認知症診療スタートブック―かかりつけ医とチームで進める現場の実践―
内門大丈 著
A5判 198頁
定価4,400円(本体4,000円 + 税)
ISBN978-4-498-42842-3
2025年09月発行
在庫あり


認知症診療スタートブック―かかりつけ医とチームで進める現場の実践―
内門大丈 著
A5判 198頁
定価4,400円(本体4,000円 + 税)
ISBN978-4-498-42842-3
2025年09月発行
在庫あり
専門医でなくても迷わず始められる認知症ケア.多職種連携で支える診療と支援のヒントを詰め込んだ現場必携の一冊.
認知症診療の迷いや不安を,自信に変える一冊.かかりつけ医はもちろん,看護師・薬剤師・ケアマネージャーなど,多職種が連携して患者さんとご家族を支えるための具体策を現場目線で解説しました.専門医でなくてもすぐに実践できる知識と工夫が詰まっています.病状だけでなく「その人らしさ」を守り,地域全体で支える医療のあり方のヒントが満載.専門医でなくても迷わず始められる,即役立つ認知症診療の決定版です.
出版社からのコメント
お寄せいただきました書評をご紹介
もう10年ほど前のことになるだろうか。
ある日の新横浜のカフェで、亡くなられた小阪憲司先生と語り合う時間をいただいた。小阪先生は、世界で初めてレビー小体型認知症(DLB)という疾患概念を提示し、国際的な診断基準の整備にも大きく貢献した、日本が世界に誇る精神医学の巨星である。
どういう文脈だったかは失念しているが、その小阪先生が静かにこう言われた。
「内門は信頼できる。彼は僕の一番弟子だ。」
小阪先生は横浜市立大学精神医学の主任教授を長年務められた。内門大丈先生は小阪門下で、臨床のみならず研究にも精力的に取り組んでおられた。メイヨークリニック・ジャクソンビル校に留学し、認知症研究の世界的権威であるデニス・ディクソン(Dennis Dickson)教授のもとで神経病理学の研究に従事していた。しかしそれでも、教室には多くの優れた医師が所属していた。その中で小阪先生が「一番弟子」と明確に名指しした事実は、私に強い印象を残した。
さらに後日、小阪先生を偲ぶ会にて、ご子息から次のようなエピソードを伺った。
「DLB研究会の将来について父は『代表は池田学、事務局長は内門だ』と言っていたのです。」
池田学先生といえば、大阪大学精神医学教室を率いる卓越した精神科医であり、神経心理学・老年精神医学の分野で日本を牽引し続ける存在である。その池田先生と並べて語られた「事務局長・内門」という言葉は、小阪先生が内門先生に寄せていた期待と信頼の深さを如実に示している。
さて、本書である。
当初、私は推薦文として、よくある「臨床のポイントが体系的にまとめられ……」という紹介文を書こうとした。しかし何度書き直しても筆が進まなかった。この違和感の理由を考え続けるうちに、ようやく思い至った。
本書は、単なる実践書ではない。
小阪憲司先生が重んじた「まず患者を丁寧に診る」「臨床からすべてが始まる」という哲学が、内門先生の言葉と経験を通じて、確かな形をもって息づいているのである。
病態の理解、BPSDへの視点、家族支援、地域との連携など、認知症診療に必要な知識は丁寧に整理されている。その一方で、診療の現場で求められる“姿勢”や、患者と家族に向き合うときの、臨床の“呼吸”のようなものが随所に込められている。
そして何より、内門先生ご自身が、周囲の医療者や学生のみならず、さまざまな人から広く慕われる温かく誠実な人柄の持ち主である。周囲を自然に惹きつけ、場の空気を明るくする“太陽のような存在”であることを、多くの方が語る。私自身も人生の岐路では、いつも内門先生にご相談させていただいた。
その気質が本書全体の読みやすさにつながっており、難解になりがちな認知症診療の世界を、読者が自然に理解できるよう導いている。
認知症診療を始める医療者にとっては頼れる道標となり、経験を積んだ専門家にとっても診療の原点を思い返す一冊となる。
世代を超えて多くの医療者に役立つ本であると確信している。
ここに、心より推薦するものである。
2025年11月
井上 祥