血液内科グリーンノート 第3版
- 定価:
- 7,920円(本体価格7,200円+税)
在庫あり
書誌情報
| サイズ | A5 |
|---|---|
| 頁 | 576頁 |
| ISBN | 978-4-498-22562-6 |
| 発行日 | 2026年10月08日 |
内容
臨床の現場で 全力でたたかうあなたへ
最高水準の診療をめざし,現場で本当に必要な情報を凝縮した診療マニュアル「グリーンノート」シリーズ血液内科編.改訂3版となる今版はA5判へとサイズアップ.ボリューム・質ともに大きくパワーアップした.さらに「診断・治療のコツ」のパートを新たに設け,エキスパートによる診療のポイントを追加した.血液内科の臨床で必須とされる厳選知識をミニマム・網羅的に伝えつつ,全体を最先端の情報にアップデート.実臨床でたたかう力がつく,新たな診療マニュアルである.
序文
第3版 序文
このたび『血液内科グリーンノート 第2版』を改訂し,第3版として刊行することになりました.本書の初版が刊行されたのは2017年でした.当時,私が教授を務めていた埼玉医科大学総合医療センター血液内科で,日々実践されている診療内容を一冊の本にまとめてみようと考えたことが,本書の出発点でした.初版から9年が経ち,この間の血液学の進歩には目を見張るものがあります.疾患の分子病態が次々と明らかになり,それに基づいて疾患概念や分類,診断法が大きく変化しました.そして,分子標的薬,抗体薬,二重特異性抗体,CAR-T細胞療法など,それまで研究室の中にあった新しい治療法が次々と臨床の現場に登場し,血液疾患の治療は大きく様変わりしました.かつては治療に苦慮していた疾患に対しても,新たな治療の選択肢が生まれ,患者さんの予後やQOLを改善できる時代になっています.
今回の第3版では,血液診療の実践書としての目的は堅持しつつ,この間の血液学の進歩をできる限り取り入れ,内容を大幅にアップデートしました.今回の改訂でも日々の診療で患者さんに向き合っている埼玉医科大学三病院血液内科(総合医療センター,大学病院,国際医療センター)の先生方を中心に,私に縁のあるエキスパートの先生方にも執筆をお願いいたしました.特に,私の在籍時より埼玉医科大学総合医療センター血液内科とレジデントの交流をお願いしている東京大学血液・腫瘍内科 黒川峰夫教授と東京医科大学血液内科 後藤明彦教授(現 練馬光が丘病院血液難病疾患センター センター長)にも加わっていただきました.
私は,2023年に埼玉医科大学総合医療センター血液内科教授を定年退職いたしました.長年,大学病院の血液内科で診療,教育,研究に携わってきましたが,立場や診療する場が変わった今,改めて感じることは,医学の知識や技術は時代とともに変わっていく一方で,患者さんを前にして「この人にとって何が最もよいのか」と考える医師の姿勢は,いつの時代にも変わらないということです.医学の進歩が速い時代だからこそ,医師自身が「考える」ことの大切さは,むしろ増しているように思います.そして,もう一つ感じるのは,私たちが長年の臨床の中で身につけてきたものの中には,教科書やガイドラインだけでは伝わりにくい「臨床の知恵」があるということです.検査結果をどのように読み,どこまで治療を行うのか.治療によるリスクとベネフィットをどのように考えるのか.そして,患者さんやご家族にどのように向き合うのか.こうしたことは,実際の診療の場で先輩医師から後輩医師へと伝えられてきたものでもあります.今回の改訂では,そうした事項を「診断・治療のコツ」として各著者にまとめていただきました.
こうした私の血液診療に対する想いを込めて,本書は疾患の解説だけでなく具体的な処方例や治療法,診療上のポイントを簡潔な表現でできるだけ盛り込み,病棟や外来で実際に役立つことを目指しました.血液内科は,基礎医学の進歩がそのまま診断や治療の進歩につながる非常にダイナミックな領域です.本書が,血液内科を学ぶ若い先生方にとって,単に知識を得るための教科書ではなく,日々の診療の中で「次に何をすべきか」を考えるための一冊となることを願っています.そして,本書を手に取った先生方が,一人でも多くの患者さんにより良い血液診療を届けてくださることを心から願っています.『血液内科グリーンノート 第3版』が,血液内科の診療に携わる先生方の座右の書となり,迷った時に開いていただける一冊となれば,編者としてこれ以上の喜びはありません.
最後になりましたが,今回の改訂にあたり,多忙な日常診療の中で執筆に携わってくださった先生方に心より感謝申し上げます.
2026年8月 晩夏
木崎昌弘
目次
目 次
Ⅰ.造血器腫瘍の分類
WHO分類とICC 〈木崎昌弘〉
Ⅱ.造血の仕組みと造血因子の基本
造血の仕組みと造血因子の基本 〈東 守洋〉
Ⅲ.血液疾患の診断に必要な形態アトラス
1.末梢血・骨髄塗抹標本 〈三ツ橋雄之〉
2.骨髄生検 〈百瀬修二〉
3.リンパ節生検 〈百瀬修二〉
Ⅳ.血液診療に必要な検査とその解釈
1.骨髄検査(穿刺,生検) 〈川田泰輔〉
2.リンパ節腫脹の鑑別疾患 〈山下高久〉
3.フローサイトメトリー 〈山下高久〉
4.染色体検査 (G-banding)/FISH検査 〈岡村大輔〉
5.血液診療に必要なゲノム情報 〈前田智也〉
6.病態解析に必要なウイルス検査 〈齋藤晟太郎〉
7.造血器腫瘍の画像診断 〈久慈一英〉
8.止血検査 〈石川真穂〉
Ⅴ.主要な徴候の鑑別診断
1.発熱・不明熱 〈荒井祐太〉
2.リンパ節腫脹 〈高橋直樹〉
3.貧血 〈松永洸昂〉
4.出血傾向 〈石川真穂〉
5.白血球減少 〈坂田憲幸〉
6.白血球増加 〈坂田憲幸〉
Ⅵ.造血器腫瘍に対して必要な治療総論
1.治療計画の立て方 〈木崎昌弘〉
2.抗がん薬と化学療法 〈多林孝之〉
3.造血幹細胞移植の実際と合併症対策 〈吉藤康太 森 毅彦〉
4.免疫細胞療法(CAR-T細胞療法と二重特異性抗体)の実際と注意点 〈永沼 謙〉
5.放射線治療の計画の立て方と実践 〈髙橋健夫〉
6.造血器腫瘍の治療に伴う感染症に対する対策 〈川村隆之 岡 秀昭〉
7.安全で適正な輸血療法 〈山﨑理絵〉
8.Hematological emergencyへの対応
Ⅰ▶腫瘍崩壊症候群 〈川田泰輔〉
Ⅱ▶脊髄腫瘤性病変についての対応(脊髄圧迫症候群) 〈川田泰輔〉
Ⅲ▶大量出血への対応 〈平田公美〉
Ⅳ▶抗がん薬漏出時の対応 〈平田公美〉
Ⅶ.疾患各論
1.鉄欠乏性貧血(IDA) 〈松永洸昂〉
2.自己免疫性溶血性貧血(AIHA) 〈髙橋康之〉
3.寒冷凝集素症(CAD) 〈髙橋康之〉
4.二次性貧血 〈岡村大輔〉
5.巨赤芽球性貧血 〈岡村大輔〉
6.再生不良性貧血(AA) 〈山﨑宏人〉
7.赤芽球癆(PRCA) 〈山﨑宏人〉
8.発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH) 〈髙橋康之〉
9.骨髄異形成症候群(MDS) 〈前田智也〉
10.急性骨髄性白血病(AML) 〈黒川峰夫〉
11.急性前骨髄球性白血病(APL) 〈黒川峰夫〉
12.急性リンパ性白血病(ALL) 〈黒川峰夫〉
13.慢性リンパ性白血病(CLL)と類縁疾患 〈高橋直樹〉
Ⅰ▶慢性リンパ性白血病(CLL)/小リンパ球性リンパ腫(SLL)
Ⅱ▶有毛細胞白血病(HCL)
14.慢性骨髄性白血病(CML) 〈髙久智生〉
15.骨髄増殖性腫瘍(MPN) 〈後藤明彦〉
Ⅰ▶真性多血症(PV)
Ⅱ▶本態性血小板血症(ET)
Ⅲ▶原発性骨髄線維症(PMF)
16.ホジキンリンパ腫(HL) 〈照井康仁〉
17.非ホジキンリンパ腫(NHL) 〈永沼 謙 照井康仁〉
18.成人T細胞白血病・リンパ腫(ATLL) 〈塚崎邦弘〉
19.多発性骨髄腫(MM) 〈多林孝之〉
20.原発性マクログロブリン血症(WM),原発性アミロイドーシス キャッスルマン病(CD) 〈渡部玲子〉
Ⅰ▶原発性マクログロブリン血症(WM)
Ⅱ▶原発性アミロイドーシス
Ⅲ▶キャッスルマン病(CD)
21.血球貪食性リンパ組織球症(HLH) 〈永沼 謙〉
22.慢性活動性EBウイルス病(CAEBV) 〈永沼 謙〉
23.伝染性単核球症(IM) 〈齋藤晟太郎〉
24.免疫性血小板減少症(ITP) 〈宮川義隆〉
25.血栓性血小板減少性紫斑病(TTP) 〈宮川義隆〉
26.播種性血管内凝固(DIC) 〈池添隆之〉
27.ヘパリン起因性血小板減少症(HIT) 〈池添隆之〉
28.血友病(hemophilia) 〈川口(肥谷)うちな 大森 司〉
29.フォン・ヴィレブランド病(VWD) 〈川口(肥谷)うちな 大森 司〉
30.現場で役に立つ血栓症の診断と対応 〈川口(肥谷)うちな 大森 司〉
Ⅷ.実践に役立つ造血器腫瘍治療レジメン
1.急性骨髄性白血病(AML) 〈多林孝之〉
2.急性前骨髄球性白血病(APL) 〈多林孝之〉
3.急性リンパ性白血病(ALL) 〈多林孝之〉
4.慢性リンパ性白血病(CLL)とヘアリー細胞白血病(HCL) 〈多林孝之〉
5.非ホジキンリンパ腫(NHL) 〈多林孝之〉
6.ホジキンリンパ腫(HL) 〈多林孝之〉
7.成人T細胞白血病・リンパ腫(ATLL) 〈多林孝之〉
8.多発性骨髄腫(MM)〈多林孝之〉
9.腎障害,肝障害の際の抗がん薬減量規定 〈多林孝之〉
付録
1 体表面積換算表
2 血液診療に役立つアプリ集 〈坂田憲幸〉
3 CTCAE最新版の利用の仕方 〈髙橋康之〉
索引