Dr.TT流 アクセプトされるケースレポート論文 9つの頻出パターンと攻略法
谷口智基 著
A5判 232頁
定価3,520円(本体3,200円 + 税)
ISBN978-4-498-14868-0
2025年06月発行
在庫あり
Dr.TT流 アクセプトされるケースレポート論文 9つの頻出パターンと攻略法
谷口智基 著
A5判 232頁
定価3,520円(本体3,200円 + 税)
ISBN978-4-498-14868-0
2025年06月発行
在庫あり
『無敵の腎臓内科』著者・Dr.TTによる,“アクセプトされる”ケースレポート論文の書き方解説本が登場!
『無敵の腎臓内科』著者・Dr.TTによる,“アクセプトされる”ケースレポート論文の書き方解説本が登場!
まだケースレポート論文を書いたことがない人から,何度か挑戦してみては挫折してしまった人にも使えるように,モチベーションの保ち方から,症例選びのコツ,投稿先の決め方,実際に書き上げる段階まで,この1冊に完全収録.著者の研究と経験から導き出された,アクセプトされるために必要な再現性の高い理論やノウハウを,優しく平易な言葉遣いと豊富な図表を用いて分かりやすく解説します.
出版社からのコメント
お寄せいただきました書評をご紹介
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滋賀医科大学総合内科学講座
杉本俊郎先生より
医師にとって、ケースレポートを書くことは、「習慣」であり、「倫理」であり、「信頼」を得ることである。
本書は、「勤務医の働き方改革」時代に、睡眠時間を削ってまで、金にもならない症例報告を執筆する意味があるのかということに解答を与える一冊であると私は思う。
近年、論文がオンラインで掲載されるようになり、紙媒体の特徴である紙面の制限から解き放たれたことから、最も臨床医にとって身近であるケースレポートが再注目されているのが現状である。よって、ケースレポートの書き方の方略を解説した書籍の出版も増えている。
谷口先生がご自分の経験に基づき執筆されたと思われる本書は、従来の類書と大きく異なる特徴が2点あると私は感じた。1つは、タイトルにある「ケースレポートのパターンを9つに分類し、平易な図と伴に解説していること」、そして、2つ目は、ケースレポートが科学研究であることから当然のことであるのだが、しばしばないがしろにされている「確定診断の根拠を明確に提示する」が鉄則として記載されていることである。本書が示す方略に従えば必ず論文は受理されると感じた(私は、英文のケースレポートを50編程度執筆した経験があり、ある程度信憑性はあると思う)。
「勤務医の働き方改革」時代の卒後5年から15年ぐらいの若手の先生をみていると、資本主義社会の「搾取」構造から逃れられずにいて、非常に気の毒に思う。つまり、マルクス流で言えば、労働が商品化・貨幣化していることから、私も含め、「搾取」から逃れられないのである。この資本主義の宿痾から逃れるためには新たな価値を生み出すことだと私は思う。医師は医学者でもあるので、研究することで新たなる価値を創造することが可能である。経験した症例をケースレポートの執筆を介して研究することは、「搾取」から逃れる方略になるのである。
ドイツの医師フーフェーラント(1762-1836)先生は、医師として日々実践すべき12の戒律に、「毎日夜間に、昼間に診た患者について考察し、詳細に記録すべき」というものがある(この12の戒律は、緒方洪庵が、「扶氏医戒之略」で我国に紹介している)。日々患者の診療を行い、それを記録に残すことは医師の習慣なのである。習慣は、古代ラテン語の「ethos」であり、現在は、「ethics」倫理である。
そして、アリストテレスの弁論術の信頼、「ethos」であることから、ケースレポートを書くことは、倫理的な生き方、つまり、善き生あり、医師としての信頼を得る、プロフェッショナリズムであるのだ。
本書の読者の先生方が、日々経験した症例を研究し、ケースレポートを執筆することで、善き医師として日々生きられることを切望する。
最後に還暦を過ぎた老医師から、本書を手に取り、これから、ケースレポートを執筆しようと考えている若い先生方に、元サッカーイタリア代表のロベルト・バッジョ氏の言葉を送りたい。
「PKを外すことができるのは、PKを蹴る勇気を持った者だけだ」
もう臨床医は、ケースレポートを執筆するしかないのである。
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