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書籍詳細

よくわかる睡眠時無呼吸の診かた,考えかた

よくわかる睡眠時無呼吸の診かた,考えかた

富田康弘 著

A5判 332頁

定価6,050円(本体5,500円 + 税)

ISBN978-4-498-13062-3

2023年06月発行

在庫あり

睡眠時無呼吸の知識を系統立ててやさしく解説.正しく理解し実践力に繋がる入門書.

睡眠時無呼吸の知識を,最新のガイドライン・エビデンスを踏まえて解説した.Part1から順番に通読すれば,基礎となる確固たる土台ができあがり,その上により深い知識を身に付けられるように工夫した.既に診療やケアに携わっている医療者については,気になるPartから読み進めても構わない.曖昧であった知識がクリアに整理され,実践に使えるものに進化するだろう.睡眠時無呼吸の対応に自信がつく,頼れる1冊だ.

はじめに

 この本を手に取られた方は,睡眠時無呼吸症候群(SAS)という病気に何らかの形で興味を持ってくださったのだと思います.SASという病名は聞いたことがあるし,CPAP(シーパップ)という治療機器があることも知っているけれど,実際どのように診療しているのかよく知らないという方も少なくないでしょう.SASの診療に取り組んでいる医師,検査や外来に関わるメディカルスタッフからも,もう少し詳しく病気のことを知りたいという声を聞きます.
 本書は睡眠を専門としているわけではないけれど,SASの診療に関わる医師やメディカルスタッフ,これからSASの患者さんの診療を始めようと考えている医療機関の方々の役に立つように,SASという病気について基本から解説しています.わかりやすくすることを心がけ,また,応用が利くように厳密な理解を積み上げながら進められるように構成しています.
 本書は7つのPartから構成されています.Part 1ではSASという病気を知るための土台となる基礎知識をまとめました.歴史的な背景,病態生理,診断基準,疫学データを提示して,Part 2以降の解説を理解するための共通認識を作ります.とくにPart 1の中で行う用語の定義は重要であり,SASという病名の曖昧さを排除するために,多くの人が診療の対象としてイメージするSASのことを,本書では閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)と記述します.続くPart 2が本書のエッセンスであり,典型的なOSA診療の基本はここに凝集されています.Part 3以降には基本を補うための項目が続きます.
 Part 1から順々に読み進めることで理解が深まるように構成していますが,気になるところから読み始めても構いません.各所に参照ページが記されていますので,関連する項目に移動しながら読み進めることもできます.各Partの冒頭では概要を示していますので,先に冒頭部分のみを読んで必要な情報を探しながら読んでもよいでしょう.順番に読む場合には,とくにPart 2をじっくり読むことをお勧めします.基本的なストラテジーを理解した上でPart 3以降に進むことで,より理解が深まります.
 基本的なOSAの診療についてすでにご存じの方は,Part 3以降の知りたいところから読み始めてもよいでしょう.Part 3は医療連携を活用した実践的な診療の仕組みづくりを,Part 4は非典型症例に出会ったときの対応について解説しています.診療現場で実際に困っていることに当てはまるものがあれば,解決の糸口を掴むことができるでしょう.Part 5は応用編です.OSAの検査やCPAP療法についてもっと深く知りたい方や,幅広く睡眠医療のことを知りたい方にとって役立つ情報をまとめました.Part 6では少し視点を変えて,OSAに合併するさまざまな疾患を取り上げています.ふだん診療している疾患とOSAの関わりを知ることで,OSAを身近に感じて欲しいと思っています.
 最後のPart 7では,実際の診療場面を想定した患者さんとのやりとりを紹介しています.全体の復習になるように最後のPartとして配置していますが,途中でPart 7を参照する箇所が登場するたびに,箸休めのように読んでもらってもよいでしょう.逆にPart 7から読み始めて,関連ページの項目を読むという形で進めてもよいです.
 どのように読むかはみなさん次第です.この本を読み進めることで,OSAという病気に次第に詳しくなり,診療現場で患者さんの睡眠に注目する機会が増えることに繋がれば嬉しく思います.
 すべての人にとって睡眠は必要であり重要なものですが,つい後回しになっているのが現状です.この本を手にとったみなさんは,睡眠の重要性に気づいた今日から睡眠診療にかかわる一員です.目の前にいる患者さんにも睡眠に注目してもらうことができれば,その患者さんの健康管理を一歩先に進めることができます.OSAの治療はそれ自体が健康管理の一貫ですが,睡眠の重要性に気づくことで健康に対する自己管理能力を高める手助けになる可能性があると思っています.
 それでは,可能性を秘めた睡眠診療の世界への扉をどうぞ開いてください.

2023年5月
富田 康弘

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目 次

Part 1 睡眠診療の土台づくり─SASとは何か─

CHAPTER 1 SASの歴史
  1.SAS診断の歴史
  2.SAS治療の歴史
  3.SAS治療が日本に広まった経緯
  本書における用語の整理
  1.病名の呼び方
  2.病名の読み方と用法
  3.検査の分類
  4.イベント指数
CHAPTER 2 OSAの病態
  1.上気道の狭小化
  2.上気道開大筋の反応性
   〔コラム〕生理的な呼吸と陽圧呼吸
  3.呼吸の不安定性
CHAPTER 3 OSAの診断基準
  1.ガイドライン
  2.OSAの診断基準
  3.呼吸イベントの判定
CHAPTER 4 OSAの疫学
  1.OSAの有病率
  2.OSAの加齢変化
  3.国内外の違い
  4.男女の違い
  5.OSAが引き起こす病気

Part 2 OSA診療のエッセンス─基本ストラテジーを築く─

CHAPTER 1 疑うきっかけ
  1.症状から疑う
   〔コラム〕眠気と疲れの違い
  2.客観的所見から疑う
  3.基礎疾患・事故リスクから疑う
CHAPTER 2 問診と診察のポイント
  1.眠気の評価をしてみよう
   〔コラム〕「眠いですか?」という質問に「はい」と答えることが難しい世の中です
  2.睡眠の質を評価してみよう
  3.日常生活の機能を評価してみよう
  4.総合的な評価をしてみよう
CHAPTER 3 OSAの検査
  1.睡眠を見る
  2.呼吸を見る
  3.睡眠を判定する
  4.呼吸イベントを判定する
  5.検査の分類
  6.PSG検査
  7.簡易モニター
  8.実践的な検査の流れ
  〔検査レポートの数値を解釈するときの注意点〕
CHAPTER 4 OSAの治療
  1.CPAP療法
  2.OA治療
  3.減量指導
   〔コラム〕食事と運動のバランスを考えるときの誤解
  4.そのほかの治療
CHAPTER 5 そもそもなぜ治療するのか?
  1.症状のために治療する
  2.合併症管理のために治療する
  3.予防・予後を考えて治療する
   〔コラム〕CPAPは予後を変えることができるのか?(SAVE試験,RICCADSA試験,CERCAS試験)
  4.事故リスクを考えて治療する
CHAPTER 6 治療後の経過観察
  1.CPAPのアドヒアランス向上を考える
   〔コラム〕CPAP療法の遠隔モニタリング
  2.再検査を考える
  3.治療の中止を考える
   〔コラム〕やる気で習慣は生まれない

Part 3 OSA診療の実践─非専門医のためのサポーターのすすめ─

CHAPTER 1 検査を外部委託しよう
  1.簡易モニターを外部委託しよう
  2.PSG検査を外部委託しよう
CHAPTER 2 医療連携を活用しよう
  1.PSG検査における医療連携
   〔コラム〕PSG検査実施施設の探し方
  2.CPAP療法における医療連携
   〔コラム〕スリープケアステーション
  3.OA治療における医療連携
   〔コラム〕OSA治療のためのOA作製が可能な歯科医・歯科医院の探し方
  4.その他の診療科との連携

Part 4 非典型例の診療─いつもと違う患者さんに出会ったら─

Question 1 中枢性無呼吸に遭遇したら?
  1.中枢性睡眠時無呼吸の分類
  2.診断名・呼吸イベントとしての閉塞性・中枢性の分類
   〔コラム〕私の無呼吸は閉塞性ですか? 中枢性ですか?
  3.過換気が中枢性無呼吸の原因となる
  4.さまざまなタイプの中枢性睡眠時無呼吸の病態
  5.中枢性睡眠時無呼吸の自覚症状
  6.心不全に合併する中枢性睡眠時無呼吸に対する治療アプローチ
   〔症例(1)〕心不全に合併するCSA-CSB
   〔コラム〕心不全患者のCSAは治療すべきなのか?(CANPAP試験,SERVE-HF試験,ADVENT-HF試験)
Question 2 CPAP療法中に中枢性無呼吸が出現したら?
  1.治療時に出現するCSA
  2.CSAが出現する原因
  3.治療時に出現するCSAの対処法
   〔症例(2)〕治療開始後にCSAが出現した肥満OSA
   〔症例(3)〕CPAP療法継続中に出現した原因不明のCSA
Question 3 酸素飽和度が低いまま回復しないときにもOSAを疑う?
  1.酸素飽和度の考え方
  2.そもそも低換気とは
  3.低換気を生じるメカニズム
  4.肥満肺胞低換気症候群(OHS)
   〔症例(4)〕肥満に合併する低換気
  5.身体疾患による睡眠関連低換気
   〔症例(5)〕肺疾患に合併する低換気
Question 4 呼吸イベントを生じていないように見えるのにOSAを疑う?
  1.酸素飽和度低下が目立たないOSA
   〔症例(6)〕簡易モニターで過小評価された痩せ型OSA
  2.気流減弱が目立たないOSA
   〔コラム〕「良いいびき」と「悪いいびき」
Question 5 中年の肥満男性だけがなる病気ではないのでしょうか?
  1.小児もOSAになるのでしょうか?
  2.高齢者もOSAになるのでしょうか?
  3.女性もOSAになるのでしょうか?

Part 5 睡眠診療に役立つ知識─もっと知りたい人へ─

CHAPTER 1 睡眠衛生
  1.必要な睡眠時間
  2.眠気・睡眠不足の解消方法
   〔コラム〕寝溜めは有効か?
  3.体内時計
  4.生活習慣を見直す
  5.睡眠環境を見直す
CHAPTER 2 CPAPについて詳しくなる
  1.機器選択
  2.マスク選択
  3.圧設定
   〔症例(7)〕治療により呑気症が出現した痩せ型OSA
   〔症例(8)〕治療中に残存AHI(閉塞性)が増加した肥満OSA
   〔症例(9)〕治療中に残存AHI(中枢性)が増加した心不全を合併するOSA
  4.加温・加湿オプション
CHAPTER 3 睡眠検査における波形の読み方
  1.典型OSA症例のPSG検査結果
  2.ヒプノグラムを読み解く
  3.PSGで見るOSAの多様性
  4.酸素飽和度から深読みする
  5.体位に注目する
  6.睡眠ステージに注目する
CHAPTER 4 睡眠時無呼吸以外の睡眠の病気を疑う
  1.不眠症
  2.過眠症
  3.リズムの病気
  4.睡眠時の随伴症と運動障害

Part 6 OSAの合併疾患─他領域からOSAを疑い治療する─

   1.高血圧症
   2.心房細動
   3.虚血性心疾患
   4.うっ血性心不全
   〔コラム〕フルイドシフト
   5.脳血管障害
   6.慢性閉塞性肺疾患(COPD)
   7.気管支喘息
   8.慢性咳嗽
   9.慢性腎臓病(CKD)
  10.2型糖尿病
  11.脂質異常症
  12.認知機能障害
  13.気分障害
  14.胃食道逆流症(GERD)
  15.鼻炎

Part 7 患者さんとのやりとりから学ぶ─診察室を覗いてみよう─

  Q1 呼吸が長く止まっていたら死んでしまうのでしょうか?
  Q2 日帰り手術で無呼吸が治療できると聞きました
  Q3 検査の日はぜんぜん眠れませんでした
  Q4 家で検査できると聞きました
  Q5 私はなぜ無呼吸なのでしょうか?
  Q6 CPAPを着けると眠れなくなります
  Q7 CPAPを着けていると無呼吸がよくなりますか?
  Q8 CPAPはいつまで続けるのでしょうか?
  Q9 CPAPは何時間着ければよいですか?
  Q10 CPAPは出張にも持って行った方がよいのでしょうか?

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執筆者一覧

富田康弘 虎の門病院睡眠呼吸器科 医長 著

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