は最近考えています.医事法に関する書籍はすでに多数出版されていますが,ほとんどは法律家の立場から作成されたものです.本書は,一知半解ではありますが医師の立場から,さらに日常臨床に則した視点から医療に関連する法律について解説を行ったものです.臨床に携わる医師がこれだけは知っておきたい法律知識を中心に具体的,実践的に解説したのが本書です.多数の医事法関連の書籍を熟読したうえで本書を執筆しておりますが,不佞の身であることから法律の解釈などに誤謬があるかもしれません.その際にはご海容を賜れば幸いです.臨床に携わる先生がたの医事法に関する知識習得の一助になれば幸いであると著者は祈念しております.

2021年3月
著者

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目 次

CHAPTER 1 知っておきたい医事法の基本
   医事法とは何か
   医療を進める際に根拠となる法律
   医行為,医業とは何か
   医行為(医療行為)の適法要件

CHAPTER 2 医師と患者との関係(医療契約について)
   医療契約(診療契約)について
   医療契約の当事者
   医療側からみた医療契約の内容
   患者側からみた医療契約の内容
   医療水準という考えかた
   医療契約の終了
   患者の自己決定権とは何か
   判例からみる自己決定権
   医師の裁量
   患者の自己決定権と医師の裁量の相克

CHAPTER 3 診療現場で知っておきたい医師の法的義務
   応招義務とその問題点
   応招義務の歴史的変遷
   応招義務における診療を断れる正当な事由に関する変遷
   2019 年に通知された応招義務の新しい法的解釈
   診断書の交付義務
   無診察治療などの禁止
   異状死体の届出義務
   処方箋の交付義務
   療養指導義務
   診療録記載・保存義務
   転送(転医)義務
   守秘義務
   情報提供義務・説明義務
   診療録開示義務の原則
   診療録開示義務の問題点
   死亡患者の診療録開示義務
   病名告知義務

CHAPTER 4 インフォームド コンセントと説明義務
   インフォームド コンセントの成立要件
   インフォームド コンセントの法的立場
   医療現場におけるインフォームド コンセント
   誰を基準として説明義務があるのか
   説明義務に関連する医師の法的側面
   判例からみる医師の説明責任
   複数の医師が診療に関与する場合の説明責任のありかた
   説明義務が免除される場合
   インフォームド コンセントにおける患者の同意能力
   医療水準に達していない未確立治療,民間療法の場合
   インフォームド コンセントの今後とその限界

CHAPTER 5 診療(医療)情報と個人情報保護法
   診療(医療)情報保護のための法律
   本人の同意なく診療情報を第3 者に伝えてよい場合
   個人情報保護法の概説
   医師が知っておくべき個人情報保護法の内容
   厚生労働省通知のガイダンスで知っておくべきこと

CHAPTER 6 医療過誤に関連する法律(民事)
   医療事故と医療過誤
   医療過誤と判断される要件
   医療事故における因果関係の認定の根拠とその困難さ
   わが国における医療訴訟の状況と特殊性
   不法行為責任の概要
   債務不履行責任の概要
   不法行為責任と債務不履行責任との違い
   医師側の過失はどのように判断されるのか
   医療水準と医療慣行
   複数の治療法が存在しているときの法解釈
   医療事故,医療過誤の紛争処理
   裁判外紛争解決手続(ADR)

CHAPTER 7 医療過誤に関連する法律(刑事)
   医師の刑事責任
   業務上過失致死傷罪とは
   医療過誤における異状死体の届出義務について
   医療過誤における届出義務の問題点
   わが国の刑事医療裁判の実態
   医療過誤に対する刑事責任の追及をやめるべきとの意見とその反論
   チーム医療における刑事責任の所在

CHAPTER 8 医療行為と行政処分
   医師法が規定する行政処分
   行政処分の考えかた
   医師に対する行政処分の実態
   2006 年の医師法改正に伴う行政処分の変化
   行政処分の手順,手続き

CHAPTER 9 身体拘束の法的側面
   身体拘束の実態
   法的視点からみた身体拘束の是非
   身体拘束を可能にする要件とは
   身体拘束の違法性と妥当性
   身体拘束に対する医師の関与
   病院・施設内での転倒や転落事故に対する法的責任

CHAPTER 10 実臨床における法的問題(医療倫理と法)
 病名告知
   患者の権利と医師の義務からみた病名告知
   病名告知に関する判例
   法的側面からみた認知症患者への病名告知の是非
   臨床現場からみた認知症患者への病名告知の是非
 終末期医療
   終末期あるいは終末期医療の定義
   終末期医療の実態―死亡場所はどこか
   安楽死の分類
   安楽死の法的側面
   尊厳死の法的側面
   東海大学病院事件の概要(横浜地判 平成7年3月28日)
   東海大学病院事件の判決の解説と問題点
   川崎協同病院事件(最三小判 平成21年12月7日)
   川崎協同病院事件に対する判決の問題点
   家族による在宅患者の人工呼吸器取り外し事件
   治療の中止と差し控え(治療不開始)は同等か異なるのか
   終末期における治療を中止する要件,法的側面
   厚生労働省「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」の問題点
   日本医師会の「終末期医療に関するガイドライン」について
   3 学会提言の救急・集中治療における終末期医療に関するガイドライン
   日本老年医学会の立場表明2012 について
   まとめ
 輸血拒否
   エホバの証人(ものみの塔聖書冊子協会)による輸血拒否の問題
   エホバの証人の輸血に対する考えかた
   宗教的輸血拒否に関するガイドライン
   臨床現場では実際にどうしたらよいか
 終末期における水分・栄養補給の法的問題
   人工的水分・栄養補給の差し控え・中止における法的責任
   終末期における胃瘻造設の適否
   静脈経腸栄養ガイドラインにみる高齢者の栄養補給

CHAPTER 11 医療現場におけるQ&A
   Q1 医師免許証について知っておくべきことを教えてください
   Q2 医師は歯科治療を行うことができますか
   Q3 糖尿病診療でインスリンを家族に代行させ注射させることがありますが法的根拠はあるのでしょうか
   Q4 在宅療養患者の吸痰行為を家族らが行ってもよい法的根拠を教えてください
   Q5 AED(自動体外式除細動器)の使用は医療行為(医行為)に該当しないのでしょうか
   Q6 医療関係者への患者らの暴言や暴力行為に対する法的責任はどうなるのでしょうか
   Q7 通院している患者が万引きを行った結果,警察から病状照会があったときの対応をどうしたらよいでしょうか
   Q8 警察から事件に関連して死因や死体の身元などに関する情報提供の依頼があった場合,回答をしてよいでしょうか
   Q9 弁護士から患者の病歴照会があった場合の対応はどうしたらよいでしょうか
   Q10 手術同意書の法的な位置付けを教えてください.これで一切の免責になるのでしょうか
   Q11 認知症が進行し判断能力がないと判断される患者が手術を必要としていますが手術同意書はどうしたらよいでしょうか
   Q12 チーム医療における責任あるいは説明義務は誰にあるのでしょうか
   Q13 医師が刑事責任を問われる際の罪名としてはどのようなものがありますか
   Q14 医師が民事責任を問われる場合としてはどのようなものがありますか
   Q15 医療過誤で訴えられる不法行為責任についてわかりやすく説明してください
   Q16 家族に頼まれて患者の診断書に事実と異なる記載をしたときの罪状はどのようになりますか
   Q17 患者の情報を他人にうっかり話してしまった場合,罪になりますか
   Q18 患者の秘密(診療情報)を開示できる正当な理由には何があるのでしょうか
   Q19 患者が受診を拒否し家族のみの通院によって処方をしていますが違法でしょうか
   Q20 日本語の通じない外国人が診察を求め受診してきました.この場合,診療を断ることはできますか
   Q21 訪問診療を行っている患者が在宅で死亡したときには,死亡診断書あるいは死体検案書のどちらでしょうか
   Q22 医療訴訟における診療ガイドラインの法的意味付けはどうなっているのでしょうか
   Q23 投薬による医療過誤があった場合の責任は誰が負うのでしょうか
   Q24 医薬品の添付文書(いわゆる能書)には法律的な根拠はあるのでしょうか
   Q25 医薬品の添付文書に従わず医療事故が生じてしまったときの法的責任はどうなるのでしょうか
   Q26 医薬品と医薬部外品は法的にどのように違うのでしょうか
   Q27 終末期医療での治療の中止が法的に問題となるならば,最初から治療を差し控えたら問題は生じないと考えてよいのでしょうか
   Q28 学会発表や論文作成をする際に患者の個人情報をどう取り扱ったらよいのでしょうか
   Q29 家族からカルテ開示を求められた場合,開示すべきでしょうか
   Q30 患者の個人データが漏洩してしまった場合の対応はどのようにすればよいでしょうか

参考書籍
索引

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執筆者一覧

川畑信也 八千代病院神経内科部長/愛知県認知症疾患医療センター長 著

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