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書籍詳細

医療機関のホスピタリティ・マネジメント 改訂2版

医療機関のホスピタリティ・マネジメント 改訂2版

榊原陽子 著

B6判 158頁

定価1,980円(本体1,800円 + 税)

ISBN978-4-498-04841-6

2023年12月発行

在庫あり

患者&スタッフの幸福度がアップ.これらの医療機関に欠かせない,マネジメントの秘訣.

本書は,医療機関におけるホスピタリティの実践方法を具体的に記し好評を得た.それから約7年,コロナ禍を経て,医療を取り巻く環境も大きく変わった.厳しい経営環境のなかで患者が求めるもの,医療従事者・職員が望むものをとらえ,スタッフの「幸福度」が上がるような組織づくりがより一層重要になったと言える.これからの医療機関に欠かせないマネジメントのポイントが詰まった,今こそ読みたい改訂第2版.

はじめに 改訂2版によせて

 『医療機関のホスピタリティ・マネジメント』が出版されてから7年の月日が流れました。その間、二〇二〇年から流行を始めた新型コロナウイルス感染症の蔓延により、医療機関を取り巻く環境は大きく変化しました。
 患者の受診控えによる経営環境の悪化、感染不安によるスタッフのメンタル不調。食事会やミーティングなどが中止となり、コミュニケーションが極端に少なくなったことで、スタッフが職場で孤立してしまったり、帰属意識が低下し、退職が相次ぐなど、マネジメントは一層、困難さを増すことになりました。
 このような環境の中で、働く人の「幸福」について、注目が集まっています。
 『ハーバード・ビジネス・レビュー』で紹介された、幸福度とパフォーマンスの関係における科学的研究では、幸福感の高い社員の創造性は3倍、生産性は31%、売上は37%高いとの結果が導き出されています。また、幸福度が高い従業員は欠勤率が低く、離職率が低い(本書88頁参照)との報告もあり、学術的な観点からも「幸福」と働くことの密接な関係が明らかになりつつあります。
そして、これからは医療機関においても、スタッフが「幸福」を感じられるような組織づくりをすることがますます重要になってくると、私は確信しています。
 では、どうすればスタッフの幸福度が向上するのでしょうか。その答えのひとつが、本書で紹介している「ホスピタリティ・マネジメント」です。なぜなら、スタッフが患者さんを思いやり、患者さんに喜んでいただく対応をするには、まず、スタッフ自身が幸福を感じている必要があり、それを実現する仕組みがホスピタリティ・マネジメントだからです。日本における「幸福学」の第一人者である慶應義塾大学教授の前野隆司氏によると、幸福を感じるには、4つの因子があると言っています。その4つとは、
1.「やってみよう!」因子
2.「ありがとう!」因子
3.「なんとかなる!」因子
4.「ありのままに!」因子
というものです。このうち、2.の「ありがとう!」因子とは、「つながりと感謝の因子」とも言われており、組織において、互いに尊重し、助け合い、思いやりの気持ちを伝え合うことで、高めることができます。「ホスピタリティ・マネジメント」は、まさにこの「つながりと感謝の因子」を高め、組織におけるスタッフの幸福度を向上させ、成果を出していく手段なのです。
「ホスピタリティ・マネジメント」を仕組みとして取り入れることによって、幸福な職場づくりをすることは、コロナ禍で傷ついたスタッフの心を癒し、元気にすることができます。
元気になれば、意欲が生まれ、1.の「やってみよう!」因子につながったり、楽観的な見通しが生まれ(「3.なんとかなる!」因子)、互いに認め合い尊重する職場であれば、ありのままでいいんだ(「4.ありのままに!」因子)と思え、自己受容につながります。
 結果として、医療機関で働くことがスタッフの幸福になり、幸福だから患者さんを幸福にするエネルギーが生まれ、幸福の好循環が生まれるのだと実感しています。
本書では、どのような組織づくりをすれば、スタッフの幸福度が高まり、ホスピタリティを発揮することができるのか、先行研究を踏まえたうえで、これまでの医療機関での研修、コンサルティングの経験をもとに、できるだけ具体的にわかりやすく加筆し、改訂版として世に送り出すことになりました。

二〇二三年十月
榊原 陽子

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目 次
 
 
第1部 ホスピタリティ・マネジメントの実力とは
 1章 医療機関でホスピタリティ・マネジメントが注目される理由
  なぜ、今までの「接遇」ではうまくいかないのか?
  医療機関の課題を解決するホスピタリティ・マネジメント
  「思いやりの心」が「信頼」を生み、「信頼」が医療の質を上げる
  「やりがい」と「誇り」が離職率を減らす
 
 2章 そもそもホスピタリティとはなにか?
  日本人の知らないホスピタリティ
  サービスとホスピタリティの違い――いいなりになるのが接遇ではない
  意外と知らないマナーとホスピタリティの関係
  ホスピタリティに絶対的な正解はない
  仕事の本質――患者さんの求めるものを知る
  人を喜ばせたければ、己を知り、行動せよ
 
第2部 ホスピタリティ・マネジメント〜温かな組織を育むための仕組みづくり
 1章 マネジメントとは、いったいなんだろう?
  人を幸せに導く組織をつくるためのマネジメント
  マネジメントの3つの役割
  顧客のニーズを知ることがマネジメントの出発点
  医療機関は組織づくりという意識が乏しいのはなぜ?
  やる気のない人が残り、やる気のある人が去る不思議な職場
  ホスピタリティ・マネジメントは看護師だけのものではない
 2章 マネジメントを始めよう。まず、やるべきことは?
  まずはトップダウンで組織が目指すビジョンを明確化する
  理想と現実のギャップを把握するために現場を正しく知る
  患者アンケートや口コミの活用の仕方
  覆面調査を行うと組織の現状が明らかになる
  コミュニケーションや接遇は安全と繋がっている
  ICM組織診断で、組織の現状が見えてくる
  一般的に理想的な組織のタイプ
  医療機関に多く見られる組織タイプ
  医療機関が目指すべき組織タイプは?
 3章 安心して働ける組織の仕組みを整備しよう
  頑張っている人が損をしない評価システムが必要
  理念を共有できない人が辞めることは仕方がない
  評価のルールはみんなで決めよう
  ルールをつくる際にはビションを常に念頭に置く
  ビジョンを浸透させるためには毎日の落とし込みが大切
  ルールのヒント1 患者さんからのスタッフへの加害は組織で対応
  ルールのヒント2 スタッフ同士の足の引っ張り合いをなくすには
  ルールのヒント3 チャレンジすることを称賛する風土をつくる
  ルールのヒント4 目標を達成したら必ず評価することが大切
  採用にコストをかけることを惜しまない
 4章 すぐにできる、マネジメントを円滑にする取り組み
  「小さな目標」をクリアしていこう
  取り組み1 「ワンランク上の挨拶キャンペーン」
  信頼関係が生まれると、自分で考え行動するようになる
  取り組み2 「いいねカード」で「いいね!」の花を咲かせよう
  悪い部分ではなく良い部分に注目する視点を持つ
  取り組み3 気持ちを伝える「感謝の手紙キャンペーン」
 
第3部 一人ひとりから伝わるホスピタリティ
 1章 ホスピタリティを伝えるマナーを身に付ける
  最も重要なホスピタリティの「人的要素」
  相手の「なぜ」を知ろうとすることは相手を尊重すること
  マナーを学ぶことは相手の心を開く第一歩
  挨拶は信頼関係を築くために欠かせないもの
  敬語を使いこなすメリット
  気持ちを和らげる話し方のコツ
  あなたは大丈夫? 意外と見られている立ち居振る舞い
  患者さんを疑心暗鬼にさせる職員の振る舞いとは?
  マスクの上からでもわかる、笑顔とアイコンタクトの力
  医療従事者も第一印象が大切
  理不尽なほどに第一印象を左右する「見た目」の力
  身だしなみのポイントは、「清潔」「調和」「機能的」
 2章 ホスピタリティが伝わるコミュニケーションとは
  ストロークとはなにか? 相手と良い関係を築くために
  肯定的なストロークをどんどん使いましょう
  「察する力」を養う――ホスピタリティは気配り目配り心配り
  話すよりも傾聴することが信頼への近道
  共感を表現することでホスピタリティが伝わる
  わかりやすさも、ホスピタリティ
  喜ばれる言葉の見つけ方
  苦情対応のステップ
 
Q&A
 ネットの口コミが悪い場合の対策は?
 業務効率を上げて残業をなくしたい。どう改革する?
 スタッフが暗い雰囲気で、覇気が感じられない…… 
 マスクを着用しながら印象を良くしたい
 若手スタッフにどうやって電話対応を教えればいい?
コラム
 待合室を「待たされる」空間から「リラックスできる」空間へ
 普通の対応と、ホスピタリティ溢れる対応
 
参考文献
あとがき

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榊原陽子  著

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