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書籍詳細

心肺蘇生 実況中継!

心肺蘇生 実況中継!

寺崎文生 監修 / 駒澤伸泰 著

A5判 112頁

定価2,420円(本体2,200円 + 税)

ISBN978-4-498-16632-5

2021年10月発行

在庫あり

すべての医療従事者にとっての必須手技である「心肺蘇生」の超入門書.実況中継形式で,気軽に最新の蘇生教育を受けることができます.新型コロナウイルスの影響で,なかなか蘇生実習を行う機会がなくても,本書を一読すれば,蘇生アルゴリズムや基本的な考え方など,心肺蘇生の基本概念・ノンテクニカルスキルを習得できます.すべての医療系学生に!

プロローグ

 心肺蘇生は全ての医療従事者にとって,必須の手技です.

 北大阪医科大学でも,医学生に対して系統的な心肺蘇生教育が行われています.ちょうど臨床実習を前にした4年生達は,臨床現場での基本手技の1つである心肺蘇生に対して非常に大きな期待と緊張を抱いています.

 皆さんは,この本の中で,中山・藤田・渡辺の3人の医学生と共に最新の2020年度版心肺蘇生ガイドラインに基づいた蘇生教育を学んでいくことになります.
 新型コロナウイルスパンデミックにより,なかなか蘇生実習を行う機会がなくても,この本を読むことで心肺蘇生の基本概念・ノンテクニカルスキルは習得できます.

 さあ,それではいよいよ「心肺蘇生 実況中継!」の始まりです.

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監修の言葉

 蘇生法に関する記述はすでに旧約聖書に遡るとされていて,エリシアという予言者が奇跡をおこしたとの記載は(旧約「列王記」下巻4章),まさしく呼気吹込み法の実践であったと言われています 1).その後,古代から中世にかけて種々の蘇生の試みが行われており,その上に現代の蘇生法が成り立っていることは大変興味深いことです.18世紀になると,電気的除細動や人工呼吸法の開発が始まります.時は流れ,現代的な胸骨圧迫法による心臓マッサージ,人工呼吸法(口対口呼吸)および電気的除細動の3つが揃って統合されたのは1960年であり,記念すべき年とされています.国際ガイドラインの構築に関しては,1970年代からアメリカ心臓協会(American Heart Association:AHA)が中心となって行われました.AHAの取り組みに続いて,1989年にヨーロッパ蘇生協議会(European Resuscitation Council:ERC)が結成されました.さらに,1992年にAHAとERCが中心となって,国際蘇生連絡委員会(International Liaison Committee On Resuscitation:ILCOR)が設立されました.日本蘇生協議会(Japan Resuscitation Council:JRC) 2)も結成され,2010年からアジア蘇生協議会(Resuscitation Council of Asia:RCA)の一員としてILCORに加盟しています.
 国際ガイドラインの策定はエビデンスに基づいて行われ,2005年に2005 International Consensus on CPR and ECC Science with Treatment Recommendation(CoSTR)が発表されました.その後,CoSTRはILCORにより定期的に改訂が行われ,2017年からは1年ごとにCoSTRが発表され,重要なトピックスについて迅速な勧告がなされています.JRCはCoSTRの内容を踏まえてその都度提示しています.また,JRCは,2010年から5年ごとにガイドライン改訂版を発表しており,今回,2021年3月に「JRC蘇生ガイドライン2020」の全てが公開の運びとなりました 2).(書籍版は2021年7月に発刊予定です.)
[注:ただし,2020年は新型コロナウイルス感染症(coronavirus disease 2019:COVID-19)が世界的な脅威となり大変な状況になりました.ILCORとJRCでは,2020年の蘇生ガイドライン改訂に向けて準備を行いましたが,COVID-19の世界的な蔓延のため,ILCORから心停止に対するCPR時の感染リスクとその対策についてのCoSTRが優先的に発表されています 2).]
日本の医学教育モデル・コア・カリキュラム(平成28年度改訂版)においては,G-3-4)臨床実習-基本的臨床手技-救命処置の学修目標として,(1)一次救命処置を実施できる,(2)二次救命処置を含む緊急性の高い患者の初期対応に可能な範囲で参加すると,その重要性が記載されています.一次救命処置と二次救命処置の違いは簡単に言えば,従来は,一次救命処置とは心肺停止または呼吸停止に対する,専門的な器具や薬品などを使う必要がない心肺蘇生(cardiopulmonary resuscitation:CPR)のこと,二次救命処置とは病院などの医療機関において医師や救急救命士が行う高度なCPRのことです.近年,自動体外式除細動器(automated external defibrillator:AED)やCPRの啓発と普及活動等により,医療従事者でない一般市民も救命処置を行う時代になっています.AEDの日本での導入は1998年頃からで,扱い方を学んだ救急隊員であれば使用することが可能となりました.2004年からは,一般市民がAEDを使うことができるようになり,一次救命処置によって助けることができる人数が大きく増加しました.
 本書は,大阪医科薬科大学医学部医学教育センターの駒澤伸泰先生により,オリジナルに書き下ろされたものです.本書の特徴は,(1)2020年の最新の心肺蘇生ガイドラインの内容に沿っていること,(2)麻酔科学,救命救急処置,多職種連携およびシミュレーション教育における駒澤先生の豊富な経験に基づいて 3),臨床教育現場の臨場感に溢れる内容になっている点です.さらに,(3)従来のテキストの多くは救急蘇生法の指針の方法論のみの記載に留まっていますが,本書にはその指針が訴えかけている本質も読者に伝えたいという著者の気持ちが込められています.本書が,医療系の学生さんのみならず,すべての医療従事者の皆様の明日からの実践にお役に立つことを確信しています.
 最後に,この企画を実現していただいた中外医学社各位に深謝申し上げます.

参考資料
1)野々木 宏. 心肺蘇生法の歴史と最近の進歩. J-PULSE: 厚生労働科学研究 (循環器疾患等総合研究事業) 院外心停止対策研究班. http://j-pulse.umin.jp/push3/articles/article-nonogi-07/index.html(2021年7月1日閲覧)
2)日本蘇生協議会. (https://www.japanresuscitationcouncil.org/)(2021年7月1日閲覧)
3)駒澤伸泰. 院内急変対応における連携. In: 寺崎文生, 他, 監修, 駒澤伸泰, 編著. 実践 多職種連携教育. 東京: 中外医学社; 2020. p.159-63.

2021年7月吉日
大阪医科薬科大学医学部医学教育センター副センター長,教授
寺崎文生

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目 次
  プロローグ
1 心肺蘇生・急変対応を学ぶ必要性
   心肺蘇生・急変対応教育を学ぶ意義
   標準化された心肺蘇生・急変対応教育を学ぶ意義
   心肺蘇生の法律的・プロフェッショナリズム的側面
   蘇生のエビデンス
2 心肺蘇生のイメージ
   まずは救援依頼が何よりも大切
   質の高い胸骨圧迫が不可逆的な脳へのダメージを遅らせる
   迅速な救援依頼,迅速な胸骨圧迫の次は迅速な除細動
   人工呼吸は過換気を意識して
   2020年版の米国心臓協会 (AHA) 心肺蘇生 (CPR) と救急心血管治療のためのガイドライン (ガイドライン2020)
3 G2020成人一次救命処置(BLS)
   何も持たない状況から始めるのが一次救命処置
   質の高い胸骨圧迫こそが不可逆的な脳へのダメージを防ぎ心拍再開につながる
   AEDは『波形確認』と『安全確認』のための2回患者さんから離れる
4 G2020 ALS
   一次救命処置と二次救命処置の違い
   二次救命処置のガイドライン
   心肺蘇生中の気道管理はどうするのか
   二次救命処置における波形評価
   高度な気道確保がされている場合の心肺蘇生の特徴
   救急部,集中治療室,手術室における二次救命処置の特徴
   二次救命処置における波形評価
5 G2020 小児の一次,二次救命処置の概要
   心肺蘇生における小児心停止予防の大切さ
   蘇生ガイドラインにおける小児の定義
   小児一次救命処置のポイント
   小児二次救命処置のポイント
6 蘇生後のケア
   心拍再開後の対応
   経皮的カテーテル治療と低体温療法
   意識回復がなければ低体温療法を考慮
7 心停止のよくある原因
   心肺蘇生を行いながら原因解除を考える
   低酸素血症と窒息の解除
   溺水も低酸素による心停止の原因
   さまざまな心停止の原因と対応
8 工夫が必要な心肺蘇生〜アナフィラキシー・喘息発作・局所麻酔薬中毒など〜
   アナフィラキシーは誰でも起こる可能性がある
   喘息発作は迅速なβ2刺激薬とエピネフリン皮下注を
   中毒が原因の心停止への対応
9 院内急変対応
   院内急変対応とは何か
   心停止の前に適切な気道管理を
10 心肺蘇生を円滑にするためのコミュニケーション
   心肺蘇生は多職種連携
   急変時多職種連携の基本となるチームダイナミクス
11 心肺蘇生と医療安全
   心肺蘇生中の家族ケア
   患者さんが死亡した場合
   蘇生,記録の重要性
   医療安全を考えた蘇生教育の必要性
12 新型コロナウイルスパンデミック下の心肺蘇生
   新型コロナウイルス感染症と社会
   新型コロナウイルスパンデミック下の心肺蘇生
   ‘早期’の高度な気道確保が期待される二次救命処置
   密集回避が期待される二次救命処置と院内急変対応
13 二次救命処置のシナリオの実際
   二次救命処置の理想的な形式
 エピローグ
 あとがき
 索引

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執筆者一覧

寺崎文生 大阪医科薬科大学医学部医学教育センター副センター長,教授 監修
駒澤伸泰 大阪医科薬科大学医学部医学教育センター副センター長,講師 著

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