本書の使い方


【対　象】　　本書では，以下の読者をメインターゲットとして解説されています．
　　　　　　•基本領域で総合内科専門医取得を目指す内科専攻医
　　　　　　•サブスペシャリテイ領域で消化器病専門医取得を目指す若手消化器内科医
　　　　　　•内科専攻を考えている初期研修医

【趣　旨】　　
　基本領域で総合内科専門医取得を目指す内科専攻医にとって，J-OSLERにおける症例登録，病歴要約は必須である．病歴要約で経験した症例を深掘りすることで，各症例が忘れられない一例として心に刻まれるだろう．一方で，J-OSLERの負担感から初期研修医の進路選択に少なからず影響を与えているという声も聞かれる．専門医ではない若手医師にとって何が症例のポイントなのか，病歴要約ではどんな文献を引用したらよいのか，地図をもたずに霧がかかった山頂を登るような気分ではないだろうか？
　本書では，若手医師のそんな悩みを解決することを目的とする．各パートは，総合内科専門医そして消化器病専門医が経験すべき症例を中心に選択した．さらには，他科からコンサルトされた時にも右往左往しないように構成を考えた．病歴要約作成の効率を高めるために役立つTipsや，実臨床ベースで本当に役立つことを重視して5つの鉄則を挙げてまとめていただいた．その後，具体的な症例から，J-OSLER病歴要約の総合考察の形式で記載していただいた．これらの構成により，５つの鉄則という地図をもった若手医師は，自信をもって山頂を目指すことができるだろう．

目　次

1章　食道・胃・十二指腸疾患
 1　食道癌〈古根　聡〉
 2　胃癌〈大橋　暁〉
 3　胃食道逆流症〈細野　功〉
 4　食道・胃静脈瘤〈安田　諭〉
 5　Mallory-Weiss症候群〈丸川高弘〉
 6　慢性胃炎，H. pylori 感染胃炎〈古川和宏〉
 7　胃・十二指腸潰瘍〈舩坂好平〉
 8　胃アニサキス症〈佐橋　学〉
2章　小腸・大腸疾患
 1　小腸腫瘍〈山村健史　中村正直〉
 2　結腸癌，直腸癌〈川崎啓祐　梅野淳嗣　鳥巣剛弘〉
 3　感染性腸炎（腸管感染症，細菌性食中毒）〈武藤義和〉
 4　腸結核〈大森　順　後藤　修　岩切勝彦〉
 5　潰瘍性大腸炎〈吉田篤史〉
 6　Crohn病〈西川貴広〉
 7　虚血性腸炎〈山崎健路〉
 8　偽膜性腸炎〈喜田裕一〉
3章　全消化管に関わる疾患
 1　好酸球性消化管疾患〈室井航一〉
 2　NSAIDs関連消化管障害〈梁井俊一　松本主之〉
 3　消化管神経内分泌腫瘍〈高田和典〉
 4　消化管粘膜下腫瘍〈山田啓策〉
 5　消化管悪性リンパ腫〈石川恵里〉
 6　憩室性疾患（憩室炎，憩室出血）〈齋藤雅之〉
 7　全身性疾患に伴う消化管病変（消化管Behçet病，膠原病関連消化管疾患，IgA血管炎）〈渡辺　充〉
4章　肝疾患
 1　急性肝炎〈多田俊史〉
 2　急性肝不全（劇症肝炎）〈石津洋二〉
 3　自己免疫性肝炎〈松本康佑　淺岡良成　田中　篤〉
 4　肝硬変〈厚川正則〉
 5　原発性胆汁性胆管炎〈土谷　薫〉
 6　アルコール性肝障害〈山本健太〉
 7　非アルコール性脂肪肝炎〈舘　佳彦〉
 8　薬物性肝障害〈筒井朱美〉
 9　肝細胞癌〈葛谷貞二〉
10　肝膿瘍〈仲島さより〉
5章　胆道疾患
 1　胆道結石症〈須原寛樹〉
 2　胆囊炎・胆管炎〈橋詰清孝〉
 3　膵・胆管合流異常（先天性胆道拡張症）〈平松　武〉
 4　胆道悪性腫瘍（乳頭部腫瘍も含む）〈小屋敏也〉
6章　膵臓疾患
 1　急性膵炎〈山雄健太郎〉
 2　慢性膵炎・膵石症〈林　大樹朗〉
 3　自己免疫性膵炎〈松原　浩〉
 4　膵囊胞性疾患〈大野栄三郎〉
 5　膵癌〈八鹿　潤〉
7章　急性腹症
 1　腸閉塞〈堀田尋紀　山田雅弘〉
8章　他科からコンサルトされたら？
 1　血便，下部消化管出血（疑い）でコンサルトされたら？　〈松島加代子〉
 2　肝機能障害でコンサルトされたら？〈中野弘康〉
 3　下痢でコンサルトされたら？〈村山洋子〉
 4　便秘でコンサルトされたら？〈江崎正哉〉
 5　腹痛でコンサルトされたら？〈山岸　茂〉
 6　腹水でコンサルトされたら？〈宜保憲明〉

索引

執筆者一覧

野々垣浩二　大同病院院長　編著
西川貴広　大同病院消化器内科主任部長／内視鏡センター長　編著