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書籍詳細

わかりやすい! 実践的うつ病診療

わかりやすい! 実践的うつ病診療

渡邊衡一郎 編集 / 坪井貴嗣 編集 / 櫻井準 編集

A5判 274頁

定価4,620円(本体4,200円 + 税)

ISBN978-4-498-22972-3

2026年06月発行

在庫あり


新ガイドラインを活用するためのベスト・パートナー
うつ病診療に携わる医療者のために,ガイドラインをより深く理解し,日々の臨床で役立つようまとめたガイドブック.実際の診療で役立つ視点や工夫を共有するため,初診の診立てや診断のつけ方,他疾患との鑑別,MBCに基づく評価や自殺念慮への対応,薬物療法,精神療法,ニューロモデュレーションなどの治療選択肢とSDM,さらには治療困難例への対応や日常診療で遭遇するさまざまな場面・状況別のテーマについてわかりやすくまとめた.


 うつ病診療は,この十年で大きく変化してきた.かつては,抗うつ薬を中心とした比較的画一的な治療が主流であったが,その後,うつ病の多様性や双極症との鑑別,不安症・発達特性・パーソナリティ特性の併存,さらには難治性の問題などが広く認識されるようになった.現在のうつ病診療では,単に症状を軽減するだけでなく,当事者一人ひとりの背景や価値観,生活機能を踏まえながら,当事者自らが満足するリカバリー(回復)を支援していく姿勢が求められている.
 そのような中,2025年12月,日本うつ病学会より『うつ病診療ガイドライン2025』が発表された.本ガイドラインでは,心理教育や支持的精神療法に加え,Measurement-Based Care(MBC:測定に基づく診療)による適切な評価,そしてShared Decision Making(SDM:共同意思決定)を診療の基本姿勢として明確に位置づけている.また,重症度のみならず,不安性の苦痛などの特定用語や周産期などのライフステージといった観点も含め,多角的にうつ病を捉えることが重視されている.さらに,初期治療だけではなく,その後の治療変更や難治性抑うつ例への対応,その先の維持治療など,実際の臨床経過に即した内容へと発展している.
 一方で,ガイドラインは限られた紙面の中でエビデンスを整理し提示することを目的としているため,実臨床において「どのように考え,どのように進めていくか」という臨床的な経験知までを十分に記載することは容易ではない.例えば,診断に迷う場面で何を手掛かりにするのか,当事者との信頼関係をどう築くのか,薬物療法をどのように調整していくのか,あるいは治療が停滞した際に何を見直すべきかといった点には,日々の診療の中で培われた実践知が大きく関わると言えよう.
 本書は,そのような「実際の診療で役立つ視点や工夫」を共有したいという思いから企画した.具体的には,初診の診立てや診断のつけ方,他疾患との鑑別,そしてMBCに基づく評価や自殺念慮への対応,薬物療法だけでなく精神療法やニューロモデュレーションなどの治療選択肢とSDM,さらには治療困難例への対応や日常診療で遭遇するさまざまな場面・状況別のテーマについて,当教室の教室員・出身者・関連施設のスタッフらが,それぞれの専門性と経験をもとに執筆している.医師だけでなく看護師や心理士,作業療法士など,我々の教室ならではの多職種の視点を盛り込めたことも本書の特徴である.
 本書が,うつ病診療に携わる医療者にとって,ガイドラインをより深く理解し,日々の臨床実践へとつなげる一助となれば幸甚である.そして,目の前の当事者と共に考え,悩みながら診療を進める際の一冊となることを願っている.

2026年5月
杏林大学医学部精神神経科学教室
渡邊衡一郎

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目 次

CHAPTER I 診断
No.01.初診の見方〈片桐建志〉
 A.意識しておくべき点
 B.初診の前半:評価・把握
 C.初診の中盤:診断・見立てを伝える
 D.初診の後半:治療方針について話し合う
 E.再診に向けて
No.02.診断のつけ方 最新のDSM-5-TRから伝統的診断まで〈今村弥生〉
 A.DSMによる診断
 B.ICD-10と診断基準
 C.DSM-5-TRやICD-10の診断項目に記載のない症状・
 D.伝統的診断
No.03.双極症との鑑別〈丸木 
 A.うつ病と双極症を鑑別することの重要性
 B.躁・軽躁エピソードの評価
 C.躁的因子
 D.継続的な評価
No.04.併存する精神疾患の気づき方,対応方法〈野村海里〉
 A.併存疾患に気づくタイミング
 B.併存疾患が患者の抑うつ状態にどれほど影響を与えているか
 C.各論
No.05.鑑別を要する身体疾患,併存する身体疾患,薬剤性を含めて〈大石和史〉
 A.鑑別を要する身体疾患
 B.老年期うつ病と鑑別を要する身体疾患
 C.物質の生理学的作用による抑うつ状態
 D.併存する身体疾患
 E.鑑別のために

CHAPTER II 評価
No.06.特定用語のつけ方〈村尾昌美〉
 A.特定用語とは
No.07.評価尺度とそのつけ方〈渡邊雅子〉
 A.MBC
 B.抑うつ症状についての評価尺度
 C.認知機能,社会機能についての評価尺度
No.08.自殺念慮・企図の評価,対応〈大原光人〉
 A.自殺と精神疾患
 B.自殺念慮の評価
 C.自殺念慮・企図に対する対応
No.09.最終的な治療目標〈松本泰幸〉
 A.反応,寛解
 B.リカバリー
 C.再燃,再発

CHAPTER III 治療
No.10.治療方針の策定 意思決定支援〈青木裕見〉  
 A.うつ病治療における共同意思決定
No.11.心理教育の基本〈栗原真理子〉  
 A.実際の心理教育
No.12.抗うつ薬の処方 開始の判断や使い分け,その用量〈梶ヶ谷仁志〉
 A.抗うつ薬開始前の評価
 B.抗うつ薬の使い分け
 C.副作用
 D.抗うつ薬の開始
 E.治療効果の評価
 F.維持治療
No.13.抗うつ薬の効果判定,後続治療 抗うつ薬の切り替えと補助療法を中心に〈浦田 実〉
 A.抗うつ薬の効果判定
 B.後続治療
 C.切り替え
 D.補助療法
No.14.認知行動療法の基本 コラム法,行動活性化技法〈大江悠樹〉
 A.CBTとは
 B.うつ病治療でCBTを導入する患者・タイミング
 C.うつに対する行動活性化技法
 D.うつに対するコラム法
No.15.認知行動療法の応用 アサーション,マインドフルネス,セルフヘルプ〈豊田彩花〉
 A.アサーションとは何か
 B.マインドフルネス
 C.セルフヘルプ
No.16.電気けいれん療法の適応,方法〈多田照生〉
 A.ECTの適応と禁忌
 B.うつ病におけるECTの説明の配慮
 C.ECT開始前の準備
 D.ECT施行の実際
 E.ECT施行中の対応
 F.ECT治療コース中の対応
 G.有害事象への対応
 H.ECT終了の判断
 I.維持療法
No.17.経頭蓋磁気刺激療法の適応,方法〈五十嵐俊〉
 A.rTMS治療とは
 B.急性期rTMS療法の運用
 C.急性期rTMS療法
 D.国内外のガイドラインからみる急性期rTMS療法の立ち位置
 E.急性期rTMS治療後の治療戦略
No.18.不眠への対処 睡眠衛生指導から睡眠認知行動療法まで〈石井美穂〉
 A.不眠の鑑別
 B.不眠症状に対する非薬物療法
 C.不眠症状を伴ううつ病に対するCBT-I
No.19.うつ病診療における作業療法〈早坂友成〉
 A.精神科作業療法の目的と基本介入
 B.作業療法の介入戦略
 C.作業療法の介入法
 D.うつ病の作業遂行特徴
 E.よくある行動パターンとその対応
No.20.治療困難例への対応と今後〈村尾昌美〉
 A.TRD
 B.DTDに至る要因やアプローチ方法
 C.その他の対応

CHAPTER IV 場面・状況別
No.21.企業・職場のメンタルヘルス〈長谷川崇〉
 A.職場のメンタルヘルス対策の概要と事業者との関わり方
 B.メンタルヘルス対策における実務上の留意点
 C.職場復帰支援の基本と困難事例への対応
No.22.学校・教育現場のメンタルヘルス〈渡邉菜保子〉
 A.学生のうつ病・生きづらさについて
 B.教育現場におけるメンタルヘルス支援
 C.学生の診療
No.23.周産期のメンタルヘルス〈前田優那〉
 A.周産期の抑うつ
 B.周産期うつ病のリスク
 C.周産期うつ病の症状
 D.児への影響
 E.周産期メンタルヘルスの評価と診断
 F.治療
 G.社会的サポート,地域連携について
No.24.高齢者のメンタルヘルス〈中野正寛〉
 A.老年期における精神機能の変化
 B.老年期うつ病の疫学,成因,症状,特徴,予後
 C.老年期うつ病の治療
No.25.救急外来・他科病棟におけるメンタルヘルス〈岩田柚里奈〉
 A.総合病院身体科病棟におけコンサルテーション・リエゾン精神医療
 B.身体科病棟での「抑うつ」
 C.一般救急医療現場での自殺企図患者への対応
索  引

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執筆者一覧

渡邊衡一郎 杏林大学医学部精神神経科学教室 編集
坪井貴嗣 杏林大学医学部精神神経科学教室 編集
櫻井準 杏林大学医学部精神神経科学教室 編集

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