研修医と指導医のための在宅医療教育マニュアル
浜田久之 編著 / 蘆野吉和 編著
B6変形 484頁
定価6,380円(本体5,800円 + 税)
ISBN978-4-498-12012-9
2024年07月発行
在庫あり
研修医と指導医のための在宅医療教育マニュアル
浜田久之 編著 / 蘆野吉和 編著
B6変形 484頁
定価6,380円(本体5,800円 + 税)
ISBN978-4-498-12012-9
2024年07月発行
在庫あり
研修医にとっても指導医にとっても待望の在宅医療マニュアル!
これから在宅医療を学ぶ研修医はもちろん,これから在宅医療を教える指導医にとっても待望の在宅医療マニュアルが完成しました.在宅医療の基本から,在宅でよく遭遇する症状別・疾患別の対応,多職種連携のコツ,さらには指導・研修方法までを網羅しました.マニュアルでの対処が難しいポイントも,各所に現れる“在宅先輩”が的確なアドバイスをしてくれます.在宅医療のやりがいや面白さを感じられる内容も盛り込み,不安だった在宅医療が“楽しみ”“得意”に変わる一冊です.
出版社からのコメント
お寄せいただきました書評をご紹介
-----------------------------------------------------------------
福井大学医学部附属病院 救急科総合診療部
林 寛之先生より
『在宅医療は人生終焉の医療でどうせ何もできない』と誤ったイメージがあり、『治療後社会復帰を目指す』先進医療とは対極にある。さらにマンパワー不足、教育不足に加えて、高度医療機器の無い丸腰の環境で戦わなければならず、いざとなったら後方病院に頭を下げて診てもらわないといけない負い目も付きまとう・・・と思いきや、否、本書はそんなネガティブなイメージを完全に払拭してくれる珠玉の書だ。我々は病気を治すんじゃない、病気を持つ人を治すんだ、いや寄り添うんだ。だって老いや病気は必ずしも治らないんだもの。患者さんを幸せにするのが医療のゴールなら、病態のフェーズが違うだけで、急性期医療も慢性期医療・在宅医療もどちらも患者さんは必要としているのだ。どっちがえらいかではなく、どっちも必要なんだ。
丸腰で戦うからこそ在宅医療ほど臨床力が試されるものはなく、知識、技術、態度、さらに経験が要求され、そんじょそこらの青二才(失礼!)がすぐ飛び込んでもうまくできるはずがない。さらに患者さんの人生を支えて伴走する中腰力と人間力が必要であり、多職種と仲良く元気にやっていく調整力も必要となる。
ある意味すごく広範囲で高度な内容を、本書は実にコンパクトにまとめてあり、医学生や研修医も在宅医療の基本から臨床実践に至るまでを体系的に学べ、在宅医療をありありとイメージしやすい構成になっているのが実に良い。
在宅医療特有の課題について包括的かつ実践的に対処法が書いてあるところがすごくいい。認知症、褥瘡、サルコペニア・フレイル、転倒・骨折、誤嚥性肺炎、〇〇不全、小児難病、神経難病、倫理問題などは在宅医療で実によく遭遇する疾患だ。各種症候に加え、せん妄、疼痛、低栄養、不眠、家族の悩みへの対応などは大きい病院ではなかなか学べない。ACPにおいてもあわてて救急車を呼ぶと検死になってしまい、家族が気まずい思いをして今までの努力にケチがつくリスクを解説している。また共に患者さんを支える多職種に対する相互理解が必要不可欠であり、各職種の視点が学べるような構成になっている。医者がお山の大将になってはいかんのだ。
在宅医療の現場に出る前の医学生や研修医には、必読の書、というより楽チンに全体像が見渡せて超お勧めの本だ。さらに指導医の心構えやZ世代の対応法まで至れり尽くせりであり、体系だった知識を伝授するうえでも指導医にも断然お勧めの書である。
-----------------------------------------------------------------
諏訪中央病院
山中克郎先生 より
ようこそ、浜ちゃんワールドへ
長崎は西洋医学発祥の地です。シーボルトが江戸時代後期(1824年)に開設した「鳴滝塾」で多くの日本人が西洋医学を学びました。長崎大学は2012年に「新・鳴滝塾」を創設し、たくさんの医学生や研修医が大学に残り研鑽を積んでいます。その立役者が浜ちゃん(浜田久之 先生)です。若い人の希望と社会ニーズをつかんで、常に新しい医学教育を実践している点が素晴らしいです。
本書はこれからますます必要とされる在宅医療の入門書です。在宅医療ほど楽しいものはありません。病院とは全く異なる患者さんの姿を訪問診療では見ることができます。初期研修医の教育としても最適です。不思議なことに、家に帰ると患者さんは元気になるのです。入院中は様々な制約がありますが、自宅では患者さんが自由に自分らしく暮らせます。入院しながら最新の医療を受けることだけが幸福なことではありません。大好きな家族に見守られながら、住み慣れた家で自由に最期まで暮らすほうが患者さんにとっては幸せかもしれません。
この本の前半では在宅医療でのCGA(高齢者総合機能評価)を意識した問診法や短時間でのルーチン診察が解説されています。老年医学的視点や精神医学的視点からの「高齢者を診察するときの注意点」は在宅医療に欠かせないポイントです。次に在宅医療でよく経験する、認知症や転倒と骨折、肺炎などの疾患について、具体的治療も含め詳しく解説されていてとても役立ちます。原因が明らかになっていない場合でも、痛みや不眠、関節痛などの症候に真摯に対応する必要があります。具体的な症例がたくさん提示されているので、個々の事例に対する診療の様子を思い描くことができます。訪問診療の現場で指導医に相談できなくても、本書の「在宅先輩の学びと教えのポイント」を読めば、ベテラン指導医から的確なアドバイスを受けることができます。
本書の後半では指導者としてどのように若手医師に在宅医療を教えればいいのかが考察されていて興味深かったです。働き方改革により医師の仕事は大きく変化しました。さらに在宅医療の制度や多職種連携について解説されています。一度は聞いたことのある用語ですが、私を含め具体的な内容を理解している人は少ないのではないでしょうか。チーム医療ではメンバーの仕事内容を理解する努力が欠かせません。職種ごとの仕事内容が詳細に述べられていて勉強になります。
いざ、素晴らしき在宅医療の世界へ。在宅医療を新たに始めようと思っているあなたに最適の書籍です。