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書籍詳細

内科外来診療の掟 診断力を上げる総合診療のアプローチ

内科外来診療の掟 診断力を上げる総合診療のアプローチ

JUGLER(日本大学総合診療リーダーシップ・教育円卓会議) 編集

A5判 390頁

定価5,500円(本体5,000円 + 税)

ISBN978-4-498-12020-4

2024年05月発行

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研修医になったら,まずこの1冊



研修医・若手医師が求める診療の必須知識とコツを1冊で!
レジデントの方が現場に出て,本当に欲しい内容を考えて作りました!当直・外来で必ず経験する病態・疾患への最適な対応と状況に応じた多様な技を両得できる必読書です.最新のエビデンスをおさえながら,ガイドラインではカバーができない臨床現場でのコツ,ピットフォールまで解説.若手著者による臨床での実経験を活かした解説+エキスパート編者のアドバイスで実践的な思考プロセスと対応が身につく,教科書や他のマニュアルにないマッチ感で等身大のバイブル!



 日本は世界が経験したことのない超高齢社会を迎え,我々医師に求められる役割は急激に変化しています.特に高齢者,生活困窮者の患者らが抱える医学的問題は複雑であり,従来の臓器別診療では対応しきれないケースが増えています.例えば,高齢者では多様な症状や合併症を伴う慢性疾患が多く,生活困窮者では医療費の負担や医療機関へのアクセスの困難さが健康に影響を及ぼすため生活環境や社会的支援の要否も考慮しなければなりません.これらの問題に対応するには,臓器別診療をかけ合わせた医療を提供するだけでは不十分であり,全領域を横断的にカバーしつつ,全人的医療を実践するスキルが求められています.
 私は総合診療の基本は,どのような患者,どのような問題も断らずに対処するジェネラルマインドセットを持つこと,さらに良好な医師患者関係を構築して丁寧な病歴聴取と身体診察に基づく適切な診断推論を実践することであると考えています.たとえ全診療科が揃う大病院であっても,それぞれの専門性をかけ合わせることで総合診療を実践することはできません.目の前の患者の訴えを適切に一般化して診断を行い,それができない場合であっても諦めずに考え続ける姿勢が重要です.私はこのような姿勢を持って,これまで総合診療医として活動してきました.その経験から得た知見やノウハウを本書で共有したいと思います.
 本書では医学教育モデル・コア・カリキュラムおよび日本内科学会の内科専門研修から,内科外来診療で頻繁に遭遇する40の症候をピックアップし,それらについて総合診療・内科のエキスパートたちの実践例を紹介しています.また症候学のみではなく,総合診療・内科学の基本である診断学について冒頭で3項目取り扱っています.本書が,初めて症候学を学ぶ方,または総合診療・内科学のリカレント教育を目的とした先生方などの幅広い層の読者の皆様にとって,有用な学びの書となることを心から願っています.

2024年4月
佐賀大学医学部附属病院 総合診療部 多 胡 雅 毅






 内科外来を受診する患者は,発熱,全身倦怠感,食欲不振といった全身症状から,筋力低下,浮腫,貧血など臓器特異的と考えられる症状まで,多様な問題で受診をする.また,再来患者であっても新たに出現した主訴について「かかりつけ医」として相談を受けることはしばしばある.この時に患者は「病名」という看板を持って受診するのではなく,「症候」という自覚症状を語るものである.我々は,患者の語る症候から,そこに潜む病名を探りあて,適切なマネジメントへとつなげる能力が必要となる.
 特に内科外来という診療設定では,上記のプロセスを行うのに“ちょっとした”コツがいる.外来診療は限られた時間で,さらに言えば限られたリソースを持って,効率的に診療を進めなければいけない.患者が診察室の扉をあけて入室した瞬間から,もっというと医師の手もとにきた問診票を読んだ時から,臨床推論をスタートさせ,鑑別疾患を想起する必要があるだろう.こういった思考プロセスは「名人芸」と揶揄されるが,そこには言語化し得るアートとサイエンスがある.
 本書では,ジェネラリストとしての診療スキルを持ったエキスパートが,内科外来を受診する主要症候について,どうアプローチするかの要所について掟(Rule)として整理されている.Ruleには,「めまいを主訴に受診した患者には,まず何を聴けば良いか」「危険な頭痛を見逃さないためには何に着目すれば良いか」といった,実臨床で重要となるポイントについてまとめられている.まさに,上述した「名人芸」と言われるスキルを言語化したポイントがこれにあたる.本書に認められたエキスパートの思考プロセスのポイントをRuleとして押さえることで,内科外来で効果的かつ効率的に臨床推論能力を向上させることに資する構成となっている.本書を通じて,日常診療の質向上にご活用頂けることを願う.

2024年4月
千葉大学大学院医学研究院 地域医療教育学
千葉大学医学部附属病院 総合診療科 鋪 野 紀 好

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1 診断推論,診断戦略,診断エラー  診断思考能力を高めてdiagnostic excellenceを目指そう!〈礒田 翔〉
2 Medically unexplained symptom  MUSに対する系統的なアプローチを知ろう!〈長崎一哉〉
3 Difficult patient encounters  要因分析に基づく介入でdifficult encounterを解決しよう!〈増田陽平 松尾裕一郎〉
4 体重減少・食思不振  体重減少・食思不振を「スマート」に精査しよう!〈案浦 峻 平川優香 多胡雅毅〉
5 全身倦怠感  Low yieldな主訴のため,high yieldな情報を探して鑑別しよう!〈石瀬裕子 本田優希〉
6 めまい  系統的アプローチでめまいの診断をマスターしよう!〈鋪野紀好〉
7 失神,意識障害  似て非なる失神と意識障害を正しく理解・区別しよう〈小森大輝〉
8 尿検査の異常(血尿・蛋白尿)  急ぎの対応から慢性管理まで,血尿・蛋白尿への対応をマスターする〈近藤 猛〉
9 腹痛  わからないまま終わらせない! 腹痛診療のポイント〈青山彩香 原田 拓〉
10 頭痛  二次性頭痛を見逃さない,頭痛をうまく管理する!〈浅野成美〉
11 胸痛  幅広い胸痛アプローチcommonからcriticalまで〈平田理紗 ?島圭宜 多胡雅毅〉
12 腰背部痛  危険な腰背部痛を見極められるようにしよう!〈繁田知之 佐々木陽典〉
13 頸部痛  ポイントを抑えた問診,身体診察で頸部痛の診断に迫ろう!〈渡辺 綾 坂口公太〉
14 関節痛・関節炎  これでもう怖くない,関節痛の診断〈藤井真理 官澤洋平〉
15 発熱  不明熱―できるだけ原因不明の発熱をなくすためにはどうすればよいか―〈前田 正〉
16 皮疹  内科医でも皮疹に強くなる〈東中園真也 小川まゆ ?橋宏瑞〉
17 筋力低下  「脱力」の原因を病歴と診察から見極めよう〈武岡宏明 佐々木陽典〉
18 しびれ  多様なしびれをスッキリと診断しよう〈徳島圭宜 山下 駿 多胡雅毅〉
19 認知機能低下  原因を探り,最適なケアを提供しよう〈天野雅之〉
20 不眠・睡眠障害  不眠診療で不眠にならないために〈劉 彦伯〉
21 抑うつ  「メンタル」で片づけない!原因検索のススメ〈飯田圭祐 宮上泰樹〉
22 不随意運動・振戦  「視診」「問診」「身体診察」 落ち着いていつも通りの診療スタイルで臨んでみよう〈大沼広樹〉
23 上気道症状  抗微生物薬適正使用のために〈花井翔悟〉
24 喀血・血痰  緊急度と重症度を見極め,慌てず適切に対応できるようになろう!〈佐住洋祐 大塚勇輝 大塚文男〉
25 呼吸困難  呼吸困難への診断アプローチをマスターしよう!〈井手則子 山下 駿 多胡雅毅〉
26 浮腫  浮腫の原因検索のアプローチを習得しよう〈福田雄太 工藤仁隆〉
27 動悸  危険な動悸を察知し,対応できるようになろう〈山田脩斗 相原秀俊 多胡雅毅〉
28 心雑音  心雑音の基本を復習し,病態の理解や心エコー検査の適応を見極めよう〈鵜木友都 東 将希〉
29 悪心・嘔吐  制吐剤のみ処方する嘔吐診療から脱却しよう〈塩田星児〉
30 吐血,下血,血便  病態から理解する消化管出血のアプローチ〈鶴若莉央 山田 徹〉
31 便秘,下痢  患者の快便のために正しく原因を評価しよう〈?井咲弥 細川 旬〉
32 腹部膨満  6F・経過・部位・細胞診を駆使して腹部膨満の原因に迫ろう!〈小松史哉 佐々木陽典〉
33 貧血の指摘  外来診療で必ず遭遇する貧血の対応を学ぼう!〈柏木克仁 佐々木陽典〉
34 リンパ節腫大  受療行動と主訴でおさえるリンパ節腫大〈横川大樹〉
35 異常行動・幻覚・妄想  精神疾患の前に器質的疾患の鑑別を考えよう〈濱井彩乃 青木一毅〉
36 血糖異常の指摘  異常値に気づき,対応しよう!〈梅田 開 綿貫 聡 竹内 結〉
37 頻尿  泌尿器科に紹介する前にできる内科的アプローチ〈安藤 航 大塚勇輝 大塚文男〉
38 喘鳴  緊急疾患から診断困難例まで意識した喘鳴の診療アプローチをマスターしよう!〈清水宏繁 佐々木陽典〉
39 高血圧  外来での高血圧対応に強くなろう!〈加藤雅隆 小平翔太〉
40 けいれん  診察時には出ていない症状から診断する〈堀田亘馬〉
41 病的肥満  肥満の定義や合併症だけでなく,肥満患者の背景を理解しよう!〈三好智子〉
42 構音障害,失語  構音障害と失語の系統的アプローチをマスターしよう!〈石塚晃介〉
43 黄疸  高ビリルビン血症を生理学的に俯瞰しつつ,閉塞性黄疸を深掘りする!〈鈴木真紀〉



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