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書籍詳細

みんなの急性期リハビリテーション・栄養療法

みんなの急性期リハビリテーション・栄養療法

中西信人 著 / 三谷雄己 著 / 角野ふち イラスト

A5判 166頁

定価3,520円(本体3,200円 + 税)

ISBN978-4-498-06752-3

2025年06月発行

在庫あり


ICUやHCUでの多職種連携によるリハビリと栄養がわかる!
ICUやHCUなど多職種が協働する急性期病棟でのリハビリテーション,栄養療法について医師看護師のみならず,理学療法士,作業療法士,言語聴覚士,薬剤師,管理栄養士など多くのスタッフが実際の現場でどのように協働していくべきか,またそれによっていかにPICS(集中治療後症候群)を減らすことができるのかを,臨床の流れにそったわかりやすい解説と理解を助けるイラストとを交えて解説.急性期病棟スタッフ“みんな”のための入門書.

リハビリテーション・栄養療法でPICSのない社会へ
みんなの急性期リハ栄養,発刊にあたって

 PICS(ピックス)を皆さんご存じでしょうか.PICSとはPost Intensive Care Syndromeの略で重症疾患罹患後に長期間続く身体,認知,精神機能の問題です.日本語では集中治療後症候群といいます.PICSのため社会復帰できない患者さんがたくさんいます.このPICSの原因として急性期の筋萎縮や筋力低下が問題であることが分かっています.それではこの急性期の筋萎縮や筋力低下を防ぐためにはどうしたらよいでしょうか.その答えがまさに「リハビリテーションと栄養療法」なのです.急性期に病気の治療をして命を守るのはもちろんのこと,その段階からリハビリと栄養療法のことも介入が求められています.まさに病気を治すのみならず,人を治す,社会復帰させるということの重要性が再認識されている時代です.
 私は救急集中治療に関わる医師です.様々な科の医師と連携して病気の治療をすることはもちろんのこと,看護師,理学療法士,作業療法士,言語聴覚士,管理栄養士,歯科衛生士,薬剤師など様々な職種の方と協力しながら急性期のリハビリと栄養療法に10年以上かかわってきました.日本でのリハビリや栄養療法のガイドライン作成にもかかわって,海外のガイドラインも全て読んできました.自分はリハビリや栄養療法を専門にしているので,勉強にそれだけの時間が費やせますが,ガイドラインを全て読破するのは簡単なことではありません.基本的には一つのガイドラインで何百ページもあることがほとんどです.しかも,実際にガイドライン作成に関わったことがない人からすると,その内容は難しく,10分も読めばすぐに眠りに落ちてしまうかもしれません.そんななかでこの本の企画を考えました.どうすれば難しいガイドラインの内容を簡単に楽しく,多くの方に知ってもらうことができるのか.
 本書では私も「のぶと先生」として登場するように,私にはリハビリや栄養療法の知識や経験はあります.しかし,分かりやすい本を書くための十分な経験はありませんでした.そんな時に三谷先生が作った『みんなの救命救急科』という本を読みました.内容はとても分かりやすく,会話形式のやりとりなど楽しく読めました.さらにこの本のイラストを担当している角野ふちさんのかわいらしいイラストに一目惚れしました.こんなに分かりやすい内容で,こんなに親しみやすいイラストであればどんなに難しいガイドラインの内容でも,初学者にもきっと分かりやすく伝わると思い,三谷先生と連絡を取り合って本書の企画が誕生しました.最初の叩き台は自分が作成して,それを三谷先生の天才的な執筆力,角野さんの天才的な画力と,さらに全国の優秀な理学療法士さん,管理栄養士さんにも内容について協力して頂き,中外医学社様の素晴らしいとりまとめのおかげで,自信をもって推薦できる本が出来上がりました.さらに自分が尊敬している,リハ栄養を提唱された東京女子医科大学の若林秀隆先生に御推薦を頂けたことを心から嬉しく思います.
 本書はこういった方に向けて執筆しております.救急科や集中治療科をローテートする前に急性期リハ栄養を一通り勉強したい研修医.急性期のリハビリ・栄養をもっと勉強したい専門家の医師.ある日突然病棟からICUやHCUに配属となった看護師.回復期から何かの縁があって急性期のリハビリの担当になったリハビリスタッフ.病棟の栄養管理のエキスパートだったもののICUの担当を任せられた管理栄養士.リハビリは詳しいけど栄養のことは全然わからず詳しく勉強したいリハビリスタッフ,逆に栄養のことは詳しいけどリハビリのことを詳しく勉強したい管理栄養士などなど,この本は初学者のみならず,急性期のリハビリ・栄養について包括的に勉強したい多くの職種の方にお薦めです.本書では分かりやすく,最新のエビデンスに基づいたリハ栄養について楽しくまとめてあります.本書をきっかけに詳しく知りたいところはガイドラインを読んでもらえれば理解は深まるかと思います.
 急性期のリハビリ・栄養療法についてガイドラインに基づいた正しい介入をすることによって,日本全国で急性期のリハビリ・栄養療法の質が向上して,一人でも多くの患者さんが社会復帰できることを望みます.PICSのない社会を成し遂げるのは容易なことではありません.しかし,今後さらなる高齢化,医療の発展による救命率上昇をむかえる日本にとって,健康で,誰もが明るく,楽しく生きることができる世の中に一歩でも近づくために日々努力していきます.この本を開くことが,そんな社会を目指すきっかけの扉を開くことになることを願っております.PICSのない社会を目指して,みんなで急性期リハビリテーション・栄養療法に取り組んでいきましょう.

2025年5月
神戸大学災害救急医学分野
中 西 信 人



まえがき

 『みんなの救命救急科』,『みんなの集中治療科』に続き,本書をお届けできることを,大変うれしく思います.これまでに多くの読者の皆さまからいただいたご意見やご要望を反映し,“みんなの”シリーズならではの豊富なイラストやわかりやすい解説をふんだんに取り入れ,より読みやすく親しみやすい一冊に仕上げました.
 今回のテーマは,ICUやHCUをはじめとした急性期病棟でのリハビリテーションと栄養療法です.重症患者さんのリハビリや栄養に関しては,すでに多くのガイドラインや成書があるものの,専門的な用語や理論が中心となり,初学者や多職種にとってハードルが高いと感じる部分も少なくありません.私自身,救急科専攻医として現場でリハや栄養療法を学ぶ際,書籍だけでは断片的な知識にとどまりがちで,「急性期の患者さんに対して,どう安全かつ効率的にリハビリや栄養療法を行えばいいのか」をまとめて学べる機会があまりありませんでした.
 そこで本書では,神戸大学災害救急医学分野の中西信人先生と協力し,一貫した流れのなかで楽しく学べる構成をめざしました.中西先生は,重症患者リハビリテーション診療ガイドラインや敗血症診療ガイドライン,日本版重症患者の栄養療法ガイドラインなどの作成にも携わっておられる,この領域のスペシャリストです.執筆を通じて,私自身も多くの学びを得ることができました.さらに,なるべく読みやすいように文体を整え,共著の強みを活かしながら,単著に近いスムーズな文章の流れを実現しています.
 本書の大きな特徴は,多職種が協働する急性期病棟のリアルな場面をイメージしやすい点です.医師や看護師,理学療法士,作業療法士,言語聴覚士,薬剤師,管理栄養士など,さまざまな職種がチームとして患者さんを支える現場の臨場感を,できるだけ紙面に落とし込みました.
 部署異動などでICUやHCUに初めて配属された方はもちろん,もう一度基礎から学び直したい方にも,すぐに役立つ具体的なアクションプランやプロトコールを数多く紹介しています.レイアウトや文字の大きさにもこだわり,楽しく読みながら実践的に学んでいただける内容になりました.
 この書籍を形にするにあたり,シリーズを継続的に企画・編集してくださる中外医学社の宮崎雅弘様,そして今回も素晴らしいイラストを描いてくださった角野ふち様には,心から感謝申し上げます.
 そして,何より本書の中心テーマであるリハビリと栄養の最前線を一緒に探究し,知識と情熱を注いでくださった共著の中西信人先生にも,あらためて深くお礼を申し上げます.本書が,急性期医療の現場で働くみなさまの助けとなり,患者さんのQOL向上や早期社会復帰につながる一冊となることを願っています.これからも“みんな”で力を合わせ,さらに良い医療を届けられるように,私自身も学びと実践を続けていきたいと思います.

2025年5月
夕立に洗われた平和公園の木陰,元安川のほとりで,悠久の医療の歩みと平和に思いを馳せながら
広島大学大学院医系科学研究科救急集中治療医学
三 谷 雄 己

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目次
  
  
序章 総論
  
  1 PICS,ICU—AWってなんですか?
  1.救命の先に目指すものとは……?
  2.PICSとは
  3.ICU—AWとは
  
  2 急性期リハビリテーション・栄養療法ってなんのこと?
  1.そもそも,急性期とは
  2.急性期リハビリテーションと栄養療法とは
  
  3 ガイドラインってどのように紐解けばいいの?
  1.ガイドラインとは
  2.推奨はどのように作られるのか
  3.エビデンスの強さとは
  4.ガイドラインによる推奨とは
  5.リハビリや栄養管理での具体例
  6.ガイドラインを臨床へ活かすポイントまとめ
  
  
第1章 リハビリ
  
  1 身体機能評価って,まずは何から始めたらいいの?
  1.MMTとは
  2.MRCスコアとは
  3.握力の評価の有用性
  4.IMSとは
  5.FSS—ICUとは
  6.身体機能評価のまとめ
  
  2 早期リハと急性期リハって何が違うの?早期離床ってそんなに大切?
  1.急性期リハと早期リハの違い
  2.早期リハの重要性と開始タイミング
  3.急性期リハの阻害因子
  4.急性期リハビリテーションのガイドライン
  
  3 リハビリテーションの強度は,何を参考に決めたらいい?
  1.リハビリテーションプロトコールとは
  2.適切な強度の決め方
  
  4 安全にリハビリするための開始基準は?
  1.積極的リハビリテーションの開始基準
    コラム γ(ガンマ)という単位
  
  5 これ以上は危険? リハビリを中断すべき中止基準とは?
  1.積極的リハビリテーションの中止基準
  
  6 患者ごとに最適なリハビリの量と質はどう判断する?
  1.1日に複数回リハビリをする必要性
  2.適切な1回あたりのリハビリ時間とは
  3.適切な1日あたりのリハビリ回数とは
  4.リハビリは量より質なのか
  5.リハビリの量と質を考慮した評価方法
  
  7 EMS(神経筋電気刺激療法)ってどうやって使えばいいの?
  1.EMSとは
  2.EMSの有用性
  3.効果が期待できる患者とは
  4.適切な強度設定
  5.適切な1日あたりの使用時間
  6.使用すべき部位
  
  8 ICUでサイクリングできる? エルゴメーターって何? 
  1.エルゴメーターとは
  2.エルゴメーターの強度
  3.エルゴメーターの推奨度
  4.効果が期待できる患者
  5.適切な強度設定
  6.適切な1日あたりの使用時間
  7.使用すべき部位
  
  9 他にもリハビリ機器ってどんなものがあるの? 
  1.チルトテーブルとは
  2.振動療法とは
  3.つりあげリフトとは
  
 10 呼吸リハって何? 
  1.呼吸リハビリテーションとは
  2.排痰トレーニングとは
  3.胸郭可動域運動とは
  4.呼吸筋トレーニングとは
  
 11 急性期の作業療法とは?
  1.急性期における作業療法とは
  2.急性期における作業療法のエビデンス
  3.巧緻運動のトレーニング
  4.認知機能への介入
  5.日常生活動作の回復支援
  
 12 嚥下リハとは?
  1.嚥下リハとは
  2.嚥下機能障害とは
  3.嚥下機能の評価方法
  4.嚥下リハの方法
  
 13 リハビリにも薬剤の知識が必要?
  1.リハ薬剤を学ぶうえで知っておくべき2つの視点
  2.筋弛緩薬
  3.ステロイド
  4.カテコラミン
  5.ベンゾジアゼピン
  6.降圧剤
  7.SGLT2阻害薬
  
 14 小児リハとは?
  1.小児リハビリテーションの重要性
  2.家族とリハビリ
  3.小児の呼吸リハ
  
 15 ICU退室後には,どんなリハビリが必要?
  1.ICU退室後のリハビリテーション
  2.ICU退室後のリハビリテーションの適切な強度とは
  3.退院後のフォローアップ体制
  
  
第2章 栄養
  
  1 栄養状態の評価ってどうやるの?
  1.栄養状態評価の重要性
  2.栄養状態の評価の歴史
  3.GLIM基準とは
  4.スクリーニングに用いるツール
  5.低栄養の診断と重症度評価
  
  2 急性期栄養療法って何?
  1.急性期栄養療法とは
  2.急性期栄養療法の実施方法
  3.急性期栄養療法のプロトコール
  4.急性期栄養療法のガイドライン
  
  3 どうすれば重症患者にも早期から経腸栄養を始められますか?
  1.早期経腸栄養とは
  2.経管栄養は持続投与と間欠投与のどちらを行うべきか
  3.胃と十二指腸どちらから栄養を投与すべきか
  
  4 早期経腸栄養を注意すべき場合とは?
  1.早期経腸栄養の禁忌
  2.NOMIとは
  3.カテコラミン投与中の栄養投与は避けるべきか
  4.リフィーディング症候群とは
  5.リフィーディング症候群のリスク評価
  
  5 カロリーの投与量ってどうやって決めたらいいの?
  1.そもそも,カロリーとは
  2.Permissive underfeedingとは
  3.間接熱量計によるカロリー投与量設定
  4.計算式によるカロリー投与量設定
  
  6 急性期のタンパク質投与量はどれくらいが最適?
  1.急性期におけるタンパク質の重要性
  2.タンパク質の投与量設定
  3.タンパク質を増やすべき患者とは
  4.窒素バランスとは
  
  7 点滴から栄養を投与するべき状況ってどんなとき?
  1.経静脈栄養の役割
  2.経静脈栄養の適切な開始のタイミング
  3.SPNは実施すべきか
  4.経静脈的脂肪製剤
  
  8 栄養剤で免疫機能を活性化させられるって,本当?
  1.免疫栄養とは
  2.ω—3系脂肪酸
  3.グルタミン
  4.アルギニン
  
  9 急性期治療にも注目すべきビタミンって何がありますか?
  1.急性期におけるビタミンの重要性
  2.ビタミンB1(サイアミン)
    コラム 敗血症性ショックに対するHAT療法とビタミンB1補正
  3.ビタミンC(アスコルビン酸)
  4.ビタミンD
  
 10 微量元素ってどうして大事なんですか?
  1.微量元素の重要性
  2.銅
  3.セレン
  4.亜鉛
  
 11 急性期にも意識したい,腸内細菌叢を整えるプレ・プロ・シンバイオティクスとは?
  1.腸内細菌叢の変化,ディスバイオーシスとは
  2.プレバイオティクス
  3.プロバイオティクス
  4.シンバイオティクス
  
 12 小児の栄養療法の基本は成人と異なるの?
  1.小児の栄養
  2.栄養状態評価
  3.早期経腸栄養
  4.カロリー
  5.タンパク質
  6.経腸栄養の投与方法
  
 13 ICU退室後の栄養療法は何に気をつける?
  1.ICU退室後における栄養の重要性
  2.ICU退室後に栄養がより多く必要な理由
  3.ICU退室後の効果的な栄養アプローチとは
  4.PICS予防とシームレスな栄養管理
  
  
索引

イラスト:角野ふち

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執筆者一覧

中西信人 神戸大学災害救急医学分野 著
三谷雄己 広島大学救急集中治療医学 著
角野ふち 株式会社からだ企画 イラスト

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みんなの急性期リハビリテーション・栄養療法
   定価3,520円(本体3,200円 + 税)
   2025年06月発行
(外部のサイトへとびます)
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